ヘンリー8世の時代に王室の所有となった
ハンプトン・コート宮殿
ヘンリー8世時代に完全に王室の所有となったハンプトン・コート宮殿は、テューダー王朝時代初期の様式美溢れる外観を最大の特徴とするものの、ウルジー枢機卿自身はルネッサンス期の建築家アントニオ・フィラレーテや芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチによる同時代のイタリアの建築様式を意識していたようで、左右対称や古典的装飾を特徴とする枢機卿自身の個人的邸宅として設計されたものと思われます。
1525年頃には完全にヘンリー8世の所有となり、正式に英国王室の公邸となりました。宮殿の入り口付近にはモートブリッジと呼ばれる橋が架かっており、その欄干にはテューダー王家ゆかりの全10種の紋章学上の動物の石像が立っており、訪問者を温かく迎え入れると同時に、畏敬の念を抱かせるほどの存在感を放っています。