2023 チャールズ3世 「第1肖像」発行記念 100ポンド1オンス金貨2枚セット マーティン・ジェニングス氏直筆サイン入り NGC PF70UC 箱付き【ご予約承り品】

70年間に及んだ王太子としての時代を経て王位を継承するに至ったチャールズ3世

2022年9月の代替わりに際して、英国王位を継承された新国王チャールズ3世。母君エリザベス2世の喪が明けた翌2023年の5月6日には、ロンドンのウェストミンスター寺院において盛大なる戴冠式が挙行され、その模様は全世界に中継され感動を呼びました。伝統の意義を改めて世に知らしめたこの一世一代のイベントでしたが、紆余曲折を経てそこに至った国王自身のこれまでの歩みを集約していたように思われました。1952年2月のエリザベス2世の即位に際して、僅か3歳で英国王太子となったチャールズ現国王。1981年7月29日にロンドンのセントポール大聖堂で執り行われた故ダイアナ元王太子妃との結婚式は、世紀の大婚として一世を風靡し、当時のチャールズ国王の存在感を高めたことは言うまでもありません。実際に英国全土があれほどまでの祝賀ムードに包まれたのは、1953年のエリザベス2世の戴冠式以来のことでした。しかし、現在の国王に対する世界の尊崇の念はその後の国王自身の地道な努力の正当な成果として自然に起こったものであるということは意外と知られていないかも知れません。若年層の救済と独立を支援する慈善団体「ザ・プリンス・トラスト」は国王自身によって1976年に設立され、今日までに数多くの貧困層の若者に就業と勉学の機会を与えてきました。その他、特にイギリス連邦諸国からの移民の貧困問題解決に取り組む活動に対する様々な形での支援を継続されています。父君エディンバラ公爵が生前強い関心を示していた環境問題に対する取り組みを継承されたチャールズ国王は、自身が私的に所有するコーンウォール公爵領にて有機農法を実践されており、別荘の所在地でもあるハイグローブの荘園においては栽培された農作物を世界に流通させる事業も展開され、国際的な評価を確立されています。ダイアナ元妃との離婚や、それに続く元妃の事故死、またその後のカミラ王妃との再婚等によって低調な評価に甘んじていた国王でしたが、その後の快進撃を経て、2021年に実施された世論調査の結果、英国民の約60％が国王に好感を持っていることが明らかとなりました。これは、多様性の時代に相応しい国王の臨機応変で寛容な姿勢が高く評価されていることの表れではないかと思われます。

2023年以降の英国金融界の新たな顔となったチャールズ新国王の「第1公式コイン肖像」

2023年度の英国貨幣界は戴冠式の影響もあり、チャールズ3世関連の新たなモダンコインの傑作が目白押しです。それに先駆けて。2022年の10月には早くも国王の新たな治世の幕開けを象徴する「第1コイン肖像」が発表され、各界の注目を集めました。写実性を何よりも特徴とするこの現代屈指の傑作ポートレートは、現代英国を代表する彫刻家の一人、マーティン・ジェニングスの手による高い完成度を誇る逸品です。英国王室の慣例に従い、新国王のコイン肖像の顔の向きは、前国王のそれとは逆になります。エリザベス2世の肖像が右向きであったため、現国王チャールズ3世のそれは左向きということになります。これは、イングランド共和国を滅亡させ、1660年に王政を復古させた偉大なる君主チャールズ2世が、当時コイン上に描かれていた宿敵クロムウェルの左向き肖像に背を向けるという意味で、自身のコイン肖像を逆にすることで意思表示をしたことに由来し、英国貨幣界の暗黙のルールとして古くから知られています。同肖像を製作したジェニングス氏は、まず数枚の国王の写真を精査する作業から始め、コイン肖像として用いられるに相応しいデッサンを創造するに至ったとのことです。そして、まず実際のコインよりはずっと大きな石膏製の肖像画を作成し、最終的にデジタル化されたデザインは、国王自身の承認を得るために王室に提出されました。国王自身も大変お気に入りとの噂もあるこの大作は、2023年以降、イギリス連合王国内で流通する全ての一般流通貨と記念コインの表面を飾ることになり、英国金融界の新たな顔としても機能することになります。今回ご紹介させていただくセットコインのうちの一枚は通常の「第1肖像」ですが、もう一枚は5月6日の戴冠式を記念して同じくマーティン・ジェニングスによって製作された頭上に王冠を戴く特別バージョンです。戴冠式で用いられる王室祭具の中でも最も由緒正しき来歴を持つ「聖エドワード王冠」の原型は、1661年に挙行されたチャールズ2世の戴冠式のために制作されたと伝えられる英国王室秘伝の宝飾品です。これは今回の戴冠式においても、式次第の中核を成す実際の戴冠の場面にて用いられ、チャールズ3世の王位継承の正統性を強く印象付けていました。通常版の裏面には、2022年9月に崩御されたエリザベス2世の肖像がロイヤルサイファとともに描かれています。また戴冠版の裏面には、イギリス連合王国を構成する3国（イングランド、スコットランド、アイルランド）を象徴する四分割された盾形の紋章を中心とする装飾的な意匠が繰り広げられています。英国コインならではの華麗な意匠を裏面に描くこのコインセットは、チャールズ3世による新たな時代の幕開けを優れた意匠によって華麗にシンボライズするアニバーサリー・コインセットの理想形として、今、世に送られようとしています。