HOME ＞ アンティークコイン ＞ イタリア 1917R ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世 リラ銀貨 PCGS Genuine Cleaning-XF Details
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一般価格：5,500 円(税込)
会員価格： 5,000 円(税込)20世紀初頭の激動の時代に祖国イタリアと命運を共にしたヴィットーリオ・エマヌエーレ3世
イタリア・サヴォイア朝の第3代君主として46年間の長期在位を行ったヴィットーリオ・エマヌエーレ3世（1869-1947）。第一次世界大戦と第二次世界大戦の双方にて主要参戦国の国家元首として大権を揮った国王は、後者に関してはファシズム運動の指導者ベニート・ムッソリーニによる全体主義体制とも緊密な協調関係を構築しました。サヴォイア家の特権として、イタリア国王以外にも、エチオピア皇帝、アルバニア国王、モンテネグロ国王、クロアチア国王等の称号を保有し、イタリアの海外領土の版図拡大に尽力しましたが、第二次世界大戦末期にはムッソリーニを放逐して枢軸国から離脱して、連合国側に寄与しました。1900年7月29日、父王ウンベルト1世が無政府主義者によって暗殺されたため、30歳の若さで祖父の名を引き継いでヴィットーリオ・エマヌエーレ3世として即位し、王太子妃であったイェレナもイタリア王妃エレナとなります。父ウンベルト1世は遺言として「君主に必要なことは、いかにして馬に乗り、新聞を読み、署名を行うかということだけだ」とのみ言い残したとのことです。この言葉はそのままイタリアにおける立憲君主制を示唆したものであり、王もまたそれに従い、青年期には政治的な事柄に関与することを意識的に避けていました。また父が無政府主義者に暗殺されたという事実を受け止めたうえで、自由主義的な憲法の制定に前向きな姿勢を見せるなど、穏健な君主としての立場をわきまえていました。政務に関しては、老獪な政治家として知られたジョヴァンニ・ジョリッティを起用し、何度も首相に任命したほどでした。建国以降、議会に対して解散権や組閣兼などの極めて強大な権限を保有するイタリア国王は、いつでも親政を行うことができる立場にありました。そして国王自身は、治世の最初の20年間の後半に差し掛かると議会政治に関して不信感を抱くようになっていたことも確かで、後年顕著となる強権的な君主としての一面を現し始めるようになります。1914年、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承権保持者フランツ・フェルディナント大公がサラエボで暗殺されたことがきっかけとなり、第一次世界大戦が勃発します。未解決のイタリア問題からオーストリアとの関係が悪化していたため、イタリアは参戦を一旦見送ることになり、中立を宣言します。しかし連合国側から参戦を促されると、イタリア議会は賛成派と反対派に二分するという事態に陥ります。そして反対派の意見が大多数を占めていたにもかかわらず、国王は賛成派を支持するというというあからさまな政治介入を行い議会に衝撃を与えます。戦局は困難を極め、イタリア側から多数の死傷者を出したにもかかわらず、国王自身は兵士たちを奨励しました。結果的に連合国側の圧勝によって終戦を迎えたため国王の功名となり、その治世において最も尊敬を集めることになりました。戦争中に払った人的犠牲によって、イタリアはオーストリアからの土地の奪還に成功します。同時に経済的負担から暴動やストライキが各地で発生し、社会全体が不安定化します。そのような社会背景のもとに、復員兵や貴族たちからなる民族主義・国粋主義的な政党「ファシスト党」が勢力を増すようになります。戦後の内乱を回避するためにはファシスト党に接近するより無かった、と後に王は自伝で述べていました。結果的にムッソリーニの政権は第二次世界大戦でのイタリアの敗退によって消滅しますが、戦後は王自身もその責任の一端が自身にあったことを悟って引退を余儀なくされ、王太子がウンベルト2世として即位することになります。
イタリア国王の栄光と苦悩を描き出す歴史遺産としての流通貨
悲惨を極めた大戦の後に、国家の運営をゆだねられた政権は王政の是非を問う機運の高まりを受けて、1946年6月2日に国民投票を行うことを決定します。そして投票に先立つ5月9日、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はファシスト政権を支援した過去の清算として自ら正式に退位し、ウンベルト王太子が第4代イタリア国王として即位します。しかし6月2日当日の選挙の結果、賛成54％、反対46％で王政廃止が決定され、6月13日にウンベルト2世は退位し、サヴォイア朝イタリア王国は事実上崩壊します。結果的に祖父が築き上げた王国を滅亡へと導いてしまった自責の念を抱いていたヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は、1947年12月28日、失意の中滞在先のアレクサンドリアにて病没します。今回ご紹介させていただくコインは、今世紀初頭のイタリアと命運を共にしたサヴォイア朝第3代国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世記念のリラ銀貨です。表面には軍服に身を包んだ国王の右向き肖像が描かれています。肖像の周囲には「イタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世」という意味のイタリア語碑文が掲げられています。コイン裏面左側には、緩やかな衣装をまとった女神の立像が見られ、3頭立ての馬車が女神の采配によって今にも走り出そうとしています。20世紀初頭様式の影響が見られるこの裏面の繊細華麗なデザインは、王政時代のイタリアならではの伝統的な装飾美に満ちており、時代背景を感じさせるものでもあります。同時に、君主の権限が天の意思によるものであるという伝統的な王権神授説をも感じさせるデザイン内容から、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が保持した強大な王権を何よりも暗示しているように思われます。流通貨でありながらも芸術性豊かな表裏のデザインによって長期的な生命を保つ当リラ銀貨は、激動の20世紀初頭に翻弄されたイタリア国王の栄光と苦悩を物語る歴史遺産としての役割を果たすものでもあります。
品番 5599 鑑定番号 
83664441
現在のPCGS鑑定数はここをクリック下さい価格 一般価格：5,500 円(税込)
会員価格： 5,000 円(税込)
グレード数 Genuine Cleaning-XF Details 最大発行数 9,744,000 重量 約5.0 g 直径 約23.0 mm 品位 約83.5% Ag 表面 ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世 裏側 クアドリガの上に立つの女性像、左手に盾、右手にオリーブの枝を持つ エッジの刻銘 FERT FERT FERT 発送元 日本国内から発送 最近チェックした商品
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