2023 エリザベス2世 干支卯年 5ポンド BU白銅貨 パッケージ付き

英国と中国伝統文化をつなぐ架け橋、「十二支シリーズ」

2014年にロイヤルミントが「十二支（= Shēngxiào）シリーズ」第一弾として発表した「午」のデザインが空前の成功を収めた「十二支シリーズ」ですが、中国古来の「十二生肖」に登場する12種類の動物を描く当シリーズは、英国と中国の伝統文化をつなぐ架け橋としての価値を持つ画期的なシリーズです。2023年は「卯年」に当たり、兎のデザインが満を持してコイン上に登場しました。「十二生肖」には12種類の実在と架空の動物が含まれており、古来、中国で暦や方角などを表すために用いられてきました。月日や方角を覚えやすいように身近な動物を当てはめたことがこの概念の始まりでした。太陰暦に基づいて新年を祝う中国の「春節」は、家族や友人を一堂に会した色彩豊かな一年で最も重要な行事の一つとして知られていますが、「十二生肖」の動物と密接な関係があります。日本では、子どもたちの間で変わらぬ人気を集め、想像力を掻き立てている「十二支のはじまり」という昔話がありますが、神様が、動物たちに1月1日の朝、御殿に来るようにとのお触れを出し、到着したものから順番に12番まで1年ずつその年の大将にするといった内容です。十二支の4番目を飾る兎。自慢の跳躍力を持つ兎でしたが、一瞬の隙をつかれ、後ろから追い上げてきた虎に追い越されたと言う逸話が残っています。このような心和む昔話として語り継がれている十二支ですが、十二支は古代中国人の概念を踏襲しており、広くアジア圏において浸透しています。それぞれの動物に込められた意味や願いから、その年の運勢や同年に生まれた人の性格を判断する風習も中国を中心として伝播し、今やアジア全体を象徴する文化として受け入れられています。

生き生きと描かれた兎が象徴する「飛躍の2023年」

干支を構成するそれぞれの動物が一人の人間の人生を象徴し、また具体的な意味づけをすると言う解釈は、大変興味深いものであると言えます。例えば、穏やかで従順なイメージを醸し出す兎は、古来「安全」の象徴とされてきました。また、兎が持つしなやかな跳躍力は、「飛躍・向上」を意味することから、未来に向けての無限の可能性を暗示しているとも解釈することが可能です。中国をはじめとするアジア圏の伝統的概念によりますと、卯年生まれの人の性格を表す言葉として「知性」「優美」「慎重」「温和」等が当てはまります。また、敵をつくらない平和主義と困難にも立ち向かう強固な意志を持ち合わせ、目的を成就するタイプであることを特徴とします。英国ロイヤルミントが手掛けた「十二支シリーズ」が、古代中国を源流とする十二支の概念を世に広め、アジアの伝統文化の架け橋としての役割を担っていることは称賛に価するものです。それぞれの動物が象徴する概念は、新年を迎える国家や国民に希望や勇気を与えるものであり、その後1年間の運勢を決定づける重要な要素でもあります。今回ご紹介させていただく2023卯年記念コインですが、裏面中央に描かれている黄金の兎は未来を見つめ、2023年の飛躍を願うかのような躍動感を醸し出しています。また、兎の柔らかい毛並みが見事に表現されており、「優美」や「温和」を象徴すると同時に、デザイナーの秀逸なセンスと技術の高さが見受けられます。コイン表面に描かれた明るく華やかな黄金の光を放つエリザベス2世のポートレートには、英国をはじめとする世界各国における飛躍と安寧への願いが込められているように感じられます。コロナパンデミックや数々の紛争、多発する自然災害、そして分断や格差の拡大などによる先の見えない不安定性に満ちた今日において、平和や協調、そして飛躍を象徴する兎をデザインとした当コイン発行の意義は極めて大きく、当コインの発行元、英国ロイヤルミントの功績は特筆に価します。十二支に選ばれた動物たちがコインデザイン上に圧倒的な生命感を持って表現され、これまでのリリースにおいて輝かしい成功を収めてきた干支シリーズですが、シリーズ第10弾となる当コインは、金と銀のラインアップによる限定記念コインとして発表されました。現代ロイヤルミント屈指の才人の一人とされるコインデザイナー、Louie Maryon氏による兎の特徴を生き生きと表現したデザイン技術は、英国と中国の両文化を見事に融合させ、各界における高い評価を獲得しました。これらの理由により、今後も続くラインアップの価格推移が大いに期待できる秀逸な芸術作品であることは間違いありません。そして当コインに描かれた躍動感溢れる兎が、シャンパンゴールドや白銀の輝きをともなって卯年2023年全体を照らし出すことでしょう。