皆様こんにちは、アンティークコインのショールーム「コインパレス」です。
2014年に少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」がスタートして以降、株式投資を中心に投資を始める人が増えています。
野村総合研究所が2021年に実施した「生活者1万人アンケート調査」では、2015年から2021年にかけて投資を行っている25~39歳の男女の割合が約10%上昇し、この年代の人口の21.1%にあたる人々が何らかの方法で投資をしていることが分かりました。
この傾向は株式投資だけに限らず、アンティークコイン業界でも見られます。
投資向けのアンティークコインを扱う弊社コインパレスでも、特に2020年の新型コロナウイルス流行以降、資産保全を目的に新規でコインを購入されるお客様が目立つようになりました。
とはいえ株式投資などと比べるとまだまだアンティーク投資の認知度は低く、ノウハウを発信する書籍も多くはありません。
そこで今回はコインディーラーの視点から、アンティークコイン投資の特徴や、メリット・デメリットについて解説いたします。
コインの選び方や値上がり状況なども紹介いたしますので、どうぞ最後までお楽しみくださいませ。
【目次】
アンティークコインとは?
アンティークコインとモダンコインと地金型コインの違い
アンティークコイン投資の仕組みとは?
アンティークコイン投資の4つのメリット
アンティークコイン投資の3つのデメリット
アンティークコインを購入する方法
まとめ:ポートフォリオの一部にアンティークコインを
アンティークコインとは?
そもそも、アンティークコインとは何なのでしょうか。
アンティークコインとは、主に100年以上前に発行されたコインを指します。
日本の江戸時代の小判や、中世ヨーロッパの金貨・銀貨などもこれに該当します。
例外的にイギリスの場合は、エリザベス2世が即位した1952年より前に発行されたものがアンティークコインとして取引されることが多いですが、アンティークコインという言葉自体に厳密な定義があるわけではありません。
そのため、ひとことに「アンティークコイン」と言っても価格帯は様々で、最もリーズナブルなもので数万円から購入できる場合もあれば、数十億円の価値があるコインもあります。
かつてアンティークコインは芸術品や歴史的資料の収集の一環として主にコレクターに購入されていましたが、国内外のオークションで数億円で落札されるニュースが報じられるにつれて、現在では投資を目的に購入される新規のお客様の割合が多くなってきています。
アンティークコインとモダンコインと地金型コインの違い
アンティークコインの代表格、1839年発行の「ウナ&ライオン5ポンド金貨」
先ほど「アンティークコインとは主に100年以上前に発行されたコイン」と紹介させて頂きました。
しかし、コインの中にはこれに当てはまらないものも多くあります。
実はコインは大きく分けてアンティークコインの他に、「モダンコイン」と「地金型コイン」の2種に分類されます。
モダンコインとは?
1999年発行のダイアナ妃追悼記念 5ポンド金貨はモダンコインの中でも特に人気
「モダンコイン」とは、一般的に過去100年以内に作られた比較的新しいコインを指し、イギリスの場合はエリザベス2世の即位後(1952年以降)に発行されたものが当てはまります。
身近な例を挙げると、2019年に天皇陛下の即位を記念して発行されたプルーフ貨幣セットや、2002年に流通が始まったユーロ貨幣などがモダンコインに含まれます。
アンティークコインの場合、数十万円~数百万円以上の価格帯が一般的であるのに対し、モダンコインは数万円程度から購入できることが多く、アンティークと比較するとよりリーズナブルな傾向があります。
芸術品としてコレクター向けに発行されたアンティークコインとモダンコインは、コイン業界ではまとめて「収集型コイン」と呼ばれることもあります。
地金型コインとは?
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団がモチーフの地金型コインは地金価格に近い価値を持つ
一方「地金型コイン」とは、地金そのものの保有や取引を目的として投資家向けに発行されたコインを指します。
よく実物資産の代表として金のインゴット(バー状に成形された金の塊)が挙げられますが、地金型コインはそれをコイン型に形成したようなものです。
そのためアンティークコインやモダンコインではデザインや希少性を元に評価される傾向がある一方で、地金型は主に素材自体の価値によって価格が定められています。
従って、コインのサイズや素材によっては数千円から購入が可能です。
アンティークコイン投資の仕組みとは?
