2025 チャールズ3世 RRSディスカバリー号 2ポンドプルーフ2色金貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

南極大陸の調査船として誕生したディスカバリー号の軌跡

1901年にスコットランドのダンディーで製造された王立調査船ディスカバリー号は、イギリスの南極大陸調査のための本格的な帆船として長きにわたって活躍しました。同号の最初の任務は英国国立南極探検隊と行動を共にすることでした。同号の最初期の乗組員ロバート・ファルコン・スコットとアーネスト・シャックルトンが推進した南極大陸への旅は大きな成功を収めましたが、この旅は後に「ディスカバリー号探検」の名によって広く知られるようになります。その後、第一次世界大戦前と戦中には商船として活躍した時期もあったディスカバリー号でしたが、1923年にはイギリス政府の後援の下に王立調査船として南極海における科学的調査を遂行します。その調査は2年間に及ぶもので「ディスカバリー調査」と呼ばれ、南極海に関する重要な情報や海洋生物の生態についての貴重な情報を記録するために計画されました。とりわけクジラの生態に関するそれは、史上初の科学的調査として大きな成功を収めました。ディスカバリー号は1929年から1931年にかけて、著名な探検家ダグラス・モーソン率いる「British Australia New Zealand Research Expedition （BANZARE）＝英国オーストラリア・ニュージーランド南極調査探検」に際して大きな貢献を果たします。この探検による科学的手法による領土に関する調査が、今日のオーストラリアの南極領土保有の礎となったことは特筆に値します。英国オーストラリア・ニュージーランド南極調査探検から帰還したディスカバリー号は、統計学的用途での見習い船としてロンドンに停泊し、1979年まで訪問者のための主要アトラクションとして人気を博します。また同年には、博物館展示用の帆船として海洋財団の保護下に置かれるようになります。そして1986年には故郷のスコットランドに戻り、集中的な修復作業を経て、ダンディー市の観光アトラクションとして一層注目されるようになります。イギリスのディスカバリー号は、ノルウェーのフラム号と並んで南極大陸探検の黎明期に活躍した2隻の内の一つとしてその名を歴史上に刻んでいます。イギリスによって製作されたウルグアイ号はもまた南極大陸探検で活躍した帆船ですが、特にこの目的のためだけに使用されていたわけではありませんので、これらの帆船グループには属しません。19世紀後半以降、南極大陸に対する科学的・政治的な注目度の高まりによって、イギリスが中心となって大陸の探検を遂行するべきであるという説が国内の主流となります。この説には極めて最もな理由があり、1839年に行われたイギリスによるロス探検の遂行時に英国海軍によって「ロス棚氷」が発見され、この種の大掛かりな探検の先駆的な役割を果たしたことがその内の一つとして挙げられます。その当時は南極よりも北極大陸の開拓がより重要視されていましたが、こちらに関しても1874年に英国海軍が探検を遂行し、最終的に北極点に到達したことが大きな評価に繋がりました。その後、19世紀末にかけて、南極大陸への同様の探検が行われるべきであるという説が、ある種の政治的な理由から支持されるようになります。1901年のディスカバリー号の誕生は、これらの背景がもたらした当然の結果であったのかもしれません。

ディスカバリー号の栄光の過去を称えてロイヤルミントが制作した21世紀の伝説

今回ご紹介させていただくコインは、南極大陸探検の分野で先駆的な役割を果たしたイギリスの調査船ディスカバリー号の栄光の過去を刻む新しい名作です。コイン裏面にはディスカバリー号の全体が浮かび上がり、在りし日の同船の威厳を現代の我々に伝えています。かつて大英帝国の名の下に世界五大陸と七海を手中に収めた最盛期のイギリスの覇権を感じさせる見事なデザインです。木材を用いて製造された英国史上最後の帆船であるディスカバリー号が果たした歴史的な役割が裏面全体から伝わってきます。コイン表面には2022年のエリザベス2世の崩御に際して英国王位を継承した現国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が掲げられています。74歳の高齢で即位したチャールズ国王のありのままの姿を描写した当ポートレートには、皺や影も見落とされることなく忠実に再現されています。頭上には君主のトレードマークである王冠は見られませんが、その横顔からは人間らしい温かさが漂っており、国王のありのままの姿を映し出しているかのようです。ヨーロッパ屈指の歴史大国として知られるイギリス連合王国ですが、近代史において歴史的な役割を果たしたディスカバリー号の過去の功績を記念する傑作がモダンコインのコレクションに新たに加えられたことは実に喜ばしいことであり、現代ロイヤルミントの快挙として今後数世紀にわたって語り継がれることと思われます。