HOME ＞ アンティークコイン ＞ フランス 1364-1380 シャルル5世 フランカ・ピエ金貨 NGC MS62 FR-284
-
一般価格：825,000 円(税込)
会員価格： 750,000 円(税込)フランス王太子の称号「ドーファン」を正式に用いた史上初の国王シャルル5世
「賢明王」の呼称によって知られたフランス・ヴァロワ朝第3代国王シャルル5世（1338－1380）は、数々の改革の断行によってフランス史上にその名を刻みました。善良王と呼ばれたフランス王ジャン2世とボンヌ・ド・リュクサンブールとの間に誕生した王は、ドーファン（フランス国王の法定推定相続人）の称号を用いたフランス史上初の王族としても名を残しています。ちなみにこのドーファンの称号はシャルル5世の時代から18世紀の復古王政期まで使用されていたものの、1791年の立憲王制期と1830年以降のオルレアン朝期においてはそれに代わる「プランス・ロワイヤル」が公式に用いられていました。元々フランス語でイルカを意味するドーファンの語ですが、称号の創始者であったヴィエンヌ伯ギーグ8世とその一族がイルカの紋章を用いていたことから当称号を「ヴィエノワのドーファン」と呼ぶようになったことが始まりとされています。この歴史的な称号はイングランドにおける「プリンス・オブ・ウェールズ（ウェールズ王子）=英国王太子」に相当するものであり、1461年以前は正式には「神の恩寵によるヴィエノワのドーファン、ヴァランティノワおよびディオワの伯爵」と称せられていました。その後17世紀から18世紀にかけて72年間もの驚異的な長期在位を実現した太陽王ルイ14世の治世下においては、「ドーファン・ド・ヴィエノワ」ではなく「ドーファン・ド・フランス」と改められ、名実ともにフランス王太子を意味する公式な称号として認知されるようになりました。元来病弱で読書を好む物静かな性格であったシャルル5世は、武勇と騎士道を好む父王ジャン2世とは対照的な性格の持ち主でした。極力戦闘を避け、敵軍が疲弊するまで待機して着実に領土や城を戦利品として奪回する合理的な戦法を用いたり、適切な妥協策による見事な外交手腕を披露するなど、現実的な統治能力を発揮していました。他方で王は膨大な蔵書を有する時代を代表する教養人としても名を残しており、王の治世下にはアリストテレスの「国家論」や教父アウグスティヌスの「神の国」等の歴史的古典作品のフランス語への完訳が実現しました。王はまたフランス王家の公式な紋章を変更した王族としても知られており、それまで主流であった小百合紋を廃止して百合の花びらを3枚合わせた「フルール・ド・リス」を王室の新たな紋章として採用しました。生来の虚弱体質ゆえに馬上槍試合や戦闘から常に遠ざかっていたシャルル5世でしたが、安定した精神面の働きによって明敏な感覚を持ち合わせ、君主としての威厳を有していたと伝えられています。シャルル5世の伝記作家として著名なクリスティーヌ・ド・ピザンは国王のことを「賢明で狡猾」と表現していましたが、頭脳明晰にして非常に優れた理性の持ち主であったことが窺えます。敬虔なカトリック教徒であったものの迷信深い人物でもあったシャルル5世は、後年占星術への傾倒からセレスタン（天上）修道会の重要なパトロンとなり、王の個人的な図書室の蔵書の7分の1は占星術と天文学関連の書籍で埋め尽くされていたことが伝説となっています。
フランス史上初のドーファンの華麗なる時代を回顧するアンティークコインの華
フランス王家初のドーファンとして歴史上にその名を刻み、また厳格な為政者としての顔も持ち合わせていた生前のシャルル5世は、ヴァロワ朝を代表する完璧な教養の持ち主でもありました。王が教養諸科、リベラルアーツ、文法・修辞法・弁証法、数学・幾何学・音楽・天文学の7分野を得意としていたことが記録に残されています。しかし王が貨幣制作の分野において特筆すべき功績を残したことは意外と知られていないかもしれません。ニコル・オレームを始めとする当時を代表する学者たちの流通貨幣に関する学説を受け入れ、市場の貨幣価値を安定させるにはまず貴金属含有率の高い通貨の発行が不可欠であることを看破していたと言われています。この手法は、低質な貨幣の発行によって利益を得ようとした祖父や父の意見とは対照的であり、またこの貨幣界における改革が臨時的にではあったものの、フランスにおける税制の効率を高めることに役立ったのは確かです。この貨幣上の改革が物語っていることは、いかに王が貨幣の鋳造を重視し、自身の権威を社会に対して誇示するためにそれが効果絶大なものであるかを熟知していた点です。今回ご紹介させていただくフランカピエ金貨は、通貨制度が見直される段階において鋳造された王の治世を代表する法定金貨の逸品に他なりません。この金貨の名称の「ピエ」はフランス語で「徒歩で歩くこと」を意味する語であり、国王の肖像が歩兵鎧を装着した姿で描かれていることに由来します。コイン表面中央には正面向き有冠の国王の立像が描かれており、両手には剣と王笏が見られます。背景にはゴチック様式の玉座が見られ、シャルル5世が継承したフランス王位の正統性を誇示しています。またコイン裏面には装飾性豊かな文様が開花しており、中央の十字の間隔部分には王によって新たに制定されて以降、フランス王家の象徴として19世紀まで受け継がれていた百合の紋章「フルール・ド・リス」が格調高く挿入されています。史上初のドーファンの満を持してのフランス国王としての即位に祝意を捧げる当コインは、中世フランスに咲き誇ったヴァロワ朝の名君の治世を回顧するに十分な、歴史的な重厚感を兼ね備えたフランス・アンティークコインの華です。
品番 2926 鑑定番号 
4463290005
現在のNGC鑑定数はここをクリック下さい価格 一般価格：825,000 円(税込)
会員価格： 750,000 円(税込)
グレード数 MS 62 重量 3.77 g 直径 約30 mm 表面 剣と笏を持ちシャルル5世 裏側 十字と王冠とフルール・ド・リス紋章 発送元 日本国内から発送 -
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
