2021 エリザベス2世 クイーンズビースト 10枚セット 5ポンド2オンスプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き

新モダンコインシリーズ「クイーンズビースト」の解禁によって初めて世界の知るところとなった全10種の紋章学上の動物たち

2017年の第1弾「イングランドのライオン」のリリースによって、コイン界のみならず広く一般社会においても国際的な注目を集めた人気モダンコインシリーズ「クイーンズビースト」。それ以降、次々と新作を発表し、モダンコインの歴史始まって以来の例外的な評価を獲得しています。過去数百年間にわたって英国王室を守護してきた10種類の実在と架空の動物たちを紋章化した同コレクション一般化の潮流に沿って、これらの動物が英国史を象徴する文化遺産として初めて貨幣上に姿を現したことは英国貨幣界にとっての快挙であると言えます。そして全10種全てがリリースされた後、その最終章として「コンプリ―ター＝完全版」と称する全10種の動物を一枚のコイン上に網羅する特別版が発表され、精緻を極めたデザインの魅力と記念コインとしてのクオリティーの高さが更なる評価へと繋がったことが鮮烈な記憶として残っています。「クイーンズビースト」の名の下に発表されたこれら11作品に一貫して見られる比類なき芸術性は、ひとえにロイヤルミントを代表するコインデザイナー、ジョディ・クラークの独創性豊かな天与の才能が織り成す技としか言いようがありません。芸術作品創造の初々しい喜びを端的に表現する同コレクションの完成度は極めて高く、この度のプロジェクトに対する作者クラーク氏の意気込みを感じ取ることが可能です。エリザベス2世の最晩年の公式コイン肖像として知られる「第5肖像」の作者でもあるクラーク氏ですが、氏は最高傑作と謳われるこの傑作の出来栄えのみに固執することなく、更なる高みを目指してこれらの「クイーンズビースト」全11作品を創造するに至りました。英国史上に実在した過去の王族たちの来歴に因む歴史を有するこれらの動物たちは、これまで主に英国君主の生活空間において紋章として用いられてきました。それらの中でも「イングランドのライオン」と「スコットランドのユニコーン」は、今日まで受け継がれてきた王室紋章＝ロイヤル・コート・オブ・アームズを支える重要な動物として描かれ、王室の権威を誇示しながらその安泰を見守ってきました。1953年6月2日にロンドンのウェストミンスター寺院にて開催されたエリザベス2世の戴冠式の際には、寺院のエントランス付近に全10種のビーストの彫像が建立され、写真やテレビ放映を通じて社会的にも注目されました。それまでずっと紋章上でのみ生き永らえてきたこれらの尊敬すべき動物たちが初めて公の場において勢揃いした歴史的な瞬間でもありました。21世紀になって初めてコイン上に姿を見せたクイーンズビーストたちですが、これによってより広い世界の知るところとなったことは誠に喜ばしいことであると言わざるを得ません。

特別コインセットとして新たに生まれ変わった傑作モダンコインシリーズとしての「クイーンズビースト」

第1弾「イングランドのライオン」のリリースから既に6年の歳月が流れ、コレクション全体が既に伝説化している感の強い「クイーンズビースト」。今回ご紹介させていただく作品は、2021年に発表された「クイーンズビースト」5ポンド2オンスプルーフ銀貨の10枚セットです。未鑑定ながらも白銀の輝きが新鮮なプルーフ仕様の銀貨のみで構成されている当コインセットは、これまで単独で発表されていた同シリーズや全10種の動物たちの意匠によってお馴染みの完全版に異なる角度から焦点を当てるものです。数百年間にわたる王室との関連性によって最終的にコレクションとして集結したこれら10種の動物たちの最も直近の所有者は、2022年9月8日に惜しまれつつ崩御されたエリザベス2世であったことはよく知られています。母君の崩御に際して王位を継承したチャールズ3世に因んで「キングズビースト」へと名称が変更されているはずの当コレクションですが、女王の治世下に発表されたものであることからこれからも「クイーンズビースト」の呼称が継続的に使用されることと思われます。王室紋章を構成する二種の動物の紹介によって幕を開けた当コレクションですが、それら以外で特に人気の高いものとしては「ハノーヴァーの白い馬」や「リッチモンドの白いグレイハウンド」が挙げられます。英国人にとっての馬は交通手段としての利便性は言うに及ばず、太古の昔から戦闘に不可欠な動物として重用されてきた背景があります。また犬は常に狩猟の友として特別視され、狩猟民族の末裔である英国人の生活にとってはかけがえのない動物です。これらの理由からこの二種の動物を描く同シリーズのコインは特に英国本国において人気が高く、他の動物を描くコイン以上に脚光を浴びていると言えます。これら全10種の銀貨の表面には、前述のクラーク氏による「エリザベス2世の第5肖像」が共通して描かれています。89歳当時の女王の楚々とした気品を醸しだす当作品は、モダンコイン・ポートレートの最高傑作として、今後も長きにわたって継承されて行くことでしょう。プルーフ仕様ならではの艶と銀貨特有の質感を併せ持つこのコレクションですが、時の経過を忘れて専用木製ケースの中で静かに眠っているかのようです。エリザべス2世の70年間に及んだ栄光の治世の忘れ形見でもある当コインセットは、次世代に託されるに相応しい万全の装備をまとって今、正に英国コインを愛して止まない熱烈なコインコレクターの元に贈られようとしています。