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アメリカ合衆国から世界に広まった人気ボードゲーム「モノポリー」とは

２０世紀初頭のアメリカ合衆国で考案されたボードゲームの一種として知られる「モノポリー」。アメリカ人のエリザベス・マギーが政治や教育上の目的で実験的に制作した「The Landlord’sGame」がその原型とされています。モノポリーが商品化された時点でThe Landlord’s Game は既に特許取得から３０年を経過していたため、アメリカ各地で広まる際に個人や団体によって細部のアレンジやローカライゼーションか行われることが一般的でした。その中でも代表的な一種が、1932年にダン・レイマンによって改良された「FINANCE」でした。1929年のウォール街の大暴落によって失業中であった元暖房器具のセールスマン、チャールズ.B.ダロウが知人に紹介されたアトランティックシティ版のFINANCEで遊んだ際に気に入り、1933年にボードのデザインなどに独自の改良を加えて現在の「モノポリー」の原型を完成させたといわれています。当初ダロウは手作りのモノポリーを制作して独自での販売を行っていましたが、生産が追い付かず大量の注文を捌ききれなくなったため、1934年にアメリカを代表する玩具メーカとして知られていたミルトン・ブラッドリーやパーカー・ブラザーズに売り込もうとしました。しかし、両社からのオファーは無く、地元でモノポリーを製造し、地道に売り続けることに留まります。その後、1935年の年明けに、前年のクリスマスの時期にニューヨークの大型玩具店FAOシュワルツがモノポリーを大量に仕入れたことを聞きつけたパーカー・ブラザーズが販売権を取得します。同社はダロウから権利を取得する際にゲームのプレイ時間の大幅な短縮を提案し、相手を破産するまで追い詰める従来のゲームとの2種の商品によって展開することを条件に交渉が成立します。結果的にダロウ本人は巨万の富を得ることになります。1935年11月5日に一般発売されたモノポリーは大不況の時世を背景として空前のヒット商品となりました。通常2人から6人で行われるモノポリーですが、ゲームの性質上5人でのプレイが最適とされています。準備にも若干時間を要することがこのゲームの特徴であり、5分から15分を要し、またプレイ時間も1時間半から2時間とされています。プレイヤーは双六の要領で盤上を周回しながら他のプレイヤーと盤上の不動産を取引することにより同一グループを揃え、家やホテルを建設することによって他のプレイヤーから高額なレンタル料を徴収して自らの資産を形成し、最終的に他のプレイヤーをすべて破産させるというのがこのゲームの概要です。

世の投資家にこそお勧めのモダンコインの最新作

イギリス連合王国のジョン・ワディントン社がアメリカのパーカー・ブラザーズ社の提案を受け、ヨーロッパ諸国とカナダ以外のイギリス連邦でのモノポリーの販売権を獲得したのが1935年の12月のことでした。新たなイギリス版はアメリカ版で使用されていた地名をイギリスの地名に変更したため、カナダ以外の連邦諸国ではその後このイギリス盤が普及することになります（カナダ版ではアメリカ式が採用されました）。ポンドが通貨として用いられ、最高額（400ポンド）の地名にはロンドンの高級住宅街「メイフェア」が選ばれました。2025年はこのアメリカ発祥のボードゲームがイギリスに上陸してから90周年の節目の年です。英国ロイヤルミントはそれを記念して洗練されたデザインによる特別なアニバーサリーコインを制作しました。今回ご紹介のコインの裏面には、モノポリーのオリジナルロゴと共にこのゲームを象徴する数々のイラストが挿入されており、見ていて楽しいものです。コイン表面には、2022年の代替わりに際して王位を継承した現イギリス国王チャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が刻まれています。ロイヤルミントの名匠マーティン・ジェニングスが描く国王生き写しのこの肖像は、人間味溢れる豊かな情感が伝わってくる名作であり、21世紀以降にリリースされたコインポートレートの最高傑作の一つであることは間違いありません。1920年代後半のニューヨーク・ウォール街から世界に伝播した世界大恐慌ですが、その時期に一世を風靡したゲームであるモノポリーはある種の歴史遺産でもあります。当コインは、イギリス連合王国における同ゲームの受容90周年を記念する文化的なアニバーサリーコインであり、コインコレクターを始め、世の投資家にお勧めしたいモダンコインの新たな傑作です。