1822 ジョージ4世 ブリタニア 1/4ペニー銅貨 PCGS MS64BN S-3822

英国史上にその名を刻む類い稀なる美意識と行動力の持ち主であったジョージ4世

イングランドのハノーヴァー朝の第3代国王の王太子として誕生した後のジョージ4世。113年間続いた「ジョージ王朝時代」は、後の大英帝国の最盛期「ヴィクトリア朝」の過渡期として、英国史上において重要な役割を果たしました。とりわけジョージ3世の治世末期は、英国を始めヨーロッパ各国がナポレオン戦争によって翻弄されていた苦難の年月であり、王位継承権第1位の保持者であったジョージ4世が摂政王太子として父王を補佐し、活躍した時期に当たります。1820年、父王ジョージ3世の崩御によって英国王として即位したジョージ4世は、歴史的にはその類稀なる美意識ゆえに誤解された国王であったかもしれません。しかし、現在のウィンザー朝の安泰を見る時、王が断行した数々の改革が決して無駄ではなかったことを証明しているように思われるのも確かです。19世紀初頭を代表するファッションリーダーとしても名を馳せたジョージ4世は、即位と同時に王室内の「美化」に着手します。その治世下に新築、もしくは改築された王室所有の宮殿群の中でも、バッキンガム宮殿の大改装は歴史上に刻まれる功績であり、その後、約2世紀にわたって受け継がれる王室財産としての同宮殿の基礎を確立しました。19世紀初頭当時を代表する名建築家ジョン・ナッシュの助言を得て改装された同宮殿は、王の有り余る美意識を反映して今日見られる形へと改められました。その壁面には父王ジョージ3世自らが収集したとされる古今東西の名画コレクションが網羅されており、同宮殿が親子二代にわたる審美眼の賜物であることを証明しています。また王室の離宮として知られるウィンザー城の大改築も歴史的に有名であり、長きにわたって王室の栄枯盛衰を見守って来たこの名建築もまた、その偉容を保ったまま見事に生まれ変わりました。そしてジョージ4世の治世下最大の偉業として、避暑地として当時から有名であったブライトンの地に新たに建立された名建築ロイヤルパヴィリオンの壮絶な建築美が挙げられることでしょう。異国情緒豊かな外観を持つこの宮殿は、英国王ジョージ4世の生涯の総決算として存在し、今日なおも訪問客の眼と心を満たしています。ジョージ4世はチャールズ2世が生きた17世紀以降にスコットランドを訪問した初の英国王でもあり、王室にとってはイギリス連合王国の成立以降最大の快挙として実現したことから大いに祝福されました。

ジョージ4世が生きた19世紀前半における英国の国家的大成を両面に表現する究極の文化遺産

今回ご紹介させていただく1/4ペニー銅貨は、ジョージ4世の治世初期の1822年に発行された逸品であり、本年御年201歳を迎える正真正銘の英国アンティークコインです。コイン表面には、美と感動を何よりも愛した生前のジョージ4世の勇姿を写実的に再現する左向きの肖像が掲げられています。荒々しいまでに波打つ見事な短髪、勝利者の証である頭上の月桂冠、なだらかなドレープが美しい古代風の衣装、そして何よりも張り詰めた真摯な表情を浮かべる国王の精悍な横顔と太い頸部、そのどれもがこの傑作ポートレートを傑作足らしめている必要不可欠な要素であり、ナポレオン戦争時に英国を勝利に導いた稀代の英雄の功績を讃えています。「神の恩寵によるジョージ4世」とラテン語にて記された周囲の碑文が、この稀有の君主の英雄性を一段と際立たせていることは確かです。コイン裏面には約2000年間にわたってグレートブリテン島を守護し続けて来た永遠の女神ブリタニアの荘厳なる座像が浮かび上がります。古代コリント式の兜、海運国家を象徴する三又の槍トライデント、英国の国旗ユニオンジャックを模るシールド等、ブリタニアを暗示する諸要素はここに全て集結しており、それまでに英国が育んできた女神の古典的美感を余すところなく表現しています。その周囲には「グレートブリテン国王・忠誠の守護者」と刻まれ、表面の碑文の続きとして同じくラテン語にて連なっています。経年劣化によるマテリアルとしての銅ならではのデリケートな美しさを最大の特徴とする当銅貨は、2世紀の時を経て現代にもたらされた超一流の芸術品であり、ジョージ4世が生きた19世紀前半の英国の国家としての大成を両面に表出する究極の文化遺産でもあります。

品番	3587
鑑定番号	39496695 現在のPCGS鑑定数はここをクリック下さい
価格	一般価格：49,500 円(税込) 会員価格： 45,000 円(税込) 商品についてのお問い合わせ
グレード数	MS64BN
最大発行数	5924300
重量	約4.54 g
直径	約22.00mm
表面	ジョージ4世
裏側	ブリタニア
発送元	日本国内から発送