ロイヤルミントコレクション 戦下の貨幣・紙幣 プレミアム4点セット 箱付き【ご予約承り品】

フランス ルイ18世 20フラン金貨

年代：1815

重量：6.45 g

直径：21.00 mm

額面：20フラン

エッジの刻銘：DOMINE SALVUM FAC REGEM

ジョージ5世 ソブリン金貨 

年代：1918

重量：7.98 g

直径：22.05 mm

額面：ソブリン

品位：約91.7%Au（K22）

ジョージ3世 シリング銀貨 

年代：1787

重量：6.02 g

直径：25.00 mm

額面：シリング

品位：約92.5%Ag（スターリングシルバー）

ブラッドベリ 1ポンド紙幣 

年代：1914 - 1918

18世紀から20世紀にかけての英国戦史を彩る通貨を網羅する史上初のコレクション

2023年の英国ロイヤルミントによる「戦下の通貨」プレミアムセットは、18世紀のフランス革命から20世紀初頭の第一次世界大戦までの期間における英国の軍事上のターニングポイントを象徴する4種の通貨を取り挙げる歴史的な企画です。当セットには3種のコインと1種の紙幣が含まれていますが、そのどれもが英国の軍事史上における優位を物語るものであり、当時の発行による保存状態の良いオリジナルがそれらの事象を浮き彫りにします。1787年発行の「キングズ・シリング銀貨」の表面には右向きのジョージ3世の実に写実的な肖像が描かれており、表面から裏面にわたり「神の恩寵による大英帝国、フランス、及びアイルランド国王ジョージ3世」と定型のラテン語碑文が刻まれています。当時、1シリング銀貨は一般の英国人の数日分の給与と等価とされるほどの価値を持つものでした。そのため軍への入隊を考えている男性にとっては十分に魅力的な報酬額と考えられていたようです。軍の関係者たちは皆一様に入隊希望者に酒を飲ませて酔わせた後、希望者のポケットにこのシリング貨を忍ばせ、気が付いた頃には既に入隊を断ることができなくなっていたという逸話が残っています。18世紀英国史を彩った数々の事象、例えばアメリカ独立戦争やフランス革命などにおいて、英国は常に兵士採用の際にこの「キングズ・シリング銀貨」を用いていました。歴史的に重要な転換期に勃発したこれらの戦闘と関連付けられる貨幣として、このジョージ3世時代の銀貨が当プレミアムセットに加えられることになり、英国史の真の歴史的遺産となったことは興味深いことです。続いてご紹介させていただく1815年発行の「20フラン金貨」は、海外で勃発した戦闘のために派遣された英国兵への支払いのために鋳造されたものでした。ジョージ3世の治世最晩年と時を同じくして起こったナポレオン戦争の終盤戦において、英国政府は夥しい数の英国兵を現地フランスに送り込みました。それらの兵士への支払い用に考案されたのが、ロンドンを本拠とするロイヤルミントの発行によるこの20フラン金貨であったと伝えられています。この金貨はナポレオン戦争終結後もしばらくの間は流通貨として使用されていましたが、同戦争の最後の接戦「ワーテルローの戦い」に際しては英国軍の総司令官であったウェリントン公爵の荷物を積んでいた貨物列車に積み込まれてパリに到着し、すぐさま使用されたのがその始まりであったとのことです。1918年発行の「インド・ソブリン金貨」は、第一次世界大戦末期の英国による敵国ドイツに対する対抗策の一つとして生み出された特殊な通貨として知られています。その数世紀前より金の主要産出国として知られていた英領南アフリカから帝国の首都ロンドンへと金を運ぶ英国船は、その当時度々ドイツ海軍の略奪のターゲットとなっていました。これを深く憂慮した英国政府は船を南アフリカからロンドンへ直接運航する代わりに植民地インドへと送り込み、本国ロイヤルミントから運び込まれた金型を用いて植民地下インド独自のソブリン金貨の鋳造を開始しました。翌年に終戦を迎えたことからそれ以降にこの種のソブリン金貨がインドで発行されることはなくなったものの、英国貨幣界における珍品ソブリン金貨として史上に記録されています。本国で発行された物との唯一の違いは、裏面に描かれているベネデット・ピストゥルッチの大作「聖ジョージの竜退治」の下部中央に刻まれた発行国インドを示す「Ｉ」のイニシャルです。当セットに含まれる唯一の紙幣もまた第一次世界大戦中に発行されたものであり、「ブラッドベリ―1ポンド紙幣」の名によって熱烈な紙幣マニアの蒐集の対象となっているものです。1914年8月4日の第一次世界大戦の開戦後数日以内に、英国政府は国民にソブリン金貨の提供を求める条例を公布します。そしてその後、中央政府に集められたソブリン貨を溶解して製造された金塊は、対外債務の支払いやイングランド銀行の資産の保護、また戦局を好転させるための戦費として次々と投入されることになります。しかし、大量の金の海外への流出が次第に懸念されるようになったため、当時の財務長官、サー・ジョン・ブラッドベリ―主導の下にソブリン金貨に代わる1ポンド紙幣が10シリング紙幣と共に新たに発行されることになりました。この「ブラッドベリ―1ポンド紙幣」は1914年8月7日の初発行当時1ソブリン金貨と等価とされ、10シリング紙幣はハーフ・ソブリン金貨のそれと設定されていました。18世紀から20世紀にかけての激動の時代を彩る数々の戦闘において常に主戦力として参戦した輝かしい経歴を持つ英国ですが、それらの背景として存在するこれらの通貨が初めてセットとして21世紀の世において集結し、これらを生み出したロイヤルミントならではの特別仕様によって日の目を見るに至ったことに歴史的な意義を感じずにはいられません。