1806 ジョージ3世 ブリタニア 1ペニー金メッキ銅貨 PCGS PR63 S-3780

今なお多くの英国人が尊崇の念を抱くジョージ3世の生前の功績

ハノーヴァ朝の第3代国王として60年の長きにわたって英国に君臨したジョージ3世。ハノーヴァ朝の最盛期の君主としての輝かしい功績を歴史上に刻む国王ですが、その長期在位は数多くの歴史に翻弄され続けていました。1780年代に起こったアメリカ独立戦争によって、英国はそれまでに保有していた植民地諸州における既得権益を完全に喪失します。また1789年に隣国フランスで勃発した大革命の余波は海を渡って英国にも及び、イングランドにおける王制の存続をも揺るがしかねない事態となりました。そして、ジョージ3世の治世最大の試練となったのは、19世紀初頭のヨーロッパ全土を震撼させたナポレオン・ボナパルトによる長期にわたる侵略戦争と、その後の政局の混乱でした。1800年以降、神経の消耗による健康面での不安定を理由として表舞台から遠ざかることになるジョージ3世ですが、王に代わって長男のジョージ（後のジョージ4世）が摂政王太子として父王の補佐を務めます。摂政王太子時代のジョージ4世最大の功績として、ナポレオン戦争の終盤戦となった1815年のワーテルローの戦いでのイングランド軍の圧勝が挙げられます。幼少時より各分野における才能を開花させていたジョージ3世、若年にして政治について議論することを得意としていたばかりか、数学、ラテン語、経済学、天文学、物理学、イタリア語、農業、その他の学問に習熟していた王は、18世紀から19世紀にかけてのイングランドを代表する教養人でもありました。王はまた、イングランド国教会の大主教を通じて宗教学についての進講を受ける機会を持ち、科学の知識を持ち合わせた英国史上初の君主でもありました。王の博識と知的探求心は、現在もウィンザー城の王立図書館に残されている膨大な量の書簡に記録されています。王の母国英国では今なお多くの国民が王の生前の功績に対して敬意を抱いており、その威光が消えることは今後もなさそうです。

ジョージ3世の愛国心を何よりも表現していると思われる１ペニーブリタニア金貨

今回ご紹介させていただくコインは、極めて希少性の高いジョージ3世時代のブリタニア1ペニー金貨です。過去1800年以上にわたってグレートブリテン島の守護神として受け継がれてきた女神ブリタニア像。島の名でもあるブリテンと語源を同じくするこの愛すべき像は、古代ローマ人たちが想像力の限りを尽くして生み出した空想の女神でもあります。しかし、紀元5世紀ごろから顕著となるローマ帝国の凋落と共に、徐々に姿を消していったブリタニアは、次のアングロサクソン時代には完全に忘れ去られてしまいます。しかし、中世に始まった大航海時代の幕開けと共に再び脚光を浴びるようになり、特にエリザベス2世の時代のイングランドでは、女性の君主の時代ということもあり、主に文芸上にて時折描写されるようになりました。ブリタニアの英国貨幣界における登場はずっと遅く、チャールズ2世治世下の1672年に発表されたファージング銅貨上にその姿が刻まれた時が始まりでした。1806年、ジョージ3世の治世後期にリリースされたこの美しいペニー金貨裏面には、荘厳な趣を湛えたブリタニアの座像が描かれています。三又の槍トライデントや英国旗ユニオンジャックの盾など、現代のブリタニアにも通じるシンボルの数々が顕著ですが、コリント式の兜はなぜか描かれていませんでした。そして表面には、月桂冠を戴き、威風堂々たる趣を湛えたジョージ3世の肖像が掲げられています。その周囲には、「神の恩寵によるジョージ3世、国王にして忠誠の守護者」の定型碑文が見られます。「私は、私に教育を施した英国の名を我が誇りとします」と即位後初の議会演説の場において宣言した熱烈な愛国者ジョージ3世。王の忠誠心を何よりも表現しているのが、当コイン裏面に描かれている英国の化身ブリタニアなのかもしれません。英国と王室、という分離することのできない二大柱を表裏に掲げる当コインは、イギリスをこよなく愛する全てのコインコレクターに捧げられるべき逸品です。

品番	5272
鑑定番号	34244028 現在のPCGS鑑定数はここをクリック下さい
価格	一般価格：404,800 円(税込) 会員価格： 368,000 円(税込) 商品についてのお問い合わせ
グレード数	PR 63
重量	約18.9 g
直径	約34.0 mm
表面	ジョージ3世
裏側	ブリタニア
発送元	日本国内から発送