1959 エリザベス2世 ヤングヤング 聖ジョージ竜退治 ソブリン金貨 NGC MS65 S-4125

一世一代の名君エリザベス2世の70年間に及んだ栄光の治世

1952年2月6日のジョージ6世の崩御に際して英国王位を継承した若き日のエリザベス2世。翌1953年にはロンドンのウェストミンスター寺院にて戴冠式が挙行され、一千年以上にわたって培われた英国王室の伝統と権威を余すところなく内外に誇示しました。今、思えば、女王の時代は第二次世界大戦の終戦とともに始まったと言えます。当時の英国では、もう一つの戦勝国であったアメリカとは対照的に、国民生活のひっ迫状態が続き、長くにわたって配給制が敷かれていました。そのような中、1947年には当時、英国の王女であった女王とフィリップ王子との婚礼の儀が執り行われ、その鮮烈な若々しさゆえに国民に希望を与えました。ちなみに、その時、女王が着用していたシンプルなウェディングドレスは戦後の世相を鑑み、女王自身が配給券を貯めて購入したものであったとのことで、女王お気に入りの英国人デザイナー、ノーマン・ハートネルに白羽の矢が立ちました。この婚礼の3カ月前に、女王は外遊先の南アフリカのケープタウンにて生涯初のラジオ演説を行い、大英帝国全土に向けてその偽らざる心情を吐露しています。「私は、私の全生涯を、たとえそれが長くとも短くとも、あなた方と我々全てが属するところのこの偉大で、威厳のある国家に捧げる覚悟であることをここに宣言いたします」とマイクを前に力強い宣言をした女王でしたが、その日21歳の誕生日を迎えたばかりでした。1953年の戴冠式においては女王自身の希望が受け入れられ、史上初のテレビ放映が実現し、これもまた新たな伝説となりました。当時27歳にて戴冠式に臨んだ女王でしたが、テレビ画面に映し出された女王の威厳のある姿は、英連邦諸国を始め全世界を深く感動させたことは言うまでもありません。この日からその後70年間にわたる地球を舞台とした女王の快進撃が幕を開けました。英連邦内における各種公務は言うに及ばず、その影響力は世界中の隅々にまで及び、王室と英国の権威の高揚に努められました。そして2022年9月8日には世界中の人々に惜しまれつつ、生前お気に入りの離宮であったスコットランドのバルモラル城にて御年96歳の生涯を終えられました。20世紀後半から21世紀の前半に及んだエリザベス2世の激動の長期在位は、我々が生きる現代とほぼ同時期に当たります。その間、女王として英国に君臨したエリザベス2世ほどに「君主制とは何か」を考えさせ、また王室の未来永劫にわたる繁栄を強く印象付けた人物は歴史上他に存在しないことと思われます。そしてその至高の権威は、昨年の代替わりに従って新国王となった息子のチャールズ3世によって確実に受け継がれています。

極めてオーソドックスな外観によって世界中のコインファンを魅了するソブリン貨の逸品

エリザベス2世の即位の年、つまり1952年から数えること7年目に当たる1959年に発行された名貨のご紹介です。女王の治世初期に発行されたコインは全て主要なカタログに掲載されていますが、その実在については未知のものも多く、近年、欧米の主要なオークションなどでもあまり見かけなくなりました。この初期のソブリン金貨もその内の一枚であり、ソブリン金貨ならではのシンプルな飽きのこないデザインと実物資産としての有益性から最も人気の高いコインの一つであると断言できます。コイン表面に描かれているのは、戴冠式が挙行された1953年に発表された女王の治世初の公式コイン肖像で「ヤングヤング・エリザベス」の名によって広く知られている「第1肖像」です。即位当時若干25歳であった女王の躍動感あふれる若々しさを前面に押し出したこの輝かしい傑作は、1950年代の英国ロイヤルミントにて大御所女流デザイナーとして活躍したメアリー・ギリックの多彩な造形感覚と鋭い審美眼の成せる業として奇跡的に創作されたものです。エリザベス2世の70年間の治世下には全5種の公式コイン肖像が制作され、そのどれもが甲乙つけ難い出来栄えを示していますが、それらの中でも第1作に当たるこの「ヤングヤング・エリザベス」は高い完成度を見せる作品であり、歴史的な人気を誇る大作でもあります。そしてその人気の秘密は、女王の頭上に挿入されている月桂冠にあるように思われます。古代ギリシャ時代以降、勝利者や権力者の象徴として踏襲されてきた月桂冠は、どちらかと言いますと男性のイメージが強いものの、このようにうら若き乙女として女王を描く第1肖像に付されている例を見ますと、何か得も言われぬロマンティックなものを想起させることも確かです。もちろん「女性君主＝勝利者」ということで、女王の権威も同時に強調されていることが当作品の絶対的価値であることは言うまでもありません。。ポートレートの周囲には、「神の恩寵によるエリザベス女王・忠誠の擁護者」という意味のラテン語碑文が掲げられており、英国貨幣ならではの古風で厳粛な印象を我々に与えます。コイン裏面には、1816年のリリース以降、主要なソブリン金貨の裏面に頻繁に描かれてきた英国貨幣デザインの最高峰の一つとされる「聖ジョージの竜退治」が見られます。この英国貨幣史上唯一無二の傑作は、19世紀初頭の母国イタリアでの混乱を逃れて、ナポレオン戦争終結後間もない英国貨幣界に突如として姿を現した天才イタリア人彫刻家、ベネデット・ピストゥルッチ（1783－1855）の独創性を源泉とするものです。馬上から悪の象徴であるドラゴンを槍の一撃で退治する聖人ゲオルギウスを描くこの颯爽たる大作は、英国王室の永遠のシンボルとして今日まで受け継がれています。極めてオーソドックスな両面を持つ当ソブリン貨は、典型的な英国コインをこよなく愛するファンにこそ贈られるべき逸品に違いありません。

品番	4088
鑑定番号	26254368 現在のPCGS鑑定数はここをクリック下さい
価格	一般価格：262,900 円(税込) 会員価格： 239,000 円(税込) 商品についてのお問い合わせ
グレード数	MS 65
発行限定数	1358000
重量	約 7.99 g
直径	約 22.05mm
品位	約91.7%Au（K22）
表面	エリザベス2世　第1肖像
裏側	聖ジョージ竜退治
発送元	日本国内から発送