皆様こんにちは。
アンティークコインのショールーム、コインパレスです。
コインのディーラーとして日々お客様とお話をさせて頂いていると、よく「アンティークコイン投資のコツは何ですか」といった質問を頂戴します。
株式投資などと比べるとまだまだアンティーク投資の認知度は低く、ノウハウを発信する書籍も少ないことから、このように思われる方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コインディーラーの視点から、アンティークコイン投資の8つのコツについて解説いたします。
この記事が皆様のコイン収集のお役に立てれば幸いです。
【目次】
アンティークコイン投資とは?
― アンティークコインとは?
― アンティークコイン投資のメリット
― アンティークコイン投資のデメリット
成功の鉄則!アンティークコイン投資の8つのコツ
― コツ1.アンティークコインの相場を知る
― コツ2.いくら値上がりしたら売るか決めておく
― コツ3.信頼できるコインショップで購入する
― コツ4.ショールーム(店頭)で実物を確認してから購入する
― コツ5.鑑定済みのアンティークコインを購入する
― コツ6.偽物の場合に備え、返品できるショップを利用する
― コツ7.値上がりが見込めるアンティークコインを選ぶ
― コツ8.発行枚数や現存数に注目する
アンティークコイン投資とは?
アンティークコイン投資の具体的なコツを紹介させて頂く前に、まずは初めてこの投資方法を耳にされる方に向けて、基本的な情報についておさらいしていきます。
アンティークコインとは?
アンティークコインとは、主に今から100年以上前に発行されたコインを指します。
江戸時代に発行された小判や、中世ヨーロッパの国々で流通していた金貨・銀貨などもこれに該当します。
例外的にイギリスコインの場合は、エリザベス2世が即位した1952年より前に発行されたものがアンティークコインとして取引されることが多いですが、アンティークコインという言葉自体に厳密な定義があるわけではありません。
そのため、ひとことに「アンティークコイン」と言っても年代・発行国・価格は様々で、最もリーズナブルなもので数万円から購入できる場合もあれば、数十億円の価値があるコインもあります。
そんなアンティークコインですが、収集の対象としての歴史は長く、一説によれば古代ローマでは既に「コイン収集」というジャンルが確立されていたと言われています。
14世紀ごろにヨーロッパで興隆したルネサンス期以降は、美術品のコレクションの一環として特に王侯貴族の間でアンティークコインの収集が流行し、「Hobby of Kings(王の娯楽)」として認知されるようになりました。
現在ではそのデザイン的価値と人気の高さから、単なる美術品としてだけでなく、投資の対象として世界中の幅広い層に普及しつつあります。
アンティークコイン投資とは?
20億円で落札された「ハイ・レリーフ金貨」 引用:ABC España
主に100年以上前に発行され、歴史的価値を有するアンティークコインですが、これを利用する投資とはどんなものなのでしょうか。
アンティークコイン投資とはひとことで表しますと、安く入手したコインを高く売却することによって利益を得る投資方法です。
一例を挙げますと、2021年にサザビーズオークションに出品されたアメリカの「ハイ・レリーフ金貨」は、わずか20ドルの額面価値でありながら当時なんと20億円で落札され、硬貨としては史上最高額を記録し話題になりました。
この金貨は2002年に759万ドルで落札されていたことから、2021年までの約20年の間に大幅な値上がりを記録したことになります。
また1847年にイギリスで発行された「ゴチッククラウン」と呼ばれている銀貨は、毎年様々なオークションに出品されていますが、このタイプのあるコインは3年間で約6倍の値上がりを記録しました。
アンティークコイン投資では、このような値上がりを利用して利益を狙います。
同じく「安く買って高く売却する」株投資などと比較すると、アンティークコイン投資ならではの特徴の一つとして、過去に発行された貨幣の現存数が増えるということが無いことを前提として、むしろ溶解や紛失などによって年々数が減っていく中で、時間と共に希少価値が高まりやすいということが挙げられます。
このような背景から、近年アンティークコインは「歴史的価値の高い美術品」としてのみでなく、新たな「投資先」として国内外を問わず様々な層に支持されつつあります。
アンティークコイン投資のメリット
年々、日本でも注目を集めているアンティークコイン投資ですが、具体的なメリットとしては以下の4つが挙げられます。
・始めるのが簡単
・価格が上昇傾向にある
・鑑定会社によって信頼性が保証されている
・美術品としての価値がある
アンティークコイン投資の一番の魅力は、「簡単に始められること」これにつきます。
その方法とは……
「気に入ったコインを買う」→「値上がりを待つ」→「売却する」
この3ステップだけです。
また相場の安定感においても定評があり、特にイギリスコインは、ロンドンのスタンリー・ギボンズ社が1995年から2015年にかけて希少コイン200種を統計したところ、この期間中に一度も値下がりをしなかったとの記録まであります。
さらにアンティークを始めとする芸術品等の実物投資の場合、贋作(偽物)を購入してしまう心配がありますが、「PCGS」や「NGC」のようなコイン鑑定専門機関が鑑定したコインであれば、このようなリスクも回避できます。
