HOME > アンティークコイン > 1673 チャールズ2世 5ギニー金貨 NGC AU55+
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チャールズ2世が1660年に成就した王政復古の内幕
1640年代のイングランドを震撼させた市民戦争の余波はやがてイングランド全土に広がりを見せ、チャールズ1世率いる王党派と議会派の中心人物であったオリバー・クロムウェルの一騎打ちとなります。しかし最終的には、父王でステュアート朝の始祖であったジェームズ1世譲りの王権神授説信奉者として知られていたチャールズ1世は革命軍によって捕らわれの身となります。1649年1月30日には生前自身が最も愛し、当時最高の画家レンブラントに内装を依頼して完成させたホワイトホール宮殿のバンケティングハウス前にて公開処刑に処せられるという事態を招きます。ここに護国卿クロムウェル率いるイングランド共和国が成立しますが、今は亡き国王には二人の息子(後のチャールズ2世とジェームズ2世)がいました。清教徒革命によって樹立したイングランド共和国の執政時にはヨーロッパでの亡命生活を余儀なくされていた二人の王子たちでしたが、特にチャールズ王太子は同盟国フランスやイングランド共和国に敵対するスコットランドとの連携を図り、共和政を打倒して自身の帰国を実現する機会を継続的に伺っていました。太古の昔より王政を掲げてきたイングランドのような国家にとって、共和政という政治形態は一般的な国民の心情からはかけ離れたものであったことから、時の経過とともに共和政政府そのものも次第に求心力を失いつつありました。そのような中、1658年には共和政の中心人物であった護国卿クロムウェルの急死により新たな展開を迎えます。これを好機と捉えたチャールズ王太子一派はスコットランドに援軍を要請し、母国イングランドへの待望の帰還を果たします。ロンドンへの入城に際して大勢の国民の歓呼によって迎え入れられ王太子チャールズは、長年にわたる共和政の支配によって疲弊していた人々に対し、新時代の到来を約束します。王政復古の翌年に当たる1661年4月23日にはロンドンのウェストミンスター寺院において新国王チャールズ2世のための盛大な戴冠式が挙行されました。中世以降王室によって代々受け継がれていた戴冠式のための王室祭具が共和政府によって破壊されていたため、この戴冠式に際して新調されました。その中でも聖エドワード王冠はチャールズ2世による王政復古の象徴として誕生したものであり、戴冠式を彩る宝飾品として後の歴代国王によって今日まで代々受け継がれてきました。王冠には、かつてエリザベス1世が所有していたとされる真珠が挿入されており、19世紀のヴィクトリア女王と20世紀初頭のエドワード7世以外のほとんど全ての英国王の頭上を飾ってきました。この王政の復活に際して、新国王は父王チャールズ1世を聖人の列に加え、名誉を回復させると同時に、宿敵クロムウェルの遺体を戴冠式当日に掘り起こし、国王殺しの大逆罪の咎によって会場のウェストミンスター寺院の前で遺体を斬首するという効果絶大な演出を行います。またクロムウェルによる共和政に加担したジェントリー階級に関しては、恩赦という形で地位や名誉の存続を認めることを公表し、その後の自身の治世の安泰を図ります。
21世紀の今日、アンティークコインとしての真価を発揮しつつある極め付きの名品
クロムウェルの共和政を打倒し、王政を復活させて自身の新たな治世を開いた17世紀の偉大なる英雄チャールズ2世。25年間に及んだその在位期間は、1666年にパン屋の出火によって起こったロンドン大火などの偶発的な悲運に見舞われながらも、国内的な平和を享受することができた比較的幸福な時節でした。対外的には当時のヨーロッパの最強国であった隣国フランスとの関係改善を強いられるなど多くの問題を抱えていました。しかし、フランスに対して従属的な立場にあったイングランドの立場を飛躍的に向上させ、アフリカを舞台とする植民地政策に関してはフランスをもしのぐほどの成果を収めまたことは歴史が物語っています。今回ご紹介させていただく作品は、チャールズ2世の治世10年目の節目の年に当たる1669年に発行された秀麗な輝きを誇る5ギニー金貨です。それまでのイングランドにおいて王立造幣局が発行する貨幣の最高位に位置するのはユナイト金貨でしたが、それに代わってチャールズ2世の時代の始まり、つまり王政復古の象徴としてリリースされたのがギニー金貨のそもそもの始まりでした。その後の各王朝時代の最高位の法定金貨として発行され続けたこの金貨は、当時イングランドが開拓していた植民地ギニアから産出される金を用いて製造されていたためギニーと命名されました。表面にはチャールズ2世の優美ながらも威厳が漂う右向き肖像が掲げられています。英国コイン上に描かれている君主の肖像の向きについて時々議論されることがありますが、父王チャールズ1世を死に追いやった宿敵クロムウェルの肖像が左向きであったことから、チャールズ2世は自身の肖像を右向きになるように意思表示をしたというのがこのシステムの始まりでした。以後、今日までこの手法は厳守されており、先代英国王のエリザベス2世のポートレートが右向きであったことに対し、新国王チャールズ3世のそれは左向きというように代替わりに際して変更され、英国貨幣界ならではの慣例となりました。裏面には、チャールズ2世時代のギニー金貨に始まり、その後の歴代国王の時代の全てのギニー金貨の雛形となった十字型の盾の紋章が刻まれています。十字のそれぞれの先端部分には英国王位を象徴する大型の王冠が掲げられており、十字の間には王笏を模したデザインが見られます。表面の肖像周囲には「神の恩寵による国王チャールズ2世の定型碑文が見られ、裏面の碑文「グレートブリテン、フランス、およびアイルランド国王」へと連なります。当時の最高額面とされた5ギニー金貨は王政復古の象徴であるばかりか、英国貨幣界の新たな時代のシンボルでもありましたが、発行から350有余年の歳月を経て21世紀の現代にもたらされた当金貨は、今、正真正銘のアンティーク金貨の極品としての真価を発揮しようとしています。
品番 5552 鑑定番号 2113951020
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