2026 チャールズ3世 ヴィクトリア女王没後125周年記念 女王の生涯 5ポンドプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

ヴィクトリア女王の没後125周年に捧げられるロイヤルミント会心の力作の登場

1837年の即位によって大英帝国の宗主となったヴィクトリア女王（1819－1901)。63年間の長期在位に及んだ女王の治世は「ヴィクトリア朝」と呼ばれ、日の沈むことなき帝国が全世界を支配した稀有な時代として歴史に刻まれています。帝国の主として名を残した女王でしたが、今日在世当時の女王の日常生活についてはある一つの媒体のみによってしか知ることはできません。女王が生涯にわたって書き記した日記は、女王を取り巻く当時のイギリス王室の宮廷生活を知る上でも重要な資料とされていますが、とりわけ19世紀を代表する日記文学の最高峰として、後の世の歴史家によって高く評価されています。女王が日記を付け始めたのは13歳の時のことで、女王の家庭教師であったルイーゼ・レーツェンの勧めによって始まったとのことです。その頃までに女王は推定王位継承者となっていたため、王室内において本格的な帝王教育が開始され他ばかりの時のことでした。当時の上流階級の子女のたしなみとされた乗馬、絵画、フランス語、イタリア語、ラテン語などの授業は全て宮殿内にて行われていましたが、それらによって女王の学問に対する興味は大いに増長されました。それらの中でも特に女王が興味を示したのは絵画、つまり絵を描くことでした。自身の自画像をデッサンしたり、イギリス国王となってからは隣国フランスの君主ナポレオン3世を描いたポートレートなどが現代のロイヤルコレクションに残っており、女王の絵画的才能の片鱗を窺うことができます。かようにして、順風満帆なスタートを切ったかのように思われた若き日のヴィクトリア女王ですが、将来的にイギリスの君主となるための自覚の構築には時間を要したようです。ある歴史の授業の時のこと、レーツェンが王室の家系図をあらかじめ歴史書のあるページに挟んでおいたのを発見した女王は、自身の王位継承が近いことを悟ります。この日のことも日記に記されていますが、授業が終わってから自室に戻った際にさめざめと涙を流したとのことでした。しかしその涙は決して無駄ではなかったようで、将来的に巨大な大英帝国の君主となるための覚悟に至る通過儀礼のようなものであったのかもしれません。このようにして、女王の日記は今日でもあまり語られることのない幼少期から君主として即位するまでの日常を描き出している点で重要であり、女王の内面を映し出す鏡のような印象を読者に与えることでしょう。また君主としての即位後の女王を知る上でも重要な役割りを果たすものであり、日記の執筆が女王の観察眼の賜物であることは間違いありません。日記に登場する人々は常に冷静に観察され、無駄無く文章の中に織り込まれていきます。夫アルバート公爵とは相思相愛の仲で知られていたことからもわかるように、いわゆるおしどり夫婦と見なされていた感の強い女王夫妻でしたが、日記の中では夫婦間の意見の相違や、日常のプライベートな一コマまでもが忌憚なく語られており、極めて興味深いものです。その他、女王と面識のある全ての人物の描写が含まれており、首相を始めとする政治家たちとの出会いや日常の会話などが事細かに書き記されています。晩年には高齢による体調不良が顕著となり、また立憲君主であるとはいえ時代の流れと共に議会においても自身の意見が通りにくくなりつつあったため、女王にできたことはただその不満を日記に書き記すことのみであったといわれています。同時代の日記文学の最高傑作と目されることも多いヴィクトリア女王の手記ですが、長期在位を誇った歴史上の人物の内面を知る文献としてのみではなく、19世紀に生きたある一人の女性の生き様を知る資料としても実に読みごたえがあります。今回ご紹介させていただくコインは、稀代の君主ヴィクトリア女王の没後125周年の企画の一環としてロイヤルミントが制作したものです。コイン裏面には若き日の女王と晩年の女王を描くポートレートが描かれており壮観です。前者のポートレートはおそらくは王女時代のものと思われますが、コイン上にてこのような若い時代の横顔が刻まれるのは大変珍しいことで、女王の過去を知る上でも貴重な文化遺産としての価値を持ちます。もう一つの対照的な晩年のポートレートは、大英帝国の君主としての貫録を身に着けており、頭上のダイアモンドコロネットから1870年代以降の女王を描いたものであるということが分かります。コイン表面には女王にとっての直系の子孫に当たる現イギリス国王チャールズ3世の公式第1コイン肖像が掲げられています。現在のイギリスの基礎を築き上げた君主ヴィクトリア女王の栄光の治世63年間に捧げられる英国貨幣界が総力を結集しての新たな傑作の誕生です。