フランス 1976 ヘラクレス 50フランピエフォー試作金貨 PCGS SP68【ご予約承り品】

類い稀なる怪力の持ち主ヘラクレスを描くフランス第5共和政を代表するピエフォー金貨

フランス共和国が国家の威信を賭けて世界に贈る歴史的名貨のご紹介です。その威厳ある秀逸なデザインは、発行後40年以上を経た現在においても未だ衰えぬ人気と圧倒的存在感を誇ります。コイン表面中央にはギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスの立像、向かって左には古代フリュギア風のキャップを載せた棒を掲げる自由を象徴する女神、そして右には天秤を持った平等を象徴する女神の三神が描かれ、現在のフランス共和国のモットーである自由、平等、博愛をそれぞれ暗示しています。この標語の起源は18世紀のフランス革命期に遡り、革命のスローガンの一つとして取り挙げられたのが始まりですが、実際にフランスの公式な標語として採用されることになるのは19世紀末の第三共和政を待たなければなりませんでした。ちなみに「博愛」と日本語訳されるFraternite＝フラテルニテは、どちらかというと兄弟愛、もしくは同志愛に近いニュアンスを持つ言葉です。裏面には2種の若木の枝から成る冠が中央に掲げられており、「フランス共和国」の国名と共に、過去のフランスの栄光の歴史を華麗に彩っています。ヘラクレスはギリシャ神話に登場する英雄で、同神話の数多くの半神半人の英雄の中で最も重要な存在として描写され、後にオリュンポスの神として崇められるようになります。古代ギリシャ各地において神として祀られたヘラクレスは、古代ローマ帝国においても信仰の対象とされていました。「あまねく強者」を意味するギリシャ神話に登場する王エウリュステウスは、その部下であるヘラクレスに対し「十二の功業」の遂行を命じたとされています。この逸話から、「ヘラクレスの選択」と言えば、敢えて苦難の道を突き進むことを意味するようになります。この象徴的なデザインがコインの主題として最初に紹介されるのは王政廃止が宣言された1792年9月21日から、ナポレオン1世による帝政が宣言された1804年5月18日まで存続していた第一共和政下においてでした。しかし、長い空白期間を経てこのデザインが再びフランス・コインの意匠として輝かしい復活を果たすのは1970年のことで、同年から5フラン白銅貨の発行が開始されたことを記念して、同じデザインのピエフォータイプ（厚打ち）の金貨・銀貨・プラチナ貨がリリースされ、70年代のフランス貨幣界を大いに賑わせました。当ピエフォー金貨は海外のオークションでも出品される度にその完成されたデザインゆえに話題となる人気の高いコインで、100gを超える重量のため金の質感を生々しく感じることのできる感動的な傑作コインです。

真のレアリティーのみが表現し得る大国フランスの輝かしき歴史的過去

当コインは、2021年10月20日・21日の両日に渡ってモナコ公国の首都モンテカルロで開催された第8回MDC（モネ・ド・コレクション社）コイン・オークションにて最大の注目を集めた一連のヘラクレス・ピエフォー金貨の一枚です。これらの名品の出品によって、同オークションはそれまでには無かったほどの熱狂の嵐に包まれました。それまではパリ造幣局での発行が主流であったフランス・コインですが、当コインは1973年に新しく創設されたボルドー近郊のペサック造幣局で発行されたものです。世界で最も強い影響力を持つコイン査定機関であるPCGS社による鑑定の結果、1976年発行の同ピエフォー金貨にとっての実質上最高鑑定であるグレード68の認定を受けたフランス・モダンコインの最高傑作です。1970年代に発行された希少なヘラクレス・ピエフォー金貨の中でも、1976年版は100枚しか発行されておらず、その内54枚のみが一般に流通したため当金貨は真のレアリティーということになります。フランスの輝かしい歴史的過去を象徴するヘラクレスを描く当ピエフォー金貨こそ、同国が発行する芸術性豊かなコインの未来を祝福する究極の文化遺産に他なりません。

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