2023 チャールズ3世 英国君主コレクション第7弾 チャールズ2世 5ポンド2オンスプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

チャールズ2世の治世の始まりと共に定着した機械打ち式コイン

2022年の幕開けと共に英国モダンコインの新シリーズとしてリリースされ、各界からの反響を呼んだロイヤルミント会心の自信作「英国君主コレクション」。その第1弾として発表された「ヘンリー7世」は、この歴史的な魅力を持つ新コインシリーズの方向性を明確に示唆し、国際的な高評価を獲得しました。続いて発表された第2弾以降も、豊富なラインアップと古典的なデザインの精妙な復刻によって絶賛を博し、それぞれのコインに刻まれた国王の肖像によって紹介される英国王室史のアンソロジーとも呼べる多彩な内容を披露しました。同コレクションが初めて発表された2022年当初は、前国王エリザべス2世の治世最晩年に当たることから、同シリーズが発表するコイン表面には女王の有名な「第5肖像」が刻まれていました。今回発表された第7弾「チャールズ2世」の表面には、同じ王名を持つ現英国君主チャールズ3世の肖像が描かれており、新時代の到来を象徴しています。共和政の護国卿オリバー・クロムウェルが主導する議会派によって1649年1月に父チャールズ1世が処刑された後、ヨーロッパ各地にて亡命生活を送り、遂には共和政を打倒して王政復古を成就した英雄チャールズ2世の波乱の生涯は、後の歴史家たちによって脚色されながらも世紀を超えて語り継がれてきました。王の治世は1666年のロンドン大火を始めとする多くの事象に翻弄されながらも、25年間と比較的長期にわたる安定した時代を享受し、その後の英国の飛躍的な発展に大いに貢献したと言えます。「陽気な王様」としても知られていたチャールズ2世は、私生活においては数多くの女性と浮名を流し、艶福家として知られていたものの、国政に関しては堅実な立場を崩さず、英国の国益を遵守しながらも王室の権威を守り抜いた立身出世の人としてその名を歴史上に刻んでいます。王の治世と並行して、英国貨幣界は新たな時代を迎えることになります。1660年に王政復古を実現したチャールズ2世ですが、それまで主流であったハンマー打ちの手法から機械打ちへの試行期間の後に1663年には完全に機械打ちに移行し、以後そのスタイルが定着することになります。王自身はどちらかと言うとハンマー打ちならではの質感を好んだという記述も残っていますが、この新技術の採用によってコイン製造技術が飛躍的に向上したことは何よりも王の時代に発行され、我々の世に生き残った名貨の数々が物語っています。

「英国君主コレクション」の本来の主旨に適った傑作モダンコインの誕生

過去6回にわたって新たな英国モダンコインのシリーズとして発表され、注目を集めた「英国君主コレクション」。その最新版として今回リリースされることになった「チャールズ2世」は、17世紀当時に制作された王の代表的なコイン・ポートレートを現代に蘇らせ、ステュアート朝最盛期の荘重な空気までをも完璧に再現しています。それまで大国フランスの衛星国のような存在であった英国の立場を飛躍的に向上させ、王権の強化によって自身の存在感を誇示することに成功したチャールズ2世。当コイン表面には在りし日の王の風貌を浮かび上がらせる右向き肖像が堂々と掲げられており、時を忘れてうっとりと眺め入ってしまうほどの絶対感を発散しています。カールが美しい頭髪には古代ギリシャ時代以降、君主や勝利者の象徴とされる月桂冠が掲げられ、王の権威の正統性を物語っています。肖像周囲にはラテン語の荘重な碑文が刻まれており、「神の恩寵によるチャールズ2世」と読むことができます。現存する在世当時に制作された油彩による肖像画から生前の風貌の片鱗を伺い知ることが可能な英国王チャールズ2世ですが、今回復刻された裏面のポートレートにはその写実性豊かな表現力ゆえに、それらとの共通点を容易に見出すことが可能です。そしてコイン表面には、昨年9月8日のエリザベス2世の崩御に際して王位を継承した新国王チャールズ3世の最新の公式ポートレートが描かれており、コイン表面に限りない威厳を与えています。現代を代表するロイヤルミントの名デザイナー、マーティン・ジェニングスによるこのコイン肖像の秀作は、新国王自身の推挙を得てモダンコイン界の新たな顔としてのデビューを飾りました。絵画的な美感を何よりの特徴とする当ポートレートは、新時代の幕開けを飾った国王の即位を象徴する名デザインとして、英国貨幣史上における新たな一歩を刻みました。肖像の周囲には英語とラテン語の融合による格調高い碑文が刻まれており、「神の恩寵によるチャールズ3世・忠誠の守護者」という意味になります。王名の「チャールズ」の部分が通常のラテン語のCAROLUSではなく、英語名のCHARLESになっているところが最大の注目点です。偶然とはいえ、コイン両面に同じ王名を持つ2人の英国王の肖像が約350年の時を経て同時に刻まれることになりました。英国史上初の試みとしてこれら二大英国王を記念する当コインは、英国が創生期以降脈々と継承してきた偉大なる君主制にこそ捧げられるべきであるという、当コインシリーズの本来の主旨に適った厳選された傑作に他なりません。