イギリス 2024 ウナとライオン 銀の延べ板 1オンス シルバーバー【1本】（ビニールケース付き）

海外コインオークションの華・1839年発行の「ウナとライオン」が迎えた21世紀

海外オークションで取り挙げられる度に具体的な数字によって世界を驚嘆させ、またその力強い美しさによって歴史的な英国貨幣界全体に精彩をもたらす1839年発行の5ポンド金貨「ウナとライオン」。1837年に即位した稀代の女王ヴィクトリアは、その年、即位３周年を迎えましたが、それに敬意を表するロイヤルミントによって新たに制作されたのがこの「ウナとアイオン」の異名を取る古今東西の最高傑作でした。総発行枚数僅か400枚ほどとされるその驚異的な希少性によって、その後、約2世紀にわたって英国貨幣の顔としての役割を果たしてきた不朽の名作です。表面には「ヤングヘッド」の愛称によって知られる、ヴィクトリア女王の公式第1コイン肖像が描かれており、裏面の「ウナとライオン」との絶妙な対比を見せています。この英国貨幣の傑作中の傑作の創造主は、19世紀初頭の英国貨幣界に君臨した真に偉大なる彫刻家、ウィリアム・ワイオン（1795-1851）その人でした。高名なコイン彫刻家一族の末裔として生まれたワイオンは、その持てる才能の限りを傾けて、女王の肖像が描かれたこの新作の裏面を輝かせようと考えました。19世紀初頭の英国で主流をなしていた芸術様式であった新古典様式の大家であったジョン・フラックスマンの知己を得て、同様式を存分に吸収したワイオンは、この「ウナとライオン」にてその成果を十全に披露しました。しかし、興味深いことに、デザインの主題となった題材を同時代の作品から引用せず、数世紀前のエリザベス朝時代を代表する文学者エドマンド・スペンサーの傑作叙事詩「妖精の女王」に材を求めた点は、実にワイオンの時空を超越した独創性の成せる業であったとしか思えません。ウナを大英帝国の女主人公ヴィクトリア女王に、またウナに付き従うライオンを帝国全土の臣民に見立てるというその奇想天外なアイデアによって、このコイン版「ウナとライオン」が永遠の生命を得ることになろうとは、その当時誰も知る由もなかったことでしょう。2019年にこの英国貨幣デザインの金字塔は、人気モダンコインシリーズ「偉大なる彫刻家シリーズ」の第1弾として歴史上初めて復刻されましたが、名デザインならではのカリスマ性溢れる感動によって、21世紀のコレクターを十全に魅了し、英国貨幣の最高峰としての堂々たる威厳をモダンコイン上にて誇示しました。またこのリマスター版の解禁によって、1839年発行のオリジナルが再び脚光を浴びたことは疑いようのない事実であり、近年、欧米の主要オークションに出品される際には常に天文学的な落札額を更新しており、オリジナルならではの色褪せることのない絶対感をアピールして、オークションに熱気と興奮をもたらしています。

21世紀の世に地金型作品上に再び蘇った「ウナとライオン」の物語と精神性

その実用性ゆえに世界的な注目を集める地金型コインの数々ですが、近年、連続的に発行されるようになったバータイプの地金型作品は、現代的なデザイン性と豊富なラインアップによって、細分化される英国の地金型作品の王道となりつつあります。今回ご紹介させていただく2024年度版「ウナとライオン」地金型バーの最新作は、エリザベス朝の文学的成果を漂わせなからも、いかにも21世紀的な斬新なデザインによって、この種の地金型作品の秀作としての地位を確立しています。また、当作品は、1839年のオリジナル「ウナとライオン」に対するオマージュとしての貴重な役割を果たすものでもあります。作家は、「エリザベス2世の第5公式コイン肖像」のデザインによって一世を風靡した、現代ロイヤルミント屈指の人気デザイナー、ジョディ・クラークです。フロント・サイドに描かれた意匠は、これまでに発表された同作品の数々のバリエーションとは描き方の点で完全に異なるものです。最も大きな違いは、ウナの唯一無二の親友であるライオンがウナの後ろに大きく描写されている点です。また、ウナの波打つ頭髪や衣装のドレープは女性美を強調しているように思われ、ライオンの男性美との絶妙な対比は必見に値します。英国の平和を象徴するとされる原作の「ウナとライオン」ですが、この地金型作品の解禁によって、英国のみならず全世界の理想的な近未来が約束されることでしょう。「ウナとライオン」の物語と精神性が英国貨幣界において再び蘇ったことを心から喜ばずにはいられません。