2021 エリザベス2世 クイーンズビースト リッチモンドの白いグレイハウンド 1000ポンド1キロプルーフ金貨 未鑑定 専用ボックス付き 発行数10枚【ご予約承り品】

「リッチモンドの白いグレイハウンド」を描くモダンコインの名作

2017年の「イングランドのライオン」の衝撃的なリリースによって、瞬く間にモダンコインの傑作シリーズとしての地位を確立した「クイーンズ・ビースト」。英国王室に代々伝わる10種の守護獣を取り挙げる同シリーズは、過去数百年にわたり紋章学上の動物として歴代英国王の所有とされてきたこれらの動物をデザイン化するという新機軸を打ち出し、個々の動物にまつわる歴史的な背景をも浮き彫りにするモダンコインならではの企画として、英国本国は元より全世界的な注目を集めています。2021年に同シリーズの第9弾としてリリースされた「リッチモンドの白いグレイハウンド」は、王室の守護獣であるばかりか、広く英国民に親しまれている動物である犬のグレイハウンドに焦点を当て、コイン上に描くものです。実在と架空の動物10種を取り挙げる同シリーズですが、この白いグレイハウンドは前者の代表であり、馬と並んで最も英国にとって特別な存在である犬の代表でもあります。如何なるときも飼い主に忠実で、俊敏な動きを見せる犬は古来叡智の象徴でもあり、英国人の伝統的な生活とは切り離せない密接な信頼関係を過去に構築してきました。特にグレイハウンドはその恐るべき嗅覚と瞬時にして状況を見極めることのできる機敏な性質によって、狩猟には欠かせない友として英国の田園風景に溶け込んでいる感があります。このように、今も昔も英国で愛され続けているグレイハウンドですが、紋章学の世界にて最初に取りあげられるようになるのは14世紀のエドワード3世の治世下においてでした。以降、中世イングランドを舞台として繰り広げられた薔薇戦争を牽引したランカスター家の所有するところとなり、テューダー家の始祖にあたるリッチモンド伯爵ことエドマンド・テューダーから息子のヘンリー7世へと継承され、「リッチモンドの白いグレイハウンド」と命名されるに至ります。現代のウィンザー朝の直系でもあるテューダー家ゆかりの守護獣であるこの愛すべき動物の紋章が、直系の子孫である現英国女王エリザベス2世の所有となっている点は不思議なえにしを感じさせます。2021年の英国貨幣界を鮮烈に彩る当コインの発行は、この守護獣の英国貨幣史における感動的デビューを飾るものであり、英国王室の未来永劫の安泰を約束するものでもあります。

王室を守護すると共に英国の発展を見届けて来たグレイハウンドを描く英国貨幣史上初のコインの誕生

2021年の英国貨幣界における「クイーンズ・ビースト・シリーズ」の第9弾「リッチモンドのグレイハウンド」の解禁は、その優れたデザイン性と同シリーズの全体像をより明確にする完成度の高さによって、コイン界のみならず、正に全世界を魅了しました。コイン上にて忠実に再現されたグレイハウンドの優美な肢体は筆舌に尽くし難く、何よりも英国を象徴するこの動物の多彩な魅力を十全にアピールすることに成功していました。この精彩極まりない見事な描写を可能としたのは、現代英国ロイヤルミントが世界に誇る才人ジョディー・クラークの湧き出でる泉のような有り余る才能に他なりません。2015年には30代半ばにして英国貨幣界屈指の傑作コイン肖像「エリザベス2世の第5肖像」を完成させ、世に送り出した稀代の才人にして繊細な美意識の持ち主であるクラーク氏ですが、対象物であるグレイハウンドから受けたインスピレーションをコイン上のデザインとして昇華される氏の並々ならぬ手腕には圧倒されるばかりであり、いかにこの壮大なるプロジェクトが、ロイヤルミントの氏に対する絶大なる信頼の下、綿密に計画されたものであるかを伺い知ることができます。意気揚々たる趣きをみせる英国の永遠の友であるグレイハウンドが胸に掲げる盾には、この守護獣を紋章として最初に取り挙げたテューダー家をシンボライズする歴史的な「テューダーローズ」が描かれています。元来、中世ヨーロッパの相反する二大勢力であったテューダー家とヨーク家を象徴する紅白の薔薇を組み合わせて形成されたこの有名な紋章ですが、テューダー朝を創設したヘンリー7世が両家の和解の印として敵対するヨーク家の王女エリザベス・オブ・ヨークと婚姻関係を結んだことにより、この紋章が誕生したと伝えられています。過去600年間にわたる英国王室の変遷を見届けて来た守護獣グレイハウンドを描く当コインデザインには、同時に、愛すべき動物との共同生活によって栄光の大地を開拓し、一体国家を成立させるに至った、自然との調和を何よりも大切にする英国人の本質を垣間見る思いがします。