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― 都市景観コイン・シリーズ第3弾 ―
花の都の優美を裏面に描く

1889年、フランス革命勃発100周年記念の折に建設されたエッフェル塔を中心として俯瞰されるその優美な都市景観は、この人気コインシリーズの第3弾にふさわしい充実した内容であると断言できます。
セーヌ川の流れとともに歴史を歩んできたパリを象徴する風景が、この作品によってコイン上に再現されたことは誠に喜ばしい事実です。 コイン表面には、2022年の代替わりに際して英国王位を相続した現国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が掲げられています。

― 都市景観コイン・シリーズ第3弾 ―
変わらぬ美しさを
保ち続ける歴史的な都市空間

現存する世界の大都市の中でも、フランス共和国の首都パリのように比類なき壮麗さを誇り、きめ細やかな美意識の息づく街は他に存在しないことでしょう。今日なおもヨーロッパの表玄関としての機能を果たすこの大都市では、1900年と1924年の開催に続いて、2024年7月には史上三度目となるオリンピックが開催される予定であり、フランス国民を始め世界が挙って歓声を送り、かつてないほどの大成功を収めて閉幕となることと思われます。

現在見られる世界遺産としての威容を誇る世にも美しきパリの都市景観は、19世紀中盤のナポレオン3世の治世下にオスマン男爵の都市大改造案に基づいて再整備されたものであり、それまでのパリは数百年間にわたって中世の面影を多分に残しながらも荘厳なたたずまいを見せる、重厚で奥ゆかしい街として記録されています。

オスマン男爵の改造以降は、中央に流れるセーヌ川に浮かぶシテ島を中心として徐々にエスカルゴのような渦巻き状に広がり、やがて淡い色彩感を特徴とする全体的に白色がかったメトロポリスへと変貌を遂げました。その白い都市空間は夕暮れ時には沈みゆく陽光を浴びて薔薇色に燃え上がり、花の都の異名の通りの夢のように美しい景観をしばしくっきりと浮かび上がらせて夜を迎えます。

パリを題材とする優れた小説や映画は無数に存在しますが、そのどれもがパリのこぼれんばかりの美しさを描写するものであると同時に、そこを舞台として繰り広げられる人間模様をあらゆる手法を用いて描いたものばかりです。中でもマルセル・カルネ監督による1945年公開の映画「天井桟敷の人々」は、19世紀パリの世相を一道化師の眼を通して俯瞰した芸術作品であり、今日までフランス映画の黄金時代を代表する不朽の名作として愛され続けています。

物語には実にフランス人らしい強烈な個性と繊細さを持ち合わせた特徴的な人物が次々と登場しますが、同時に映画がクローズアップする悲哀感漂うパリの下町の情景はそれにも増して強く印象に残るものです。またフランス文学史上の巨星ヴィクトル・ユゴーの小説「ノートダム・ド・パリ」は、パリの中心にたたずむ大聖堂を中心として展開される人間の愛憎劇を描き切った孤高の作品として知られていますが、

21世紀の今日なおも古き良きパリを象徴する傑作小説として高く評価されており、またその評価に値する壮絶な物語性と人物描写の妙を存分に堪能することができるかけがえのない名作でもあります。

1889年、フランス革命勃発100周年記念の折に建設されたエッフェル塔を中心として俯瞰されるその優美な都市景観は、この人気コインシリーズの第3弾にふさわしい充実した内容であると断言できます。セーヌ川の流れとともに歴史を歩んできたパリを象徴する風景が、この作品によってコイン上に再現されたことは誠に喜ばしい事実です。

コイン表面には、2022年の代替わりに際して英国王位を相続した現国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が掲げられています。隣国ではあるものの、一見無関係と思われる英国王室とフランス国家の関係ですが、長年のライバル関係を乗り越えて、20世紀初頭のエドワード7世の治世下の1904年には英仏協商が調印され、両国の未来的な友好関係を強く印象付けました。

ライバルとは言えども、歴史上において常に影響しあい、それぞれが独自の魅力的な文化を育んできたことも確かです。

今後のシリーズの継続が楽しみな「都市景観シリーズ」ですが、英国コイン上にフランス共和国の首都パリの風景が再現されたことは歴史的にも意義の深いことと思われます。