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コラム「英国紅茶の万華鏡」第1話・第2話

アンティークコイン

ご挨拶

皆様こんにちは。

アンティークコインのショールーム、コインパレスの室田でございます。

深まり行く晩秋の晴天を愛でつつ、冬支度に余念のない今日この頃でございますが、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

この度は、私自身の留学中の体験を元に、英国社会に華を添える芳しい紅茶を取り巻く幾つかの物語を、「英国紅茶の万華鏡」と題してエッセイ形式にてご覧に入れます。

皆様からのご要望にお応えし、連載にて執筆させていただく予定の当シリーズでございますが、今回は、まずその第1話「旅の終わりに五感を癒す一杯の香り高き紅茶」、そして第2話「英国紅茶の神髄を伝えるロンドンの老舗フォートナム・メーソン」をお届けさせていただく運びとなりました。

どうか最後まで英国紅茶の深奥をご堪能ください。

 

 

第1話 旅の終わりに五感を癒す一杯の香り高き紅茶

アンティークコイン

パリからロンドンへと向かう超高速列車ユーロスターでの2時間15分の旅はいつ体験しても快適であることは間違いないものの、何となく車窓の景色を眺めながら無意識に陥り、時間の経過に身を任せていますと、車内でゆっくりと味わうためにパリのターミナルで購入したチョコレートのことを完全に忘れていたことを思い出すのも束の間、唐突に目的地ロンドンのセントパンクラス・インターナショナル駅への到着を告げるアナウンスを耳にして慌ただしく降車の準備をすることが常です。

週末のひと時をパリで過ごすことは何にも代えがたい魅力であり、とりわけそこでしか遭遇することのできない美的体験は短期滞在者の五感を強く刺激します。

見るもの、触れるもの、そして出会う人物が人生における非日常的感動を約束する花の都パリでの夢のような2日間を終えてロンドンに到着しますと、何かより現実的な空間に舞い戻って来たようなごく普通でありながらも心地よい安堵感を覚えるのも確かです。

ロンドン市内の自宅に戻るや否や、パリの夢と花束で膨らんだ旅行鞄を玄関に置いたままキッチンに直行して最初にすることは、電気ケトルのスイッチを入れることです。

マグカッブにお気に入りのフォートナム・メーソン社のアールグレイのティーバッグを無造作に放り込み、湯を注いだ後、ジョージ3世時代の物と思しきお気に入りのアンティーク・シルバースプーンを用いて無心に自分色に染め上げます。

アンティークコイン

ロンドンの自宅で頂くごくありふれた一杯の紅茶ほどに旅の疲れを癒してくれるものはありません。

長い歴史を誇るこの街で生活する喜びをひしひしと感じながら、室内を満たす紅茶の香りとともに旅行先パリの記憶を反芻する至福のひと時がゆったりと流れていきます。

スモーキーなアールグレイ紅茶の香気はどちらかというと豪華なティールームでの午後のお茶を想起させるものですが、壁の時計に目をやりますと既に夜9時を回っていました。

今やひっそりと静まり返った住宅街チェルシーの外気を窓辺に感じながら、クリスマスを来月に控えた晩秋のロンドンを舞台として繰り広げられるであろうこれからの華やかな日々を想い描き、心のざわめきを抑えることができません。

リビングのソファーのクッションに身をうずめて刻々と更け行く秋の夜長を愛でつつ、ロンドンでしか味わうことのできない正真正銘の英国紅茶の有難みをしみじみと感じる至福の時でした。

 

 

第2話 英国紅茶の神髄を伝えるロンドンの老舗「フォートナム・メーソン」

アンティークコイン

引用:Wikipedia

19世紀中盤、ヴィクトリア女王の治世を頂点として世界中に版図を広げ、空前の勢力を誇示していた大英帝国。

ヴィクトリア期の首都ロンドンは、世界各地から運び込まれてきた富の集積地として栄える一方、文化の一大発信地としてその名を轟かせていました。

ありとあらゆる物品を吸収・消化しながら絶えず膨張を繰り返していたこの歴史的な都市は、当時、嗜好品として絶大なる人気を獲得しつつあった紅茶の大量輸入によって繁栄を極めていました。

それ迄、上流階級の人々に独占されていた高級品であった紅茶は、ヴィクトリア時代以降の国力の強化に従って一般庶民にも消費されるようになり、同時代後期に至っては国民的な飲料としての市民権を獲得していました。

ロンドンの中心地ピカデリーの一等地に居を構える1707年創業の高級食料品店フォートナム・メーソンは、過去300年以上にわたって王室御用達の栄誉を賜り、紅茶の変遷を見届けてきた英国が世界に誇る老舗です。

