2020 エリザベス2世 ミュージックレジェンド第3弾 デヴィッド・ボウイ 1ポンド1/2オンス銀貨 箱付き【ご予約承り品】

洋の東西を超越するその高き理想

英国を代表するロック・ミュージシャンにして俳優のデヴィッド・ボウイに着目する「ミュージック・レジェンド・シリーズ」は今回で第3弾を迎えますが、 英国を代表する偉大なるポップミュージシャンを取り挙げる魅力的なコインシリーズとして既に定着している感があります。 1967年のデビュー・アルバム「デヴィッド・ボウイ」のリリース以降、数々のヒット曲を生み出し世にその存在を強くアピールします。 ボウイは1960年代のロンドンで舞踊家リンゼイ・ケンプのダンスクラスに通い、パントマイムによって舞台上でのドラマティックな表現を身に付けるに術を学びます。 これは後の舞台人としてのボウイに多大なる影響を与え、世界に見せるペルソナ（外面的側面）の構築に繋がります。1972年にはアルバム「ジギー・スターダスト」をリリース。 コンセプトに基づき架空のロックスターを演じ、約1年半の長きに渡る世界ツアーを成功に導きます。この時に注目されたのが日本人デザイナー山本寛斎のデザインした衣装で、 ボウイの「グラム・ロック」時代を特徴づけるスタイルとしてヘアメイクと共に記憶されています。その生涯を通じて貪欲に自己のスタイルを変化させ、 常に前進しようとした意志の人ボウイは、批評を恐れず様々なジャンルの音楽を吸収し、変化する商業音楽の世界において自己を見つめ続けてきました。

舞台人としての高い理想は洋の東西を超越しており、あらゆる文化圏の芸術に対する興味と理解は彼の音楽に、また時にはその演技に反映されていました。 リンゼイ・ケンプとの出会いは彼の人生に日本文化の究極に理想化された価値観をもたらし、初来日以降頻繁に日本を訪れることになります。 舞台人としての彼が着目したのはまず日本の歌舞伎と女形の存在で、化粧の仕方を学ぶことによっていかに女性的な面を強調するかではなく、 いかに男性的な面と女性的な面を同時に引き立てることが可能かの一点にのみ興味を示したと言われています。 これはその後の彼の舞台に大いなる影響を与えることになり、彼の本質が国際的なものであったことが窺えます。

当1ポンド・プルーフ銀貨に描かれているのはデビュー当時の若々しいボウイの美しい姿です。反抗的なアバンギャルド精神を掲げつつも、 どこか古典的な美に対する憧憬を胸に秘めた不思議なオーラを放つボウイですが、そんな彼の芸術性が十二分に表現されているのが当銀貨です。 それは半世紀を超える長き年月に全世界を股にかけて試行錯誤を繰り返した飽くなき美の変遷で、ある一人の優れた英国人の理想の具現をも表現しています。 そしてそれは普遍的な英国人の本質でもあり、このコイン発行をもって永久に称えられるべきボウイの勝利となりました。色彩感溢れる鋭角的なデザインのケースの中に彼の魂は眠っています。