2025 チャールズ3世 ジョージ・オーウェル 2ポンドプルーフ銀貨 金メッキ付 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

20世紀を代表する傑作小説「1984年」と作者ジョージ・オーウェルへのオマージュ

鋭い洞察力とウィットに富んだ文章によって世界的な共感を得ている20世紀前半のイギリスを代表する作家ジョージ・オーウェル（1903―1950）。2025年の年頭にロイヤルミントがリリースする当コインは、オーウェルと、とりわけ彼の代表作として歴史的に知られる小説「1984年」へのオマージュとして企画されたものです。イギリス植民地時代のインド生まれの作家ジョージ・オーウェルこと本名エリック・アーサー・ブレアの生涯については意外と一般的には知られていないことと思われます。社会主義者として活躍した若き日のオーウェルは、1936年12月にスペイン内戦で無政府主義者らに感化され、翌1937年には民兵組織「マルクス主義統一労働者党」という共和派の義勇軍に参加します。しかし、「トロツキー主義者」のレッテルを張られた同党に対するスターリン率いるソ連共産党による粛清の開始とともに監視されるようになったため、国外に脱出します。この件を機に、スペインのフランコ政権によるファシストより、味方であるはずのソ連のスターリニストの方がはるかに悪辣であることを体感し、ソ連の粛清を嫌悪する民主社会主義者となります。これらの経験から、次第に反共産主義・反ファシズムの反全体主義思想に傾倒するようになります。第２次世界大戦中の1945年には、ソ連のスターリン主義と共産主義への痛烈な批判から、人間の農場主に対して革命を起こした動物たちが、動物の代表によって熾烈な支配を強いられる過程を描いた風刺小説「動物農場」を執筆し、一躍ベストセラー作家となります。また戦後の1949年には、全体主義国家の本質や恐怖を詳細にわたって描写した20世紀文学の傑作「1984年」を発表します。「1984年」で描写されているような監視管理社会は、今日、作者のオーウェルの名に因んで「オーウェリアン」と表現されることもあるほどです。20世紀文学の最高傑作と目される「1984年」が1998年にランダム・ハウスのモダン・ライブラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」、1999年にはル・モンド紙の「20世紀の100冊」、また2002年にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に選出されたことからも、いかにオーウェルが20世紀のイギリスを代表する知性と見なされているかがよく分かります。

主題の普遍性ゆえに将来性を期待させるモダンコイン界会心の傑作

幼少時のオーウェルは成績優秀であり、イギリスの名門校イートン・カレッジとウェリントン・カレッジの両校の推薦と奨学金を得ました。特に1917年5月に国王奨学生として転校したイートン・カレッジの校風はオーウェルに合っていたようで、後に有名になるイギリスを代表する知識人たちとの交流を楽しみ、有意義な学校生活を送っていたようです。1950年、46歳にして夭折したオーウェルですが、上記2作以外にも数多くの優れた小説を世に残しています。社会の最底辺生活者の生活のルポルタージュ作品を描こうと考えた若き日のオーウェルは、1928年から1929年まで皿洗いとして働きながらフランスのパリで小説を書き続けました。また1930年から約1年間はロンドンとロンドン周辺を放浪します。それらの体験をもとに1933年には人生最初の著作「パリ・ロンドン放浪記」を執筆しました。今回ご紹介のコインは、20世紀イギリス文学の巨星ジョージ・オーウェルに捧げられる一大オマージュとして注目に値します。コイン裏面には、彼の代表作「1984年」の物語を象徴する新たなデザインが描かれています。ロイヤルミント所属のアーティスト、ヘンリー・グレイによるこの意匠は、監視管理社会の恐ろしさをシンボライズする眼球が挿入されており、観る者に強烈なインパクトを与えると同時にメッセージを伝えるものです。全体主義に対する恐怖を文字によって表面することに成功したこの小説は、何度読んでも飽きることのない不朽の名作であり、時代設定が明確でないことから、いつの時代にも置き換えたり、読み替えることが可能な点を特徴とします。コイン表面には、2022年9月のエリザベス2世の崩御に際して英国王位を継承したチャールズ3世の第1肖像が描かれています。優れた英国人作家の偉大なる魂を刻印する当コインは、主題の普遍性ゆえにコインの将来性を期待させるコレクター待望の英国モダンコインの傑作です。