アンティークコイン

引用:Wikipedia

ピカデリーの喧噪を逃れて扉を押して店内に入りますと、堂々たる佇まいが風格を感じさせる紅茶売り場にはオリジナル商品を始めとする世界各地から仕入れられた名だたる紅茶がずらりと並んでおり、いつ来店しても壮観の一語に尽きます。

世界各国からロンドンに集まって来た観光客が、イギリスと言えば紅茶とばかりに缶入りの高級品や、より手軽なティーバッグをここで買い漁っている姿を目の当たりにしていますと、いかに紅茶が何よりも英国を象徴するものであるかということをつくづく思い知らされます。

私はイギリスに住み始めてから最低でも週1回はこの店を訪れていましたが、当然のことながら毎週紅茶を買う必要があったわけではありません。

ここを訪れる真の目的は、2階奥の食器売り場の片隅に置かれているアンティーク食器が上品にディスプレイされているマホガニーのキャビネットで、そこに陳列されている英国アンティークの逸品は市内のアンティークマーケットで購入するものよりは若干割高ではあるものの、コンディションの良い珍しいものが揃っているので、週1度の楽しみとばかりにここに来てはついついあれやこれやと購入してしまうことがこれまでにも多々ありました。

アンティークコイン

本日最大の収穫は一対のヴィクトリア時代の極薄ワイングラスで、年代を経たアンティークガラス特有の柔らかな質感が赤ワインの濃厚な色彩を色鮮やかに引き立てるであろうとの想いから即購入を決断しました。

モノグラムが刻印されていることから、恐らくは当時の貴族の特注品ではないかと思われます。

アンティークコイン

引用:SquareMeal

そして店員が世にも繊細優美な箱とリボンを用いて梱包に全神経をとがらせている間、1階の紅茶売り場の奥にある「ファウンテン・ティールーム」にてくつろいで紅茶の味と香りを満喫するために階下に降りて行くことにしました。

アン女王の治世下の1707年に創業されたフォートナム・メーソンは、これまで英国王室の庇護の下に英国屈指の高級食料品店として成長を遂げ、英国紅茶の神髄を300年以上にわたって世界に発信し続けて来た名店として知られています。

同社が過去に商品化したオリジナル紅茶は数えきれないほど存在しますが、中でも同社の極め付きとして特にお薦めさせていただきたいのは、「ロイヤルブレンド」の名で知られる人気の高いブレンドティーです。

アンティークコイン

1902年に時の国王エドワード7世への献上用に新しく調合されたこの由緒ある紅茶は、インドとスリランカ原産の茶葉が織り成す絶妙なバランスを特徴としています。

茶葉が非常に細かく刻まれていることから抽出速度が速いため、どちらかと言いますとミルクティーに向いているかも知れませんが、さわやかな中にもしっかりとしたコクが感じられるフルボディーの紅茶ですので、ストレートで味と香りを楽しむのもまた格別です。

もう一つのお薦めは、1907年に発売開始となり、同社の創業当時の英国に君臨していたステュアート朝最後の君主アン女王の名に因んで命名された「クイーンアン」です。

アンティークコイン

味に関しましてはロイヤルブレンドと微かに類似していますが、茶葉がずっと大きいために、紅茶というよりは茶葉本来の充実した甘味が感じられ、むしろ上質な中国茶のそれに近いように思えます。

こちらは断然ストレートティーがお薦めです。

現在のフォートナム・メーソンは高級食料品のみではなく、高級消費財全般を取り扱う総合デパートとしてのイメージが突出しているように思われます。

しかし、紅茶愛好者にとっては今も昔も「紅茶のフォートナム・メーソン」という位置付けに変わりはないようで、英国がこの世に存在する限りこのロンドンのピカデリーにて昔ながらの英国紅茶の味と香りを守り続けることでしょう。

紅茶売り場奥の柱時計が午後4時を知らせる荘重な響きを発した瞬間に我に返った私は、ヴィクトリア時代から殆ど変わることのない店内にこだまするさんざめきを後にして、入手したばかりの貴重なワイングラスが入ったミントグリーンのショッピングバッグを大切に抱えて、再びピカデリーの雑踏の中に歩み出すことにしました。

 

~第1話・第2話終、第3話へ続く~

 

お知らせ

コラムを最後までお楽しみいただき、ありがとうございました。

「英国紅茶の万華鏡」の続編は近日公開予定でございます。

最後に、お得なイベントやコイン収集に関する最新情報をご紹介させて頂きます。

 

 

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