2022 エリザベス2世 BBC創立100周年記念 50ペンスプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き

世界における歴史的放送局としてのBBCの重要性

過去1世紀にわたり、BBC（英国放送協会）は公共放送局としてイギリス連合王国と全世界の視聴者に確かな情報を発信し、教養豊かな内容とともに、上質なエンターテイメントを提供し続けてきました。1922年10月18日の設立以降、BBCはその比類なき文化的革新、創造力、公平性を掲げ、高い評価を確立するに至りました。同年、英国放送会社（British Broadcasting Company）としてラジオ放送を開始したBBCは、その5年後の1927年に時の国王ジョージ5世の勅許に基づき英国放送協会（British Broadcasting Corporation）へと改名し、現在に至ります。また1932年には「エンパイア・サービス」の名の下に国際放送を開始し、英連邦を始め、世界中の国々においてBBCのテレビ・ラジオ放送が受信されるようになります。1967年にはカラーテレビでの放送を開始し、1998年には世界初の地上デジタル放送を実現します。世界におけるラジオとテレビ放送の分野を独占してきた感のあるBBCですが、とりわけ初期のラジオ放送の変遷は、英国における公共放送の伝説として語り継がれています。1920年1月15日、英国郵政庁はグリエルモ・マルコーニが設立した無線機メーカー「マルコーニ無線電信会社」に対し、同社の無線電話装置にラジオ放送の許可を与え、長波帯の波長2,500ｍでの定期放送が始まります。同年6月15日にはオペラ歌手ネリー・メルバの3か国語によるラジオ公開用のライブ放送がヨーロッパ大陸に向けて放送され注目を集めましたが、これが世界初の公開ラジオ放送でした。1922年には英国郵政庁の要請により、マルコーニ社、メトロポリタン・ヴィッカース社、無線通信社、ウェスタン・エレクトリック、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー、トムソン・ヒューストン社の6社が出資し、現在BBCとして知られている英国放送協会が設立されました。1932年の12月に開始された海外向け放送「エンパイア・サービス」は、ジョージ5世のクリスマス・メッセージを全国放送し、これ以降、王室関連の中継が本格化します。数々のテレビ番組や10種類のラジオチャンネルの公開放送によって既に世界的な評価を確立しているBBCですが、21世紀以降はBBCニュース、BBC i.プレーヤー、そしてBBCサウンド等の新しいデジタル・サービスの導入によって一層脚光を浴びています。またBBCワールド・サービスの一環として42か国語による配信を可能としていますが、これは世界における真に国際的な放送局としてのBBCの重要性を物語っていると言えます。

コイン表裏に現代英国史を代表する2つの象徴を描く記念コインの名作

2022年はBBCが誕生してからちょうど100周年を迎える節目の年です。この記念すべき時を祝して発行される当コインは、ロイヤルミントがBBCの過去の功績を称えて世に贈る初の英国コインとなります。コイン裏面には公開放送によって世界に版図を広げ、現在の地位を確立したBBCを、地球の型をした丸い地図が表現しています。その上にはリボンのような横断幕が横切り、初放送の年1922年から本年2022年までの西暦が感慨深く刻印されています。その下には「100年間にわたる我々のBBC」なる文言が見られ、英国人の生活にとって必要不可欠であったテレビ・ラジオ放送100年の感動の軌跡を刻んでいます。この記念碑的デザインの創造主は、今や現代ロイヤルミントの顔と言っても過言では無い実力派デザイナー、ヘンリー・グレイです。英国を代表する放送局BBCの国際的認知度に比例するその現代性溢れる知的なデザインによって、常に前進し続ける同局の革新性を見事に表現しており、100周年を祝うに相応しい内容を十全にアピールしているように見受けられます。コイン表面に描かれているのは2022年9月8日に崩御されたエリザベス2世の公式コイン・ポートレート「第5肖像」です。過去70年間にわたり母国英国の安泰を見守り続けた女王ですが、その長きにわたる治世下において国民に情報を発信し、時に慰安を与え続けたのは偏にBBCの功績であったと言わざるを得ません。英国が世界に誇る現代を代表する2大シンボルが一枚のコインの表裏を飾ることになるとは何たる奇遇でしょうか。改めて英国ロイヤルミントの慧眼に対し最大級の賛辞を贈りたいと思いました。