アンティークコイン投資のデメリット
アンティークコイン投資は様々なメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。
具体的には以下の3つが挙げられます。
・未鑑定のアンティークコインには偽物もある
・短期保有より長期保有に向いている
・価値の判断が難しい
「PCGS」や「NGC」が鑑定したコインであれば贋作(偽物)のリスクは殆どありませんが、未鑑定コインの場合、贋作が出回るケースは決して少なくありません。
さらに、アンティークコイン投資に対するお客様の疑問で最も多いのが「価値に見合った値段かどうかがわかりにくい」というもの。
同じデザイン、同じ発行年であってもコインの状態によって価格が全く異なるため、このように感じる方も少なくないのです。
しかし鑑定済みのコインであればグレードを元に適正価格を調べやすいため、このようなデメリットもカバーできることでしょう。
成功の鉄則!アンティークコイン投資の8つのコツ
アンティークコイン投資の基本的な情報をおさらいしたところで、この章では、実際に投資を始める方に向けて8つのコツを紹介させて頂きます。
・アンティークコインの相場を知る
・いくら値上がりしたら売るか決めておく
・信頼できるコインショップで購入する
・ショールーム(店頭)で実物を確認してから購入する
・鑑定済みのアンティークコインを購入する
・偽物の場合に備え、返品できるショップを利用する
・値上がりが見込めるアンティークコインを選ぶ
・発行枚数や現存数に注目する
これらのコツについて、詳しく解説していきます。
コツ1.アンティークコインの相場を知る
アンティークコイン購入の際には適正価格を知ることが大切ですが、では適正価格を知るには、どうすればいいのでしょうか。
おすすめは「PCGS」や「NGC」といった鑑定機関が公表している「プライスガイド」を確認するという方法です。
手順は、公式のホームページにアクセスして、鑑定番号を入力するだけ。
ただし、鑑定機関に公表されているコインの金額はコインの価格のみですが、業者が販売する場合には販売手数料や輸入にかかる費用などいくつかプラスの費用が発生します。
また出回っているすべてのコインのデータが記載されているわけでなく、コインの状態によっても価格が大きく変わってきますので、あくまで参考程度にご利用ください。
コツ2.いくら値上がりしたら売るか決めておく
アンティークコインの売り時の判断基準は、保有する期間と、どれくらい値上がりしたら売りに出すのかという2点になります。つまり時間と値段です。
アンティークコインは売却時に購入時との差額がプラスになるように計算して売りに出す必要があります。
そのための基本は「安く買って高く売る」、これにつきますが、コインの購入時に、どれくらい値上がりしたら売るのかという目安をあらかじめ決めておくと、その後の資金計画もスムーズです。
例えば、株でも5%値上がりしたら売る、10%値上がりしたら売るというルールを決めて運用をする方法がありますが、コインの場合もある程度の目安を決めておいて、そこまで値上がりしたら売却するとしても良いでしょう。
その資金を元に、次はもう少しランクの高いコインに投資するといったことも可能です。
コツ3.信頼できるコインショップで購入する
アンティークコイン投資を成功させるために最も重要なことは、信頼できる購入先を見つけることです。
こうした関係を結ぶことによって、コインに関する相談もしやすくなり、販売前のコインの情報なども教えてもらえる可能性が高くなるという利点があります。
長く付き合える信頼のおける購入先の具体的な見つけ方については、下記に信頼できる業者かどうかのチェックリストをご紹介しますので、ぜひ判断の際の参考にご利用ください。
・長年経営をしている業者かどうか
新陳代謝が激しいコイン業界にあって、長年経営をしているということは、それだけ運営能力があり、顧客との間に確かな信頼を築いてきていると考えられます。
・実店舗を持っている業者かどうか
ネットならある日突然ホームページが消えたなどという被害に遭う可能性もありますが、実店舗であれば、そうした被害は避けられます。
また店頭で実際に品物を目で確かめられることも安心材料です。
・積極的に情報発信を行っているかどうか
ホームページや冊子、書籍などでコインの知識や最新の市場状況などを発信している業者であれば、より安心して購入することができます。
・古物商免許を掲げているかどうか
アンティークコインは、法律上は古物にあたります。
そのため、コインショップ経営には古物商の免許が必要です。
古物商の免許を掲げているかどうかということも判断材料の一つとなり得ます。
コツ4.ショールーム(店頭)で実物を確認してから購入する
初めての業者との取り引きや、あるいはまだまだ経験が浅い業者から購入を検討している場合は、実物を確認してから購入することをおすすめします。
同じ業者と何度か取り引きし、確かな信頼が築けている場合ならこの限りではありませんが、高価なコインほど「偽物ではないか」、「表記されたグレードが確かかどうか」といった点も合わせて確認しましょう。
実物確認が難しい場合(オークションでの入札や、また依頼した業者が海外に発注し納品する場合など)を除き、店舗に置かれている品であれば、足を運んで確認いただいたほうが安心です。
弊社コインパレスでは、ネットと実店舗、両方でご確認いただくに越したことはないという考えから、オンラインショップとショールームの両方を運営しております。
