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【特別コラム】イングランドの首都ロンドンは無限に広がるアンティークのユートピア【第2部】


アンティークコイン

ご挨拶

皆様こんにちは。英国アンティークコイン専門店コインパレスの室田です。

本日は先週配信致しました第1部に続き、イングランドの首都ロンドンで繰り広げられるアンティーク・マーケット巡りの旅[第2部]を皆様にお届けいたします。

 

1週間にわたる旅物語をエッセーの形式で書かせて頂いたこのブログですが、この第2弾にて大詰めを迎えます。

どうか最後までご高覧のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

ケンジントン宮殿オランジェリー:ポートベローでの宝探しの後に是非とも訪れたい宮殿ティールームでの至福のひと時

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引用:https://www.lomaxwood.co.uk/news/lomax-and-wood-at-the-grade-i-orangery-kensington-palace-london/

ポートベロ・マーケットの所在地であるノッティング・ヒルは、英国人俳優ヒュー・グラント主演の1999年公開の映画「ノッティング・ヒルの恋人」の舞台となった街で、 映画の中でもアンティーク・マーケットの喧噪と住み心地のいい閑静な住宅街が余すところなく描写されていました。

グラント演じる平凡な本屋の冴えない店主とお忍びで英国を訪問する世界的ハリウッド女優がこの街で出会い、恋に落ち、結婚に至るというハッピーエンド・ストーリーです。 そんなノッティング・ヒル地区にはおしゃれなブティックやカフェが無数に点在し、地元住民を始め世界中からロンドンにあこがれてやってくる観光客を温かく迎えています。

土曜日の今日はポートベロー・マーケットからは至近距離にあり、格調高いインテリアとホームメイドの焼き菓子、 そして何よりも五感を酔わせる香り高き英国紅茶を売りにするケンジントン宮殿オランジェリーというティールームへと向かいます。

白亜のティールームと周囲に広がる芝生の緑のコントラストが見事な宮殿ティールームとして知られるオランジェリーですが、時折野生のリスの出迎えがあり、 英国の田園風景を絵に描いたような外の情景がティールーム内部の静謐と溶け合い一種独特な情趣を醸し出しています。この荘厳を湛えた建物の起源は古く、18世紀初頭のアン女王の治世に遡ります。

当初珍しい植物を栽培するための温室として創建されたオランジェリーですが、20世紀に入り、英国紅茶を楽しむ優雅なティー・プレイスとして万人に門戸を開くようになりました。 紅茶を愛でるゲスト達の音楽のように滑らかな会話が、漆喰細工の施された高い純白の天井に微かにこだましています。

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引用:https://afternoonteaonline.co.uk/book/orangery-kensington-palace/

この至高の空間での静寂感に包まれた午後の紅茶のひと時は、ポートベローで宝探しに奔走した後の疲弊感をほどよく癒してくれます。 周りのテーブルと同じ白いボーン・チャイナで供されるアフタヌーンティー・セットを注文した後、マーケットでの戦利品をテーブルに並べ、午前中の成果を検証し始めることにします。

香り高きダージリン紅茶と3段重ねのスタンドに飾り付けられた焼き菓子の饗宴を愛でながら、この歴史的空間でのひと時を心ゆくまで堪能できるとは何と贅沢な体験でしょうか。 一瞬も止まることなく、常に前進しているはずの時間の感覚は、このティールームでは輪郭を失い、非常に味気ない漠然としたものに感じられます。

ティールームの肘掛け椅子に身をうずめながら、芳しい紅茶の香りを嗅ぎ、ただただ移ろいゆく時の経過に身を任せる優雅な午後こそは、英国が遠き地球の裏側から来た旅人に約束する至福の瞬間です。 午前中のマーケットでの様々な情景がフラッシュバックのように蘇り、濃厚な芳香とともにティーカップの中にくっきりと浮かび上がってきます。

そして希望と栄光の大地イギリスを彷徨う喜びが再びこみ上げてくるのを強く感じます。人生とは宝探しの旅である、と常に実感させてくれるイギリス。 そこでの私のアンティーク・マーケット巡りの旅も終わりに近づきつつありますが、明日訪問するロンドン最大のフェアにてクライマックスを迎えることでしょう。

刻一刻と変わりゆくのどかな午後の景観を正確に投映するガラス窓の外に目をやりますと、早くも夕方の陰りのある木漏れ日が庭園の木立の間から緑のカーペットに降り注ぎ、 永遠を感じさせる平和な土曜の午後の余韻を影絵のように映し出していました。

