HOME > アンティークコイン > フランス 1869 ナポレオン3世 金メダル PCGS SP62
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一般価格:1,100,000 円(税込)
会員価格: 1,000,000 円(税込)数々の事業の推進によって近代国家フランスの礎を築いたナポレオン3世
時は19世紀初頭。フランス革命後のフランス社会の混乱に乗じて存在感を増した皇帝ナポレオン1世の甥ルイ・ナポレオン(1808-1873)。階級上昇志向の強い彼は、若き日にはクーデターを頻発したため投獄され、不遇の日々を送っていました。しかし、輝けるフランスの未来に導かれてか難を逃れることも多く、またナポレオンの甥ということもあって人望を集めることに長けていました。亡命中であった彼でしたが、1848年の革命によって7月王政が崩壊するや否や念願の帰国が叶います。そして同年の大統領選挙によって第二共和政の大統領に選出されます。しかし、当時の大統領の権限は限られていたため徐々に不満が募り、後にクーデターによって独裁権力を掌握します。名実ともに最高権力者となったルイ・ナポレオンは「ナポレオン3世」として、フランス第二帝政の皇帝の座を仕留めます。1852年から1870年までと比較的短期間に終わったナポレオン3世による親政ですが、その18年は二期に分かれます。最初の1850年代の8年間は「権威帝政」と称され、言論の規制を軸とする強圧政治を敷き批判が多かったものの、1860年代以降の10年間は「自由帝政」の名の通り、国民と議会の意思を尊重した比較的穏健な政策であったことから、皇帝としてのナポレオンの功名として後世に名を残すことになります。この時期の内政面における顕著な功績としては、オスマン男爵の主導による大規模なパリ市の改造計画が第一に挙げられます。これは皇帝自身の肝煎りの事業として遂行されましたが、その結果、花の都パリは今日我々が目にするような美しい景観を有する大都市へと変貌を遂げることになります。その他、鉄道網の敷設工事の推進や近代金融システムの確立など、ナポレオン3世の時代に大成した事業は数多く、近代的な感覚の持ち主であったことが伺えます。また外交面においては、フランスの国益に反していたウィーン体制を終焉させるとともに、当時ヨーロッパ各地で機運の高まりを見せていた自由主義や民族主義運動を国家レベルで支援することによって自国の影響力の強化にも努めました。それらと並行してフランスの植民地を拡大させ、この分野で革新的であったイギリスをも凌ぐ目覚ましい成果を上げました。しかし、メキシコ戦争への参戦以後、皇帝の体制は次第に求心力を失います。1870年に勃発した普仏戦争においては皇帝自らがプロイセン軍の捕虜となるという醜態を演じたことによって第二帝政崩壊の直接的な原因を作り、フランスは第三共和政への移行を余儀なくされました。第二帝政以降のフランスが共和制国家として存続したこともあり、ナポレオン3世は実質上最後の皇帝としてその名をフランス史上に刻んでいます。
皇帝ナポレオン3世の治世最期の輝きを投影するフランス・アンティーク金メダルの名作
今回ご紹介させていただく作品は、ナポレオン3世が君臨した第二帝政期の記念金メダルです。裏面には「Ministere de l’agriculture du commerce et des travaux publics」の碑文が見られますが、これは農業、貿易、土木事業を展開するフランスの省庁を示す文言です。当メダルは、この省庁が中心となって遂行された1869年のジョンザックにおける農業共進会の記念に発行されたものです。古代より農業大国としての威信を掲げてきたフランス。ナポレオン3世の時代にこのフランスの長い伝統がより強化されたとしても決して不思議ではないでしょう。その偉業を称える目的で発行されたのがこの黄金色に輝くアンティーク金メダルです。そして表面には、珍しく右向きのナポレオン3世の月桂冠を戴く厳かな肖像が掲げられています。流通貨を始めとする皇帝の肖像は左向きのものが主流であり、右向きのものはかなり珍しいものに分類されます。19世紀フランスを代表すると言っても過言ではない名彫刻家、アルベール・デジレ・バールの生涯を懸けた最高傑作が黄金の上に刻まれていて圧巻です。そして見逃してはならない点は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのフランスを中心として開花した芸術様式であるアール・ヌ―ヴォの影響が見られることです。日本の浮世絵の影響を始めとするジャポニズム(日本趣味)はパリの芸術界を中心として人気を博していました。基本的には植物を模した連鎖的で曲線的な文様を特徴とする同様式ですが、皇帝の肖像の頭髪部分、特に月桂冠の描き方がその片鱗を窺わせています。皇帝髭を蓄えた右向きの横顔は、立身出世の人ナポレオン3世の人物像を見事に浮かび上がらせているように思われます。また翌1870年が退位の年であったため、1869年は皇帝にとっての最期の1年であったことが分かります。ナポレオン3世の治世最期の輝きを投影する名作アンティーク金メダルの重厚感をどうぞ手に取ってご堪能ください。
品番 5498 鑑定番号 83965655
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会員価格: 1,000,000 円(税込)
グレード数 SP62 重量 約24.00 g 直径 約33.50 mm 表面 ナポレオン3世 発送元 日本国内から発送 最近チェックした商品