1999 エリザベス2世 ダイアナ妃追悼記念 5ポンド銀貨 NGC PF69CA ケース付（外箱無し）

あの悲しみに打ちひしがれた日からはや四半世紀以上もの歳月が流れました。1997年8月の最後の日に、世にも美しい英国の一輪の薔薇は花の都パリに散りました。その薔薇の名はダイアナといい、英国の元皇太子妃として世界的に知られていた人物です。

王室に近い関係を持つ英国の大貴族スペンサー伯爵家の三女として生まれたダイアナ・スペンサー嬢は、話好きで活発なごく普通の女の子として育ったと言われています。常に弱者の味方であり、学生の時は学校の近くの障害者施設に出向いて自分からお世話をすることに喜びを見いだす優しい生徒でした。両親が離婚した頃から徐々に内向的な性格になったと言われていますが、伏目がちの無口な少女は強い意志を内に秘めた美しい女性へと変貌を遂げます。

当初、ダイアナの姉のセーラに恋し、求婚までした英国王室のチャールズ皇太子は、その頃まだ冗談で周囲を笑わせることを特技とするダイアナのことを陽気なティーンエイジャーぐらいにしか思っていませんでした。未来の英国王妃になることなど眼中になかったセーラが皇太子の求婚を辞退した数年後にダイアナと再会した皇太子は呆気に取られました。そこにはかつての陽気なティーンエイジャーの面影は微塵もなく、真に美しく成熟した女性の神々しいオーラのみが存在したからです。月の女神と同じ名を持つダイアナはこうして英国王室に嫁ぐことになります。

英国皇太子妃としてのダイアナ元妃の人生の光と影

皇太子の決定により、二人の結婚式は1981年7月29日にロンドンのセントポール大聖堂で行われることになりました。祝典は実質的には結婚式前夜から始まっていました。中心部のハイドパークでは1万2000発の花火が打ち上げられ英国中がお祭り騒ぎになりました。英国がこれほどまでに祝賀ムードに包まれたのは1953年のエリザベス2世の戴冠式以来の事であったと言われています。

人々に今も愛され続けるダイアナ元妃

晴れて英国皇太子妃となったダイアナは全世界を舞台に英国出身のデザイナーが制作した数々の衣装をまとって公務に邁進します。ファッションアイコンとしても世界的に注目されていたダイアナ元妃ですが、その華やかさの陰で公務の一環として継続した慈善活動においては、元来元妃が保持していた弱者に対する慈悲心が最大限活用され、その功績によって元妃の名は永久に地上に刻まれることになります。これは皇太子との離婚後、公務の履行が求められなくなった後も続行され、生前の元妃が心血を注いだ最後の活動は、長男ウィリアム王子によって確実に受け継がれています。

余りにも真摯な自由人であったダイアナ元妃を追悼するモダンコインの最高傑作

生来の美貌と世界に投げかけられた愛情溢れるメッセージによって人類に記憶されているダイアナ元妃を追悼する美しい銀貨が英国ロイヤルミントによって遂に日の目を見ました。

1999年、元妃の死から2年の時を経てリリースされたこの5ポンド銀貨は、生前のダイアナ元妃の面影を刻む英国内で発行された唯一の記念銀貨です。頭上には皇太子妃の高位を示すティアラも装飾品も見当たりません。そこにはただうつむき加減に頭を下げ、美しくも謙虚な自由人としてのダイアナ元妃の姿のみが忠実に再現されています。元妃ほど世界中で愛された人物は歴史上そう多くはないはずですが、今は亡き元妃の存在が一層生命力を帯び、元妃が掲げた利他愛が今でもこの世に生き残り、元妃の伝説と共にますますその真価を発揮しているということをこの銀貨は力強く物語っています。他者に対する限りない愛情のみが永遠であるということを、コインの中の元妃の肖像はただただ無言で語りかけてくるようです。

・外箱は付属しておりません