複数のコインの定義をおさらいしたところで、この章ではアンティークコイン投資の仕組みについて確認していきます。
まず、アンティークコインが投資の対象として広く認知されるようになったきっかけの一つとして、国内外のオークションでアンティークコインが数億円で落札されるニュースを耳にする機会が増えたことが挙げられます。
例えば2021年にサザビーズオークションに出品されたアメリカの「ハイ・レリーフ金貨」は、わずか20ドルの額面でありながら当時なんと20億円で落札され、硬貨としては史上最高額を記録し話題になりました。
ハイ・レリーフ金貨に含まれる金そのものの価値は数十万円程度と想定されていますから、その希少性やコレクター間での人気の高さによって巨額の付加価値が加味されていることが分かります。
また1847年にイギリスで発行された「ゴチッククラウン」と呼ばれている銀貨は、毎年様々なオークションに出品されていますが、このタイプのあるコインは3年間で約6倍の値上がりを記録しました。
アンティークコイン投資はこの値上がりを利用して、安く入手したコインを高く売却することによって利益を得る投資方法です。
過去に発行された貨幣は現存数が増えることはありません。
むしろ溶解や紛失などによって数が減っていく中で、アンティークコインの認知度や人気が高まれば高まるほど値上がりが期待できるのです。
アンティークコイン投資の4つのメリット
この章ではプロのコインディーラーの視点から、アンティークコインの投資の4つのメリットを紹介させて頂きます。
メリット1:簡単にはじめられる
アンティークコイン投資の一番の魅力は、「簡単にはじめられること」これにつきます。
その方法とは……
「気に入ったコインを買う」→「値上がりを待つ」→「売却する」
この3ステップだけです。
株式の場合は投資を始めるにあたって証券会社ごとに口座を開設しますが、アンティークコインの場合はその必要がありません。
また、購入後も株の場合はデイトレーダーのように逐一値動きを確認しなければいけませんが、アンティークコインの場合は基本的にはそのまま手元に置いておくだけ。
同じくオークションでの値上がりを見込んで投資する美術品やワインと比べても、保管が楽であるというメリットがあります。
アンティークコイン投資は、投資経験の浅い方や、必要以上に投資に時間をとらわれたくないという方にもうってつけの投資法なのです。
メリット2:価格が上昇傾向にある
先ほども紹介させて頂いた通り、アンティークコインは価格が上昇傾向にあるというメリットがあります。
特にイギリスコインは、ロンドンのスタンリー・ギボンズ社が1995年から2015年にかけて希少コイン200種を統計したところ、期間中に一度も値下がりをしなかったとの記録まで残っています。
このスタンリー・ギボンズ社の記録で示されたグラフの中では、200種のイギリスアンティークコイン全体の値動きと共に金、不動産、株式の価格の成長率も記載されていますが、後者が2008年のリーマンショックで打撃を受けた一方、イギリスのアンティークコインは安定して右肩上がりの成長を続けたことがわかりました。
また、2015年以降は2020年の新型コロナウイルスの流行や2022年の世界情勢の急変、その後の金価格の記録的上昇も相まって、貴金属を主な原料とするアンティークコインにとっては引き続き大きな追い風が吹いています。
実際に硬貨としては史上最高の価格を記録した「ハイ・レリーフ金貨」も、2002年に759万ドルで落札、2021年には1187万ドル(約20億円)で落札と、約20年間で巨額の値上がりを見せたばかりですから、次にオークションで出品される際には更に高額で落札されるかもしれません。
一方で、すべてのコインが値上がりしているかと言うと、そうではないケースも散見されます。
一時的に値下がりしてしまったり、踊り場が続くようなコインももちろんあります。
しかし、一時的に値下がりをすることがあっても、アンティークコインの場合は現存数の減少や人気の高まりにより、また値上がりする可能性があるのです。
メリット3:鑑定会社によって信頼性が保証されている
絵画や陶芸、もちろんコインも例外ではありませんが、実物投資において必ずついて回るのが、贋作(偽物)の問題です。
高いお金を払って、万が一にも偽物をつかまされてしまっては、元も子もありません。
そのリスクを避けるべく、アンティークコイン業界には偽物から顧客を守る独立した「コイン鑑定専門機関」が存在します。
世界的に有名なのが「PCGS」と「NGC」という2大鑑定機関。
これらの鑑定機関が、第三者的な立場かつ非営利で、コインの真贋やそのグレードを厳しく鑑定しているのです。
その鑑定の厳しさと確かさから、コイン業界では、この2社の鑑定を受けていればそのコインは信頼に足りると認識されています。
また、鑑定をうけたコインは、スラブと呼ばれる特殊なプラスチックケースに封入されます。
傷や変色を防いでくれるので、保管する際も特別な手入れは不要です。
ちなみに弊社コインパレスは、関西で唯一「PCGS」「NGC」という二大鑑定機関の認定ディーラーですので、安心してコインをお買い求めいただけます。
メリット4:美術品としての価値がある
ニューヨークのメトロポリタン美術館に、一枚のアンティークコインが所蔵されています。
それはイギリスのチャールズ二世のプルーフコインで、とても値段がつけられる物ではありませんが、仮につけるとしたらその価値はなんと1億円以上とも言われています。
この他にもアンティークコイン業界では、世界の有名美術館が所蔵するコインと同じ種類のものが一般の市場で手に入ることも珍しくありません。