気になるコインがありましたら、お気軽にショールームにて実物をご覧くださいませ。
コツ5.鑑定済みのアンティークコインを購入する
初めての一枚を選ぶなら、「PCGS」か「NGC」による鑑定を受けたコインのご購入をおすすめします。
あくまで投資であるため、偽物を買わないというのが一番の鉄則です。
鑑定を受け、さらにスラブケースという特殊なプラスチックの入れ物に封入されている物のほうがよいでしょう。
スラブケース入りコインがおススメである理由は、偽造が難しいからです。
スラブケースは、特殊な樹脂を用い、ラベルのバーコードや透かし、ホログラム等の簡単に偽造ができない工夫が凝らされています。
ケースに添付され鑑定書を兼ねているラベルには、コインの状態を示すグレード、コインの種類、国、発行年度が詳細に記載されており、誰が見ても、そのコインの情報がわかる仕組みになっています。
中には、鑑定済みであるにもかかわらずスラブに入っていない裸コインもありますが、保管上のメリットからもスラブ入りの物をおすすめします。
また、売る時もスラブケースに封入されているコインのほうが格段に売却実績が良いのです。
コツ6.偽物の場合に備え、返品できるショップを利用する
アンティークコインを購入する際は、万が一偽物の場合に返品が可能かどうかを事前に確認しておきましょう。
スタッフに直接確認してもいいですし、店舗を紹介するリーフレットやホームページで確認するという方法もあります。
きちんとした業者のホームページならお買い物ガイドや利用規約などのページに返品条件が記載されているはずです。
仮に実際に届いた商品が明らかに偽物であったり、あるいは確認したところ偽物だとわかった場合は、購入した店舗に連絡を取り、返品の手続きを行うことになります。
きちんとしたコインショップであれば、正当な理由があれば返品に応じて貰える場合がほとんどですが、中には理由に関わらず返品自体を受け付けていないショップもあります。
コイン業界では他の美術品と同様に偽物も多く出回っているため、購入時から万が一の場合に備えておきましょう。
コツ7.値上がりが見込めるアンティークコインを選ぶ
年々日本でも認知度が上がり、人気が高まっているアンティークコイン投資ですが、もちろん全てのコインが値上がりし続けてきたわけではありません。
安定した値上がりを続けてきたコインの特徴は、大きく分けて3つあります。
1.人気の高いコイン
2.デザインの優れたコイン
3.希少性が高いコイン
もちろんこの中の二項目を兼ね備えていたり、三項目ともあてはまるコインもあります。
この他に値上がりしやすいコインの特徴としては、発行された国、さらに鑑定後でもスラブ入りの物であること、そしてコインのグレード等が挙げられます。
また価格に注目してみますと、元々の価格が高いコインほど、値上がり率も高い傾向があります。
価格が高いということは、それだけ貴重で人気があることの裏返しとも言えるため、売却する際にはさらに高値になっている可能性が高いのです。
もちろん、どんなに高価なコインであっても必ずしも値上がりが保証されているわけでは無く、場合によっては元本割れを起こすリスクもありますが、大幅な値上がりを狙うのであれば選択肢の一つとして検討してみるのもいいでしょう。
コツ8.発行枚数や現存数に注目する
WR-277タイプのウナ&ライオン
コインの価値を決める要素の一つとして、発行枚数や現存数などが挙げられます。
コインの世界では、発行枚数や現存数が少ない、つまり希少価値が高いものほど注目されやすく値上がりしやすい傾向があります。
例えば、ヴィクトリア女王治世下の1839年にイギリスで発行された「ウナ&ライオン」金貨のうち、「WR-277」と呼ばれるタイプのものはわずか3~5枚しか現存していないとされています。
そのため、発行枚数が多い他のタイプと比較すると高額で取引されやすく、現在では未鑑定であっても1億円以上の価格が付けられることも珍しくありません。
では、コインの価値を大きく左右する発行枚数や現存数はどのようにして調べることができるのでしょうか。
その方法の一つとして、書籍の活用が挙げられます。
コインの発行国や年代によって参照すべき本は異なりますが、例えばイギリスの銀貨ならSPINK社の「English Silver Coinage」、イギリスの金貨なら同じくSPINK社の「English Gold Coinage」が有名です。
また、弊社の英国コイン研究会が発行している「イギリスコインコレクターズハンドブック モダンコイン 記念コイン編」には、イギリスの主要なモダンコインの発行枚数が掲載されています。
これらの書籍で公開されている発行枚数や現存数を参考に、より希少価値の高いコインを探してみましょう。
まとめ:コツを掴んでアンティークコイン投資を始めましょう
今回は、コインディーラーの視点から、アンティークコイン投資の8つのコツについて解説いたしました。
・アンティークコインの相場を知る
・いくら値上がりしたら売るか決めておく
・信頼できるコインショップで購入する
・ショールーム(店頭)で実物を確認してから購入する
・鑑定済みのアンティークコインを購入する
・偽物の場合に備え、返品できるショップを利用する
・値上がりが見込めるアンティークコインを選ぶ
・発行枚数や現存数に注目する
これらを意識すれば、より納得できる結果を得られやすくなります。
弊社コインパレスでは、メールやショールーム等で投資に関するご相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。