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都市景観コインシリーズ第1弾
伝統と革新が交錯する多彩な魅力を持つ大都市ロンドン

第1弾を飾るこのコイン裏面には、17世紀初頭のロンドンの世にも美しい景観が描かれています。テムズ川沿いに広がる見事な景色の魅力を伝えるこのデザインは、ステュアート朝の創設者ジェームズ1世の治世下のロンドンで頭角を現したボヘミア出身の芸術家、ウェンセスラウ・ホラーの風景画をオリジナルとしてコイン上に写し描いたものです。

コイン表面には英国を代表する人物であるエリザベス2世の肖像が描かれていますが、ロンドンに生まれ、ロンドンと共に生きた女王のこの街に対する限りない愛情を感じさせる秀逸なポートレートが裏面の美しい景観との見事な調和を醸し出しています。当コインは、英国とその長大なる歴史をこよなく愛する真の英国コインファンに贈られるべき永遠の文化遺産に他なりません。

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過去の遺産を保護するための新たなる創造

世界中の大都市は、全人類の遺産としての価値を持つその都市を象徴する重要な建造物の存在感によって特徴づけられています。我々の新しい「都市景観シリーズ」は建築学上の快挙であり、次世代に継承されるべき遺産でもある息を呑むほどに優れた景観に敬意を表するものです。当コインシリーズは世界中の都市を象徴するデザインを数年間にわたってご紹介させていただくことを目的として考案されました。

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当シリーズは、ユネスコの世界遺産でもあるロンドン塔を描くコインによってスタートします。ウィリアム征服王が自身の権力の象徴として建造したと伝えられているこの荘厳な趣を湛えた石造りの要塞は、過去1千年以上にわたってロンドンの都市空間においてその偉容を誇示して来ました。
ボヘミア出身の芸術家ウェンセスラウス・ホラー(1607-77)が手掛けた歴史的に重要な資料に基づくロンドンの景観を裏面に描く当コインシリーズですが、ゴールド版とシルバー版を含む多彩なラインアップにてお求めいただけます。

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驚異的な銅版画家の生涯
Wenceslaus Hollar (1607-77)

ヨーロッパ史の激動期と同時期に類まれなるキャリアを展開したボヘミア出身の芸術家ウェンセスラウス・ホラー(1607-77)の作品は、この度の都市景観シリーズ第一弾を飾ったロンドンの風景を描くコイン裏面のデザインのインスピレーションの源となりました。プラハで生まれたホラーですが、プロテスタントを信仰する彼の家族は三十年戦争時の1620年に起きたプラハでの略奪行為の後に全財産を失うことを余儀なくされます。1627年にホラーはドイツに移住しますが、職を求めて幾つかの都市を転々とした後に弁護士としての下積みを止めて当時を代表する彫刻家の一人であったマタウス・メリアンの助手となり、芸術家としての道を歩むことになります。

著名なコレクターであったトマス・ハワードこと21代アランデル伯爵が1636年に外交官としてケルンを訪問していた時のことでした。ホラーの制作技術と作品がこの英国貴族の目に留まり、自身の帰国に際してホラーをロンドンに招聘することを切望したと言われています。当時、伯爵は芸術に理解のある裕福なパトロンとして知られていました。この出会いによってホラーは戦後荒廃していたドイツを離れるチャンスを掴みます。その翌年、ロンドンに到着したホラーは、ストランドとテムズ川の間に位置するアランデル伯爵の邸にて一室を与えられ、ロンドンに居を定めることになります。この英国の首都は瞬時にして彼の創作意欲を刺激し、生涯にわたる主要な画題の一つとなりました。

彼の傑作「バンク側からのロンドンの風景」は1647年にこの地で制作されましたが、これは過去のロンドンの風景を描いたパノラマ画の最高傑作の一つと見なされています。

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ホラーの作品は17世紀のヨーロッパ社会を投映する驚嘆に値する視覚的記録として高く評価されており、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー、テイト・ブリテン、そしてニューヨークのメトロポリタン美術館を含む全世界の第一級の博物館やギャラリーにて展示されています。

彼の作品が主眼とする野心的なまでに高められた流れるような広がりを見せる都市景観とその歴史的な重要性は、新しいコインのデザインにはうってつけの要素であると言えます。この度、ロンドンを描いた彼の作品がロイヤルミントのデザイン部門の手によって鮮烈な美感を伴って見事にコイン上に蘇りました。

18世紀のイングランドを代表する文学者サミュエル・ジョンソンはかつて

「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与えうるものすべてのものが存在する」

と書き記しましたが、今もなおその伝統と革新が交錯する多彩な魅力によって全世界の注目を集め、イギリス連合王国の中心地として活況を呈しています。