2025 チャールズ3世 プリンセスロイヤル・アン王女 誕生75周年記念 5ポンドプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き【ご予約承り品】

歴代英国君主の長女の特権として継承されてきた「プリンセス・ロイヤル」の称号

プリンセル・ロイヤル（Princess Royal）の称号は、イギリス君主がその長女に授与する名誉称号として知られています。この称号は一度授与されますと生涯にわたって保持され、授与された王女の存命中は、代替わりした国王に王女がいてもプリンセル・ロイヤルの称号を授与することはできません。一例を挙げますと、ジョージ6世の第一王女として誕生した後のイギリス女王エリザベス2世は、誕生から自身の即位迄、叔母のメアリー王女（ジョージ5世の長女）が1965年に薨去するまでプリンセス・ロイヤルを名乗っていたため、父王からプリンセス・ロイヤルの称号を授与されることはありませんでした。イギリス史上にはこれまでに7人のプリンセス・ロイヤルが存在しましたが、現在の同称号の保持者は、エリザベス2世の長女であるアン王女で、第7代目のプリンセス・ロイヤルとして在任中です。少なくとも中世のウィリアム征服王の時代以降、長大な歴史を誇るイギリス王室ですが、プリンセス・ロイヤルの称号が制定されたのはずっと後の時代になってからで、17世紀初頭のイングランドに君臨したチャールズ1世治世下のことでした。この称号の史上初の保持者は、フランス王家出身でイングランド王チャールズ1世の第一王女メアリー・ヘンリエッタ（後のオラニエ公ウィレム2世の王妃、イングランド王ウィリアム3世の生母）でした。母ヘンリエッタ・マリア王妃が母国フランス王室に存在する長女の特権であるマダム・ロワイヤルに倣った称号を創設するよう夫のチャールズ1世に請願したことが事の始まりであったと伝えられています。称号は王家の認証状（Warrant）によって授けられるため、特許状によって授与されるものではありません。プリンセス・ロイヤルの称号は、在位中の君主の個人的な判断によって授けられるものとされています。ジェームズ2世の長女のメアリー2世、そしてジョージ1世の一人娘であったゾフィー・ドロテアはどちらもプリンセス・ロイヤルの称号の有資格者であったものの、結局授与されるには至りませんでした。

イギリス王室史の多面的な魅力を現代に伝える魅力あふれるモダンコインの登場

今は亡き母君エリザベス2世の存命中より、イギリス王室の一員として頻繁に公務を遂行する傍ら、スポーツと乗馬に勤しんでこられた第7代プリンセス・ロイヤルことアン王女。今回ご紹介させていただく作品は、王女の75歳の誕生日を祝して発行されたモダンコインの新たな傑作です。コイン裏面には写実性に優れたアン王女の美しいポートレートが描かれています。女性王族を象徴するティアラを頭上に戴き、凛としたたたずまいを見せる王女の肖像は正に絶品であり、新時代の名コイン肖像として抜きん出た品格を誇るものです。王女が母エリザベス女王から授与されたプリンセス・ロイヤルの称号を刻む当コインの裏面の意匠は特別なものであり、350有余年にわたって授与されてきた同称号の歴史に関する総決算と見ることも可能かと思われます。コイン表面にはアン王女の兄であり、現イギリス国王のチャールズ3世の「公式第1コイン肖像」が刻まれています。ロイヤルミントの名匠マーティン・ジェニングスの才気漲る描写力が圧巻のこのポートレートは、歴史上の人物に数えられる現国王の実在の姿を映し出す名作であり、長きにわたって英国の顔とされるべき高いクオリティーを有するものです。約4世紀にわたって受け継がれてきたプリンセス・ロイヤルの称号ですが、ここに史上初の同称号関連のコインが誕生したことは誠に喜ばしいことです。アン女王の誕生75周年に捧げられる当コインは、イギリス王室史の輝かしい魅力を現代に伝える重要な役割を果たすことでしょう。