2021 エリザベス2世 アリスの冒険 5ポンドカラーBU銅貨 2枚セット ロイヤルミント発行 未鑑定 発行数15000セット 【ご予約承り品】

物語の背景を深く掘り下げて描き出すジョン・テニエルの才能

ヴィクトリア時代の才人ルイス・キャロルによる奇想天外なる物語「不思議の国のアリス」の上梓は、1865年の発行当時、空前の注目を集め、1871年には続編としての「鏡の国のアリス」を生みだすほどの成功を獲得します。それまでの英国社会を支配していた教訓主義から児童文学を開放し、自由と創造力あふれるストーリーによって文学上確固たる地位を築くに至った少女アリスの物語。聖書やシェークスピアに次いで多数の言語に翻訳され、記録的な発行部数を誇るこの英国文学の傑作は、著者キャロルの世界観を披露すると同時に、ヴィクトリア時代に隆盛を見た文学界における神秘主義をも体現しており、世界文学として広く認知されるに値する多面的な性格を持っています。幻想小説の草分けとも言えるこれらの小説には多数のナンセンスな言葉遊びの要素が含まれており、同時に当時よく知られていた詩や流行歌のパロディーが巧みに挿入され、物語を形成している点を最大の特徴とします。キャロルのオリジナリティーあふれる創造性を活かし、物語に色彩感を与えることに貢献したことは、上記2作の挿絵の制作を担当したイラストレーター、サー・ジョン・テニエルの天賦の才の賜物に他なりません。

2枚のコイン上でスポットライトを浴びる2つの名場面

2021年最大の話題となること間違いなしの当コインセットは、アリスにまつわる2つの物語の名場面を描く2枚の美しいコインが収められているデラックスバージョンです。まず最初のコインですが、木の上にうずくまっているチェシャ猫とアリスの出会いの瞬間と対話を描く印象的なシーンが描かれています。「ここではみんなおかしいのさ」と謎の言葉を残してその場から消え去る猫の存在感にアリスが圧倒される名場面です。2枚目のコインには、英国の童謡「マザー・グース」によって知られる「トゥイードルダムとトゥイ―ドルディー」が取り挙げられています。双子の兄弟のような人物がおもちゃのガラガラを巡って争うという滑稽な内容の歌で、今日でも「トゥイードルダムとトゥイードルディー」は互いに争いながらも、実際にはよく似ている2人の人物を指す言葉として用いられています。森で道に迷ったアリスが森から出る道を聞くために2人を訪問する場面が象徴的に描かれています。

日常に非日常を求める心理を表現するアリスの物語

ヴィクトリア時代を代表する英国文学の傑作であるこの2編が発行されてから150年以上の時が経過しています。アリスの物語が英国コインの題材として取り上げられるのは今回が初めてですが、過去にそのような試みが全くなかったのが不思議なほどです。どちらのコインにも表面には名高い「エリザベス女王の第5肖像」が刻まれていますが、現英国君主の威厳漂うこれらのコインの発行によって、アリスの物語は21世紀の新たな伝説となり、再び脚光を浴びることになりました。英国児童文学の最高傑作であるこれらの物語を描く当コインセットは、著者キャロルの造語「Unbirthday＝実際の誕生日以外の日に祝われるべきイベント」が表現する「日常に非日常を求める」大人たちのために贈られる厳選された記念品でもあります。