2020年度のトライアル・オブ・ザ・ピクス（貨幣検査函審査）で最も注目を集めたことの一つとして、2019年にイギリスで発行された「ウナとライオン」ゴールド・プルーフ・コインの2キロと5キロ・バージョンの提出が挙げられます。会場内の全ての視線はこれらの堂々たる作品に注がれていましたが、それはこのような重量級ゴールドを実際に目にする興奮からであると同時に、ロイヤルミントが発行する全てのコインがそうであるように、これらのコインの真価が貨幣価値を遥かに上回っているという事実に対して起こる自然な反応でした。
「ウナとライオン」のコインから得る真の喜びとは、これらのリマスター版の制作に対して施されたとてつもない芸術的手腕を読み取ることです。コイン上に刻まれているデザインは、貨幣芸術史上最も評価の高いものの一つで、ロイヤルミント史上もっとも傑出した才人の一人、ウィリアム・ワイオンが創造したものです。
ワイオンは、1828年から亡くなる1851年までロイヤルミントの主任彫刻師でした。優れた芸術性と技術で知られていたワイオンは、当時の最先端貨幣制作技術を効果的に活用する術を心得ていたため、貨幣芸術の水準を劇的に進化させることに成功した人物でした。「ウナとライオン」のデザインは、ワイオンによる称賛に値する功績の一つとして長く記憶されることになります。
「ウナとライオン」の物語は、エドマンド・スペンサーの詩集「妖精の女王」が発表された16世紀にさかのぼります。若き王女ウナは、ドラゴンに捕らえられている両親の開放を画策します。ウナは旅の途中でライオンと出会いますが、ライオンは彼女の美しさと聡明さに心を打たれ、ウナの擁護者となる決心を固めます。この詩集は、過去にウィリアム・ベル・スコットによるラファエル前派の絵画の名作「ウナとライオン」を始めとする英国人芸術家による一連の美術作品に多大なる影響を与えていたことでも知られています。このワイオンの作品は、ウナを若き日のヴィクトリア女王に見立てています。コイン上のウナは、より知性あふれる王女として描かれており、ライオンは単なる擁護者以上の存在感を見せています。ウナの片手はライオンのたてがみに優しく触れていますが、それはあたかも彼女がライオンを牽引しているように見える程です。またライオンの漲る力はデザインの詳細に明確に表現されています。
ほぼ200年を経過して、現在応用されているコイン制作技術は、ワイオン自身と、彼と同時代に生きた制作者たちの創造を遥かに超える次元にあり、コイン制作上必要不可欠な一層の高精度、正確性、そして明瞭性を兼備しています。2019年、ロイヤルミントはワイオンの作品の世紀のリマスターに際して、膨大な時間、エネルギー、献身、そして愛情を注ぎ込み、ワイオンの卓越した職人技、またワイオンとロイヤルミント双方の高品質と正確性に対する貢献をどこまでも称賛する現代の作品として世に送り出しました。
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2019年 ウナ＆ライオン 試作プルーフ金貨 トライアルピース 5000ポンド(5キロ) 発行数世界限定１枚【ご予約承り品】発行数：1枚 |
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