2023 チャールズ3世 英国君主コレクション第6弾 チャールズ1世 5ポンド2オンスプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

英国史上未曾有の混乱期に君臨した絶対王政の信奉者チャールズ1世

2022年の第1弾「ヘンリー7世」のリリースによって新たにモダンコイン界のレジェンドとして誕生した「英国君主コレクション」。その後も着実に成功を重ね、この度、遂に第6弾を迎えることとなりました。今回取り挙げられることになったチャールズ1世は、英国史上未曾有の激動期を駆け抜け、最期には公開処刑台の露と消えた薄幸の人物として歴史上に記憶されている英国王です。ステュアート朝の初代国王ジェームズ1世の長子として1600年に誕生したチャールズ1世は、父王と同様にその生涯を通じて王権神授説を熱烈に支持する絶対王政の信奉者としての立場を堅持していたことで知られています。1625年3月、父ジェームズ1世の崩御に伴い英国王位を継承し、イングランド、スコットランド、アイルランド王チャールズ1世として即位します。王はフランス王家出身のヘンリエッタ・マリアと結婚しますが、カトリック国出身の王妃を迎えたことは反カトリック勢力の反感を買うことになり、王権神授説の支持と共に議会との対立構造をより明確にするという結果となります。王は、三十年戦争の影響で荒廃する英国経済再建のために国王大権を乱用するのみならず、各種税金を国民から強引に徴収し、星室庁や高等宗務官裁判所などを使い反対派を一掃するなど、議会の意向を無視して専制政治を敷きます。これは後に議会との全面戦争へと繋がり、1640年代以降の英国全土を震撼させる清教徒革命の火種となります。1649年1月27日、オリバー・クロムウェル率いる議会派に敗れたチャールズ1世の処刑が確定します。そして同月30日、チャールズ1世は、自ら当時を代表する天才画家ルーベンスに依頼して制作させた天井画を持つホワイトホール宮殿バンケティングハウス前にて公開処刑に処せられます。王は「余はこの墜落した王位を離れ、決して墜落し得ぬ人生の極致へと向かう。そこはいかなる戦争も存在せず、安寧で満たされた世界である」と、自身の生きた不条理な世の虚しさを物語る辞世の句を残して崩御したとされています。

馬上のチャールズ1世の威厳を再現する人気モダンコインシリーズ会心の最新作

この度の偉大なる彫刻家シリーズの第6弾は、ステュアート朝の第2代国王として生を受けたチャールズ1世とその生涯にスポットを当てるものです。それぞれの国王が生きた時代を代表するアンティークコインのデザインをリマスターすることによって、英国王室が辿った600年もの長大なる歴史を物語る「英国君主コレクション」。過去5回にわたってそれぞれの王朝時代のコインを現在残っている形を元に忠実に再現し、英国モダンコインシリーズの新たな可能性を追求した手法は大いに絶賛されました。1100年もの歴史を有する英国ロイヤルミントがその持てる技を結集して英国貨幣の偉大なる過去を復刻するというこの壮大なる企画は、歴史上の実在の人物としての国王のポートレートを描くコインを、経年による古色はそのままに蘇らせるという全作品共通のスタイルによって統一されています。過去全5作においてそれは顕著であり、各コインの発行当時のオリジナリティーと歴史的な魅力を発揮しつつも、現代ならではの充実した技量を誇示し世界的な称賛を集めました。第1弾が発表された2022年から5年間にわたって繰り広げられることになるこの壮大なる企画は、15世紀に開かれたテューダー朝を始めとする4つの王朝を網羅するシリーズであり、わずか11カ月足らずの在位期間の後に退位したエドワード8世と現国王チャールズ3世を除くエリザベス2世までの全ての国王の治世を代表するコインをそれぞれ取り挙げる予定です。この度発表となった第6弾は、王者の風格を湛える在りし日のチャールズ1世の乗馬姿をポートレートとして描くモダンコインの傑作です。ジェームズ1世に続いて同シリーズ2人目のステュアート朝の国王となるチャールズ1世ですが、馬上の英国君主を描く同シリーズ初のコインデザインとしても注目に値します。このタイプのモダンコインとしては、1953年のエリザベス2世戴冠記念白銅貨や2002年発行のエリザベス2世の在位50周年記念貨の裏面に描かれていた「馬上のエリザベス」が強い印象を残しました。チャールズ1世の時代に制作された馬上の国王を描くこの気高いコインデザインは、今から約400年前に実在したコイン・メダル制作者で、時に機械技師としても名を馳せたフランス出身の芸術家ニコラ・ブリオ最晩年の傑作として知られるものです。フランスからイングランドに渡って帰化したブリオは、1633年にロイヤルミントの主任彫刻師の地位を得ます。彼の生家である著名なユグノーの一族ブリオ家は、彼と彼の父を筆頭として幾世代にもわたって優れたコイン・メダル制作者を世に送り出したことで知られています。当コイン裏面には、昨年のエリザべス2世の崩御に際して王位を継承した新国王チャールズ3世の写実的なポートレートが掲げられています。約400年の時を経てコインの両面にチャールズの王名を持つ2人の国王の肖像が同時に描かれるとは何たる奇遇でしょうか。これからまだまだ続く「英国君主コレクション」ですが、長大なる英国貨幣史の変遷を国王のポートレートを描くアンティークコインによって紹介するというこの余りにも魅力的な主題は、英国モダンコインの真骨頂を示す最も理想的な手段の一つとして、今後一層の評価を確立することでしょう