イギリス 2024 チャールズ3世 ブリタニア 2ポンド 1オンス 銀貨 【100枚】 (コインチューブ付き)【ご予約承り品】

※当商品は『黒ずみや傷、ミルクスポット（白い斑点）』等がございます。
※モニター発色の具合により、実物とは色合いが異なる場合がございます。

英国史の変遷と共にコイン上に姿を現すに至った擬人化された英国としてのブリタニア

古代ローマがグレートブリテン島を属領としていた約2000年前に誕生した女神ブリタニア。ローマ人たちは古来「アルビオン」と呼ばれていたグレートブリテン島に女神と同じ「ブリタニア」の名を与え、島の守護神として崇めるようになります。古代ローマ社会で流通していた貨幣上にブリタニアが描かれるようになるのは紀元2世紀頃のことでした。史上初のブリタニアコインとして発行されたそれらの流通貨が、少し後に帝国の属領のグレートブリテン島にもたらされ、実際に流通貨として用いられていたことが記録に残っています。しかし、紀元6世紀頃から顕著となるローマ帝国の衰退によって、それらのコインはグレートブリテン島から徐々に姿を消します。ブリタニア像そのものに関しましてはその後、アングロサクソン時代を経て中世英国によって受け継がれました。とりわけテューダー朝のエリザベス1世の時代には、大航海時代の真っ只中という時代背景もあり、若干の表現上の誇張はあったものの、英国を象徴する存在として広く社会的に認知されていました。北海沿岸の小国に過ぎなかったかつての英国でしたが、エリザベス1世統治下のイングランドにおいては当時の世界最強国家であったスペインの無敵艦隊を完膚なきまでに撃沈し、改めて「イングランドここに在り」と、強力な海洋覇権国家としての存在感を世界に強くアピールする機会を得ました。そのシンボルとして再登場するのがブリタニアであり、造形芸術や文学等の主題として取り挙げられることが多かったようです。しかし、英国貨幣界への登場は比較的遅く、チャールズ2世治世下の1672年のことでした。1660年に王政を復活させた偉大なる君主チャールズ2世は、自身の肖像を表面に描くコインの流通が、いかに自身の統治を正当化する上で重要であるかを熟知していた人物でした。オリバー・クロムウェル主導の共和政を打倒し、新たな王政による新生国家イングランド王国の樹立を成就したチャールズ2世の25年間にわたる比較的長期の在位期間を通じて、英国ロイヤルミントは数々の名作コインを世に送り出し絶賛を博しました。この1672年制作のファージング貨もその一つでしたが、表面に左向きのチャールズ2世の肖像を掲げ、裏面にブリタニアの座像を描くといった、当時としては極めて型破りな一作であったことと思われます。槍やユニオンフラッグの盾、そしてコリント式のヘルメットを装着するブリタニアの座像は、一見すると古代ローマ時代以降ずっと守り抜かれていた極めてオーソドックスなブリタニア像でした。しかし、コイン上にブリタニアが描かれること自体が当時としては驚嘆に値することであったかも知れません。ブリタニアがその後350年以上にわたって英国コインの普遍的なテーマとして継承されることになろうとは17世紀当時、誰も想像し得なかったことでしょう。

高い芸術性と革新的技術の出会いが生んだ地金型コインの最高傑作としてのブリタニア地金型銀貨

英国の誇りである女戦士ブリタニアを裏面に描くブリタニア地金型銀貨の2024年度版のご紹介です。1987年の初登場以降、地金型コインの最高傑作として世界的な人気を博してきた「ブリタニア地金型金貨」。1997年に初リリースとなったその銀貨版もまた、その後の英国貨幣界を代表する傑作として国際的評価を確立しました。毎年恒例となった同シリーズの解禁は英国貨幣界の風物詩として定着しており、既に定番化している裏面のブリタニアの意匠が、シリーズの絶対的評価に貢献していることは確かです。海辺に佇むブリタニアの全体像を映し出す裏面の感動的なデザインは、時を経て受け継がれるべき普遍性を備えています。波風に吹かれてはためく衣装のドレープや、長い頭髪の流麗な美しさは筆舌に尽くし難く、それを金属上に再現した現代ロイヤルミントの革新的技術と高い芸術性に感服せざるを得ません。コインの表面には、昨年9月のエリザベス2世の崩御に伴って王位を継承したチャールズ3世の左向きの崇高感漂う肖像が掲げられています。写実性を何よりの特徴とするこの現代コインポートレートの秀作は、長い皇太子時代を経て英国王位を継承したチャールズ国王の紆余曲折の人生を反映する至高の作品でもあります。現代ロイヤルミント屈指の実力派デザイナー、マーティン・ジェニングスの才気漲る感性の賜物であり、国王自身の愛顧を得て英国コインデザインの新たな代表作となった当ポートレートは、その限りなき純粋性によって順風満帆のスタートを切ることとなりました。長年、貧困層の若者の雇用や就学の機会を推進する非営利団体「プリンスズ・トラスト」を主宰していた王太子時代のチャールズ国王は、国王としての任務の傍ら、今日なおも夥しい数の公務を日常的に遂行されていることで知られており、イギリス連合王国内を始め全世界の英領国家の宗主としての役割を存分に果たされています。イギリス連合王国の新たな時代を象徴する二種の意匠を表裏に刻む当ブリタニア地金型銀貨は、地金型コインの最高傑作としての芸術性を保持しつつ、今後、時勢に即した実物資産としての実力を存分に発揮することでしょう。