例えば弊社コインパレスが取り扱うコインの中には、先ほどご紹介させて頂いたメトロポリタン美術館に収蔵されたコインと同じ時代に発行されたものが複数あります。
特に「試作貨」と呼ばれるものは、コインを本格的に発行する前の準備段階で試作として発行された希少なコインで、投資商品としてだけではなく美術品としても高い人気を誇ります。
美術品としても楽しめるという点で、他の投資先と比較してアンティークコインには大きな魅力があると言えるでしょう。
アンティークコイン投資の3つのデメリット
アンティークコイン投資は様々なメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。
この章では、アンティークコイン投資をするうえでの3つの注意点を解説していきます。
デメリット1:未鑑定のアンティークコインには偽物もある
アンティークコインを購入する際に最も注意したいのが、贋作(偽物)をつかまされてしまうことです。
いくら高額で購入したコインでも、偽物とわかればその価値はほとんど評価されません。
しかしながらアンティークコイン界において、贋作被害は決して少なくありません。
精巧な偽物が市場に多く出回っていることやネットで簡単に売買ができてしまうことがその主な原因です。
こうした贋作被害を防ぐためにも、信頼のできるコインショップでのお買い物をおすすめ致します。
また、「PCGS」や「NGC」といった公的な鑑定機関で鑑定済みのコインを選ぶのも一つの手。
コインの購入に関して不安をお感じの方は、ぜひ「PCGS」と「NGC」の公式ディーラーである弊社へお問い合わせください。
お手持ちのコインの鑑定代行もお引き受けしております。
デメリット2:短期保有より長期保有に向いている
アンティークコイン投資は、購入したコインを長く保有し値上がりをじっくりと待つことで利益を得る投資方法です。
そのため、半年や一年といった短期では利益が出にくいというデメリットがあります。
最低でも5年、できれば10年、20年と保有期間が長いほど、コインの種類によっては購入時の何倍にも価格が上昇する可能性があるのです。
デメリット3:価値の判断が難しい
アンティークコイン投資に対するお客様の疑問で最も多いのが「価値に見合った値段かどうかがわかりにくい」というもの。
アンティークコインでは、同じデザイン、同じ発行年であってもコインの状態によって価格が全く異なるため、このように感じる方も少なくないのです。
そのような場合は、「PCGS」や「NGC」によって鑑定された「鑑定済みコイン」を購入されることをおすすめ致します。
鑑定済みコインは、その状態によって様々なグレードが付けられています。
このグレードが1下がっただけでコインの価値が1/2あるいは1/3になる場合もあるため、特にアンティークコイン初心者の方にとっては、グレードは適正な価格を知るうえで大きな指標となることでしょう。
また、コインショップによっては同じグレード、同じデザインのコインでも価格が異なることもあるため、複数のショップを比較した上でご検討いただくことをおすすめいたします。
アンティークコインを購入する方法
ここまでお読みいただいた方の中には早速アンティークコイン投資を始めようとされている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの章では、アンティークコインを購入する方法を3つご紹介させて頂きます。
方法1:実店舗(ショールーム)で買う
アンティークコインを販売するショップの中には、実店舗を持つものもあります。
実店舗であれば直接プロと相談しながらコインを購入できるので、初めてアンティークコイン投資をする人にもおすすめです。
実際に訪れる際は、事前にショップが「PCGS」と「NGC」などの第三者機関から承認を受けているかどうかを確認しておきましょう。
弊社コインパレスでは、神戸に完全予約制のプライベートショールームを設けております。
海を一望しながら、イギリスの大英博物館に所蔵されているような博物館級コインから小型のリーズナブルなコインまで様々な名品をご覧いただけますので、お気軽にご利用くださいませ。
方法2:オンラインショップで買う
アンティークコインはオンラインショップで購入することもできます。
オンラインショップの中にはフリマアプリなどで個人が出品しているものもありますが、贋作(偽物)などのリスクの観点から、信頼できる出品者から購入されることをおすすめします。
企業のオンラインショップから購入する場合は、ショップが「古物商許可証」を取得しているかどうかも併せて確認しておきましょう。
方法3:オークションサイトで買う
ヤフオク!などのオークションサイトでもアンティークコインを購入できます。
オンラインショップと同様に、オークションサイトにおいても個人で出品している場合と企業が出品している場合がありますので、購入する際は信頼できる人物による出品かどうか確認しておきましょう。
まとめ:ポートフォリオの一部にアンティークコインを
アンティークコイン投資は、安く入手したコインを高く売却することで利益を得る投資方法です。
メリットは以下の4つが挙げられます。
・簡単にはじめられる
・価格が上昇傾向にある
・鑑定会社によって信頼性が保証されている
・美術品としての価値がある
一方で、他の投資方法と同様にデメリットもあります。
・未鑑定品の中には偽物もある
・短期保有より長期保有に向いている
・価値の判断が難しい
アンティークコイン投資は必ずしも元本が保証される投資方法では無いので、実際に始める際はコインの適正価格や真贋(本物かどうか)をしっかりと確認しておきましょう。
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