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【収集の手引き】 第7章―コロナ後の世界の基軸通貨と金本位制の復活(3)

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コロナ後の世界の基軸通貨

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新型コロナウィルスの発生源をめぐって米中関係が悪化しています。
もともと様々な場面で世界の覇権を争っていた両国に降って湧いたようなコロナ禍。アメリカでは5月半ば現在、感染者は100万人を超え、死者も8万人を超えています。しかも、感染者の数は衰えを見せず、政治の中枢、ホワイトハウスでもペンス副大統領の側近やコロナ対策本部の高官が自主隔離を行うなど感染の勢いは止まりません。

アメリカだけではありません。4月末には、アメリカをはじめとして、イギリス、イタリア、ドイツなど8カ国が、コロナの件で中国に賠償を求める訴訟を起こしています。折しもアメリカのポンペイオ国務長官が、コロナウィルスの発生源をめぐる決定的な証拠があるとの発言がありましたが、中国はこれに徹底的に反発。アメリカ側の発言ものちにトーンダウンしており、真相はまさに藪の中です。

懸念すべきは、このコロナ禍が、落ち着いた時に世界の情勢がどう変化しているのか、とうことです。すでに次世代移動通信システム5G技術をめぐっては中国が先鞭をつけているとも言われており、もしかしたら、コロナ後の世界の勢力図が大きく塗り替えられている可能性もないとは言えません。

今は世界の通貨基軸と認めれている米ドル。かつてはイギリスポンドが世界の基軸通貨でしたが、それが第二次世界大戦をきっかけにアメリカドルに取って変られたように、米ドルもその地位を失う日が来るのでしょうか。そして、アメリカドルに変わる次の基軸通貨は? 専門家の中には、次の基軸通貨は人民元だと主張する人もいますが......。

しかし、私は、米ドルに変わる通貨が人民元になるかというと、それは考えにくいと感じます。その理由は、この度のコロナ禍における各国からの反中国感情が高まっていること、特に初期段階でコロナ発生の情報を隠したことにより、中国への不信感が各国で高まっています。それ以外にも、中国政治の複雑さと、人民元の閉鎖性も問題です。中国政府が、人民元を厳しくコントロールしている以上、基軸通貨とはなりにくいのではないでしょうか。では、米ドルに変わって世界の経済を担う通貨とは何なのでしょうか。

金本位制の復活

私は金本位制の復活があり得ると思っています。過去の歴史を振り返ってみても、1971年ニクソン大統領が突然、ドルと金との兌換停止を宣言したニクソンショックまでは、金が通貨の裏打ちをしていたのです。紙の紙幣を使っていても、いつでも金と交換できるという決まりがあったから、人々は安心して通貨を利用していました。それ以前は、そもそも金貨や銀貨といった価値の高い金属が通貨として使われていましたから、通貨そのものが価値を有していました。

しかし、紙の紙幣が使われるようになり、ついには金との兌換が停止されてから約半世紀が過ぎ、現在の通貨システムにひずみが出始めています。現在の管理通貨制度のもとでは、金などの裏打ちがなく、自国通貨を無制限に発行できるようになりました。そのため通貨の価値が不安定になりやすく、ハイパーインフレが起りやすくなったのです。

じつは今、金の備蓄を増やしている国が増えています。中国やロシア、インドといった国々は金を買い増やしています。金の採掘量が世界一位にもかかわらず、中国も海外から金を購入しているようです。いずれ金が必要になる時代を予測しての国家戦略があるのでしょう。

世界の国々が有事に強い金の保有を着々と進めている中、我が国、日本の状況はどうでしょうか? 日本が保有している金は約765トン。外貨準備における割合はわずか2.5%にすぎません。さらには、日本が保有している金はアメリカに保管されています。つまり、万が一、金が必要になったとしても自由に取り出して使える立場にありません。

なぜ、金本位制復活の可能性があるかといえば、今の通貨システムが破綻しかけているからです。印刷機で延々と刷り続けることができる通貨にもはや意味があるとは言えません。

どの国も自国通貨の価値を下げることに必死ですが、その理由はどの国もインフレ経済を目指しているからなのです。インフレ目標の数値は、各国で異なりますが、おおよそ年間2~3%程度。インフレ目標とは、物価上昇の目標とも言い換えられます。

物の値段を上げるには、小売りの値段を上げればいいのですが、政府が小売業者に対して物の値段を上げろと強制はできません。簡単な方法があります。通貨の価値を下げればいいのです。通貨の価値が下がれば相対的に物の値段が上がります。ただしあまりにも急に通貨の価値を下げてしまうと、経済が大混乱してしまうために、政府は2~3%のところで通貨の価値を下げるように手を打っているのです。

では、なぜ政府がゆるやかなインフレを望んでいるかと言いますと、企業の収益が増えることと、対外的には輸出がしやすくなることの2点があげられます。
このうち輸出に関しては、どこの国も同じ思惑で動いており、自国の製品を買ってもらうために、通貨安競争をくり返しているのです。

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引用:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020123100412&g=int

【コインコンシェルジュのつぶやき】
インフレのケースでは、物が高い金額で売れ、企業の収益が増えれば、労働者の賃金があがりお金の循環が生まれます。しかし、労働者目線では少々事情が異なります。と言うのもお金の価値が下がっているので、賃金が増えても生活が楽になるわけではないのです。

日本円の価値が下がっていることに、どれだけの方が気づいているのでしょうか。額面が変わらないために、ほとんどの方は、円の価値が低下していることに気づくことなく、「最近、食品や衣類など物の値段が上がって、生活が厳しくなったなぁ」と感じている程度の認識ではないかと私は危惧しています。

ニュースでは、値上げの話題というと「原材料の値上げに伴って」とか「値上げの春」など、まるで定型文句のようにくり返されておりますが、その裏には、日本円の価値が下がっているという現実が隠されています。ぜひニュースの上面だけではなく、本質を見抜く目を持っていただきたいと思います。