
ご挨拶
アンティークコインのショールーム、コインパレスの児島でございます。
コイン収集家を魅了してやまない英国コインの中でも、その際立つ美しさと繊細さで見るものを虜にする「ウナとライオン」金貨。
2022年にはスイスで開催されたSINCONAオークション英国コレクション第2弾にて、1839年発行のWR280「ウナとライオン」金貨が400,000CHF(=約6800万円〈当時のレートで算出、落札手数料・輸入消費税込み〉)で落札されました。
現在に至るまで、世界中で高い注目を集め続けている「ウナとライオン」金貨!
そこで本日は、1839年発行の「ウナとライオン」5ポンド金貨の稀少性や卓越したデザインの美しさ、さらに近年の価格推移をご紹介いたします。
高額落札が相次ぐ1839年ウナとライオン£5金貨とは?
弊社所蔵のWR-278タイプのウナとライオン
世界一と言われるデザイナー、ウィリアム・ワイオンの卓越した技能によって生み出された「ウナとライオン」5ポンド金貨は、1839年のヴィクトリア女王の在位3周年の年に発行されました。
表面には、最も繊細で美しいと言われる若きヴィクトリア女王の肖像画が描かれています。
また、裏面には、16世紀エドマンド・スペンサーの叙情詩「妖精の女王」に登場するウナ(「真理」を意味する)と、強さの象徴でありイギリスを表すライオンが描かれています。
ヴィクトリア女王を擬人化したウナが強きライオンを導いているこのデザインは、女王が国家の進むべき道を示していると言われています。
内に秘められたエネルギーを醸し出すライオンと穏やかで優雅な立ち姿のウナが織りなすコントラストには、息を呑む美しさがあります。
この1839年銘の5ポンド金貨は、1843年にようやくコレクターの手に渡るようになりました。
1839年発行「ウナとライオン」の種類と稀少性
タイプの比較例(WR277とWR278)
1839年「ウナとライオン」5ポンド金貨が世界中のコレクターたちの注目を集める理由の一つは、その稀少性の高さと種類の豊かさにあると言えます。
僅か数百枚という非常に少ない発行数にもかかわらず、素材やエッジの種類、また、女王のリボンの装飾や刻印において異なるものが少なくとも9種類も存在していることは、正に驚くべき事実と言えます。
これらの異なる装飾や刻印などが施された1839年「ウナとライオン」は、その組み合わせのパターンごとに「WR277」「WR278」「WR280」などのようなタイプに分類され、コインがどのタイプに該当するかはスラブケースにも明記されています。
大注目!1839年「ウナとライオン」のオークション結果をご紹介
弊社所蔵のWR-278タイプのウナとライオン
コレクターたちを魅了するこの金貨は、数々のオークションにおいて、いかに落札者たちの所有欲を高め、価値の飽くなき追求を駆り立てたことでしょうか。
ここからは、過去のオークションで落札された1839年「ウナとライオン」5ポンド金貨について、落札価格を含めてご紹介させて頂きます。
今年約6800万円で落札されたWR280タイプのPF62+CAMEO
まずはWR280タイプの「ウナとライオン」からご紹介させて頂きます。
2022年に開催されたSINCONAオークションで400,000CHF(約6800万円〈当時のレートで算出、落札手数料・輸入消費税込み〉)で落札されたのは、1839年発行5ポンドNGCPF62+鑑定のCAMEOで、独特の美しい輝きを放っています。
「+」鑑定がついているので、63鑑定にほぼ匹敵する高さであると言えます。
WR280タイプのヴィクトリア女王の肖像は、後ろ髪を結わえたリボンに11枚の葉の装飾が施されており、コインの縁は平らなプレーンエッジで仕上げられています。
このタイプは現存する「ウナとライオン」の種類の中でも非常に稀少価値の高いものとされています。
貨幣学界の著名な研究者であるAlex WilsonとMark Rasmussenの定義によると、当金貨の希少度は7段階の7、極めて稀少価値の高いコインということになります。
また、表面には、ラテン語で“VICTORIA D:G: BRITANNIARUM REGINA F:D:”(神の恩寵によるヴィクトリア・グレートブリテン女王・忠誠の守護者)、裏面には、同じくラテン語で“DIRIGE DEUS GRESSUS MEOS”(神よ、我が歩みを導きたまえ)の文字が刻まれています。
更に、裏面の下には、発行年を表すMDCCCXXXIX(1839)とデザイナーであるウィリアム・ワイオンの名が刻印されています。
7年間で約2倍の値上がり!WR278タイプのPR64Deep Cameo
WR278タイプのPR64Deep Cameoグレードは、2015年開催のオークションで約4100万円、その後2022年には約8000万円(両価格ともに当時のレートで算出、落札手数料・輸入消費税込み)で落札されています。
つまり、7年間でおよそ2倍の値上がりを見せているのです。
WR278タイプのヴィクトリア女王の肖像は頭部に2本のリボンが結ばれており、手前のリボンには6つの渦巻き型の装飾、 後ろのリボンには11枚の葉の装飾が施されています。
また、ワイヤーエッジの間に”DECUS ET TUTAMEN ANNO REGNI TERTIO”(治世3年の栄誉と防衛)と小さな文字が書かれています。
希少度は4(Alex WilsonとMark Rasmussenの稀少性ガイドに基づく)で、くっきりとフロスト加工された図案と非常に光沢のある鏡面は目を奪われるほど美しく、比較的大きなこの金貨に64鑑定がつけられることは珍しいとされています。
今後も注目が期待される「ウナとライオン」の値上がりの背景
WR280とWR278の過去のオークション結果から、1839「ウナとライオン」5ポンド金貨の注目度の高さが伺えます。
W280とW278は、デザイン上の差異やグレードの違いにより落札価格を比較することはできないものの、WR278のみを例にあげますと、7年間でおよそ2倍の値上がりを見せています。
値上がりの背景として、更なる高みを求めるコレクターマインドが影響を及ぼしていることは言うまでもなく、コインの希少度やデザイン上の特徴、そして、昨今の自然・人為的災害による社会状況下で現物投資への関心の高まりなどが考えられます。
またヴィクトリア女王の知名度そのものが非常に高いことから、「アンティークコインを買うならまずはヴィクトリア女王」と考えるコレクターが多いことも挙げられます。
いずれにしましても、1839「ウナとライオン」5ポンド金貨は、デザインおよびグレード上の差異にかかわらず、世界で最も美しく目が離せないコインの一つにあることは間違いありません。
弊社のショールームでは、1839年発行の「ウナとライオン」金貨を始め、貴重なアンティークコインやモダンコインを多数展示しております。
是非、弊社のショールームにお越し頂き、この時代を超越した至宝をお手に取って御覧くださいませ。
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