2025 チャールズ3世 リバティ開業150周年記念 5ポンドプルーフカラー銀貨 未鑑定 箱付き

イギリス独自のライフスタイルを重視した豊富な商品ラインアップによって世界的な注目を集める1875年創業の老舗百貨店リバティー

イギリスの首都ロンドンの中心地のグレート・マールバラ・ストリートに面して建つ老舗百貨店リバティー。創業者サー・アーサー・ラセンビー・リバティーによるその創業は、ヴィクトリア女王治世下の1875年にさかのぼり、当時はアジアから輸入されたファブリックや芸術工芸品を取り扱っていました。それまでのイギリス社会では目にすることのなかったそれらの物品は、たちまちロンドン社交界の噂となり、ヴィクトリア時代後期の室内装飾やファッションに多大なる影響を及ぼします。時代を先取りする気風を持ち合わせていた同社は、世紀末のフランスに開花した耽美的な装飾様式であるアール・ヌ―ヴォ様式をいち早く取り入れ、自社のファブリックにプリントを施して大々的に売り出しましたが、これもまた大きな成功を収めました。当時のイタリアでは「アール・ヌ―ヴォ」と言えばリバティー社を指したほどで、アールヌ―ヴォの同義語としての社名を高めたことで知られています。ロンドンには1834年創業のイギリス最古の百貨店であるナイツブリッジのハロッズが存在します。リバティーが創業した頃には既にロンドン屈指の老舗店としての名声をしていたハロッズですが、同じ百貨店と云えどもこれら二社の経営方針は大きく異なります。繊維業と輸入業から発展を遂げたリバティーの真骨頂はやはり服飾関連の分野であり、その傾向は現代に継承されています。その後ファッションのみならず、インテリア部門を充実させることによってイギリスの伝統的なライフスタイルを発信し、イギリスのみならず国際的な注目を集めました。現在の建物はテューダー・リバイバル様式とアーツ・アンド・クラフツの折衷様式のもので、イギリスの第二種指定建造物（Grade II listed Building)に指定されています。外観の梁が特徴的なテューダー朝の本館材木は、二隻の軍艦「インプレグナブル」と「ヒンダスタン」から転用されたものです。現在のリバティーの商品ラインアップは豊富であり、最新流行の化粧品、各種ギフト、ホームウェア、ファッション、家具などを販売しています。ショーウィンドウ装飾家のチームを独自で保有する同社は、毎年シーズンごとの独創性溢れるショーウィンドウ・ディスプレイを発表して人気を集めています。中でもクリスマスのためのそれは有名であり、創造的でありながらも超現実的な装飾によって高い評価を獲得し、ロンドンの冬の風物詩としてロンドン市民を始め、この時期に世界中からロンドンを訪問する旅行者の眼を楽しませています。

王室とも長い信頼関係にあるリバティー百貨店の150周年を記念するコイン

本年2025年はイギリス屈指の百貨店リバティーの創業から150年の節目を迎えます。相変わらずリージェントストリートとグレート・マールバラ・ストリートの角に立つ百貨店は壮観であり、内部の家庭的な雰囲気も現代を忘れさせてくれるどこか懐かしい不思議な空間として機能していることは一目瞭然です。どの売り場も充実していますが、とりわけ有名な化粧品売り場は圧巻で、自然派志向の現代のイギリスが生み出した新しいコスメを始め、イギリスの伝統的な植物由来のバス・ヘアケア用品の類はロンドン市内随一の商品ラインアップを誇ります。また市内の他の百貨店と比較して幾分小規模ではあるものの、同社の食料品売り場はハイクオリティーな商品の取り揃えによって定評があり、イギリスならではのものとしての紅茶の種類の豊富さには目を奪われるほどです。イギリスを代表する造幣機関であるロイヤルミントはリバティー社の150周年に対し、新たなコインデザインの発表によって祝意を捧げることを考え付いたようです。今回ご紹介させていただくコインの裏面には、リバティー百貨店のテューダー様式の壮麗な外観が描かれています。その上に浮かび上がるのは、同社のフラッグシップであるリバティーブリントからの花のデザインを模した意匠です。装飾性と革新によってヴィクトリア期のロンドン上流社会に新風を巻き起こしたリバティー百貨店。それを何よりも象徴するのが、このコイン裏面の斬新な意匠です。コイン表面には、現国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が描かれています。ロンドンを代表するこの名店は当然のことながらイギリス王室とも深い関係にあるはずですが、文化と歴史に造詣が深いことで知られている国王陛下ですので、きっとこの超然の150周年をお喜びになっていることと思われます。美しくもモダンコインとしては異色のテーマの初登場となりました。