2024 チャールズ3世 6ペンスプルーフ金貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

400年以上にわたって発行され続けてきた英国貨幣の象徴としての6ペンス貨

英国がこれまでに発行してきた6ペンス貨は、時にタナーやシックス・ペニー・ビットなどの愛称で親しまれていましたが、1ポンドの40分の１，また1シリングの半分と等価と設定されている貨幣として知られています。英国内における6ペンスの額面での貨幣の発行はエドワード6世の治世下の1551年に始まり、1980年まで流通していました。1540年代に顕著であった銀貨の価値の低下は、特にテストン銀貨の価値が12ペンスから6ペンスへと低下したことが直接的な原因として挙げられます。価値が低下したテストン貨は日々の取引には便利なものでもありました。6ペンス貨は、1551年の初導入から1947年まで銀を主原料として製造されていましたが、その後、白銅が用いられるようになりました。1971年に十進法が採用されるまでの間、英国ではカロリング朝の貨幣制度が主軸を成していましたが、それによりますと1ポンドは20シリングと等価とされ、さらに1シリングは12ペンスであり、十進法以前は6ペンス2枚分と等価とされていました。十進法が採用されると、古い6ペンス貨は新しい21⁄2 ペンスと等価となりました。その後、テストン貨の価値は低下しましたが、現代とは異なり、コインの価値は市場で取引される金属の価値に左右されることが多かったためと考えられます。特にヘンリー8世の治世下において、コインに含有されていた銀の純度が著しく低下していたことが記録に残っています。エドワード6世の時代以降、クロムウェルによる共和政時代を含めて、英国の6ペンス貨はバリエーション豊かなデザインによって数世紀にわたって継続的に発行されていました。ジョン・シジスモンド・タナーはジョージ2世の時代にロイヤルミントの主任を務めていた人物ですが、十進法の導入までの英国で6ペンス貨が「タナー」と呼ばれていた理由は彼の名に因むとの説があります。1925年、ロイヤルミントは銀貨の純銀含有率を92.5％から50パーセントへと引き下げました。その結果、その年には2種の異なる合金による6ペンス貨が発行されていたことになります。この銀含有率の低減は世界的な傾向であり、銀価格の高騰を受けて起こりました。原材料に銀を用いてのポンド貨幣の発行は1946年には完全に廃止され、それまでそれに充てられていた費用は第二次世界大戦に投入されました。その後、6ペンス貨を含む新しい「銀貨」は銀を全く含まない銅とニッケルの合金である白銅によって製造されるようになります。

フローラルリースが華やかな現代仕様の6ペンス貨の登場

エドワード6世時代最初期の6ペンス貨は、今日なおもある種の審美性を備えた芸術品として、コレクターたちによって珍重されています。表面には若くして亡くなった薄幸のヒーロー、エドワード6世の肖像がテューダーローズと額面を意味するローマ数字Ⅵと共に刻まれています。ポートレートの周囲には王の身位を示す崇高な碑文が連なり、「神の恩寵によるエドワード6世、イングランド、フランス、およびアイルランド国王」と解読することができます。その後の歴代国王の時代に発行された6ペンス貨には基本的にはエドワード6世時代のものと同じ碑文が刻まれていましたが、ポートレートの顔の向きは国王が変わるたびに左から右へと変更されていました。そして裏面には必ずと言っていいほどイングランドを象徴するロイヤル・アームズが刻まれ、「Posvi Deum Adivtore=神は我が救済者なり」を始めとする定番の碑文が掲げられていました。今回ご紹介させていただく作品は、ロイヤルミントが総力を結集して世に贈る現代ならではの6ペンス貨です。各種記念日、結婚や洗礼の記念品として重用された過去を持つ6ペンスですが、当6ペンス貨の裏面にはそれらを象徴する装飾的なフローラルパターンが描かれており、華やいだ雰囲気を演出しています。結婚を象徴するユリ、クリスマスを意味するラン、そして洗礼を祝うアイリス等の花々がリース状に組み込まれ、中央のテューダークラウンを囲んでいます。コイン表面には、2022年の代替わりに際して英国王位を継承した新国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が見られます。ロイヤルミントの名匠マーティン・ジェニングスの代表作として有名なこの肖像は、すでにモダンコインにための肖像作品としては傑作の部類に入るものです。表裏に現代を象徴する磨き洗練されたデザインを配する当コインは、英国コインの伝統を未来に伝える重要な役割を担うことになるでしょう。