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引用:https://kerrylifeandloves.com/2019/10/23/quirky-hotels-london-batty-langleys/

 

 

ロンドンの隠れ家的宿ハズリッツ・ホテルでの滞在とカレー・ロードで体験するロンドンならではのスパイス・パラダイス

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引用:https://www.booking.com/hotel/gb/hazlittshotel.ja.html?activeTab=photosGallery

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引用:https://kerrylifeandloves.com/2019/10/23/quirky-hotels-london-batty-langleys/

今日は久しぶりにポートベロー・マーケットでのアンティーク探しを満喫し、心身ともにリフレッシュすることが出来た半日でしたが、 夕方以降の予定を立てていなかったので一旦ホテルに戻ることにしました。今回滞在するホテルはミュージカル・シアターが立ち並ぶロンドン市内随一の繁華街ソーホーの中心にある隠れ家的ホテル「ハズリッツ」です。

ロンドン市民の憩いの場であるソーホー・スクエアの目と鼻の先にあるこの古めかしいホテルは、18世紀の随筆家ウィリアム・ハズリットがかつて住んでいたジョージ王朝時代の3つの建物からなる言わずと知れた隠れ家的な宿です。

このホテルの成功の最大の理由は、そのロンドン中心部に位置する便利なロケーションのみではなく、口コミで広まった古きよき英国の風格漂うホテルの内装と、ルームサービスを含む館内の飲食施設のクオリティーの高さです。 特に猫脚付きヴィクトリア朝様式のバスタブでの入浴は、現代的なホテル・チェーンでは望むべくもない排他的な楽しみです。

ラベンダーや英国シダなどの伝統的な入浴剤を用いての極上のバスタイムは、ホテル滞在中の上質な時間の一部分としてこのホテルの熱烈なファンによって格別に愛されています。天蓋付きのルネッサンス朝の重厚なベッドが設えられた寝室はどこまでも伝統的な英国を追及しており、 我々が21世紀に生きているという現実を一瞬忘れさせるほど英国の過去に対する飽くなき憧憬を抱かせます。

客室に戻り、カーテンを開けて外を見渡しますと、ごく平凡なロンドン市民の生活が繰り広げられているようで、どこからともなく聞こえてくる子供たちの無邪気な甲高い声が、日が暮れるまでにまだ少し時間があることを教えてくれます。 しかし時計を見ますと実際にはもう5時半を回っており、5月のロンドンの日の長さを思い出すに至ります。ただ、夕食のために外出するには丁度いい時間帯ではあると思いました。

ここ数日立て続けに食した英国料理に少し飽きてきた私の胃袋が求めていたのはインド料理を置いて他にありませんでした。かつての大英帝国の首都であるロンドンは、本国インド以外で最も美味しいインド料理を堪能することのできる都市として世界的に知られており、 レストランも星の数ほどあります。アンティーク・マーケット巡りの後の土曜日の夕食に相応しく、ロンドンならではの、しかも特別な料理を求めていた私の足は自然に地下鉄ユーストン駅の西側に延びる「カレー・ロード」の異名を取るドラモンド・ストリートへと向かっていました。

インド料理のレストランが立ち並ぶこの界隈は洋食に飽きた味覚にはうってつけの場所で、今回夕食を取ることになったベジタリアンとヴィーガン(完全菜食主義)料理の専門店ディワナ・ベル・プーリ・ハウスは、この種のレストランとしては老舗の部類に入る名店として知られています。 長らくインドを植民地としていた英国ですが、スパイスをふんだんに用いた風味豊かなインドの味は、やがて本国の首都ロンドンにもたらされ、英国人の普段の生活に浸透するようになります。

太古の昔、ローマ帝国の属州として急成長を遂げた現在のイギリスは、その後2000年に渡って他国の風習や伝統の影響を受けて自国文化を形成してきた経緯があります。その象徴とも言えるのが、 インドからの移民によって育まれた英国での本格的なインド料理の受容ではないかと思われます。インド式の珍しいデザートを含むバイキングスタイルのディナーは食べ応えがあり、 野菜のみを用いて調理したとはとても思えないほどのボリューム感があります。カレーや総菜類も豊富で大満足の夕食で、ロンドン滞在中最も長い一日であった土曜日の締め括りに相応しい感動的なフィナーレとなりました。

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引用:https://www.tripadvisor.co.uk/Restaurant_Review-g186338-d720396-Reviews-Ravishankar_Bhel_Poori-London_England.html#photos;aggregationId=101&albumid=101&filter=7&ff=314084477