HOME > 【収集の手引き】 第7章―日本の借金がまねくハイパーインフレ(2)

【収集の手引き】 第7章―日本の借金がまねくハイパーインフレ(2)

2日本の借金がまねくハイパーインフレ.jpg

<日本国の借金>

2021.02.22tebiki2.jpg

引用:https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/situation-comparison.html

コロナ前の段階で、日本の借金は、すでに1100兆円を突破しています。これを国民一人あたりの借金に換算すると、約885万円にも上ります。対GDP(国民総生産)比で250%もの金額ですから、赤ちゃんもお年寄りも、すべての国民が2年半、いっさい飲み食いせずに稼いだお金をすべて、借金返済に充てても返済に2年半以上かかる計算です。 

ちなみにこの借金の比率は、各国の中でダントツの一位。かつてデフォルト騒ぎを起こしたギリシャですら対GDP比178%だったのですから、日本の借金がいかに膨大な額であるかわかります。

リーマンショックからの東日本大震災、そして新型コロナウィルスと、たて続けに起こる想定外の経済危機に日本の借金は、雪だるま式に増えつつあります。

なお、この借金の大半は、日本円建ての国債だから、実質の借金ではないと主張する専門家もいます。彼らは、政府と日銀を統合して借金を相殺したり、お金が足りなくなれば、円を印刷すればいいのだと説いています。

普通に考えれば、将来の世代にこれ以上負担を押しつけないためにも、少しでも借金を減らす努力をすべきです。しかし、最近の日銀は、政府との協調姿勢が強く、その方針に従ってじゃぶじゃぶとお札を印刷しまっくています。

これの何が問題かと言うと、あまりに大量のお金を印刷してしまうと、市場に流通するお金の量が増えすぎて、インフレを引きおこす可能性があるからです。社会が最も安定するのは、ゆるやかなインフレ状態にあるとき。ですから適度なインフレは、むしろ歓迎すべきものなのですが、インフレが行きすぎて歯止めが利かなくなった時が危険です。インフレが行きすぎると、ハイパーインフレを引き起こす可能性があるのです。

ハイパーインフレ

物の値段が上がることをインフレ、物の値段が下がることをデフレと言います。日本はバブル後、長いデフレの時期を経験してきました。ところで、歴史をひもとくと、「長く続いたデフレの後には、ハイパーインフレが起る」というのが定説となっています。

ハイパーインフレとは、明確に定義されているわけではありませんが、例えば一ヶ月に50%を超えるような物価上昇が起った場合を指します。ハイパーインフレがおこると、その国の通貨の信用が下がり、価値も激しく低下します。

2018年、南米の国ベネズエラで、ハイパーインフレが起りました。2017年から2018年にかけてのインフレ率がなんと170万%もの高い数値となってしまったのです。わかりやすく例えると、去年1円で買えた物が、今年は170万円出さないと買えなくなってしまったのです。こうなると、街中から食料や衣料など生活に必要な物が消え、お金は紙くずになってしまいます。

じつは、このような事例は、過去30年間に世界で40回近くも発生しているというデータがあります。
2008年ジンバブエ、
1994年ユーゴスラビア、
1993年アルメニア、
1990年ペルー、
1992年ロシア等々。
主に1990年台前半の社会主義国が多いのですが、意外に数多く発生していることに驚かれたのではないでしょうか。

さて、ハイパーインフレがどのような時に発生するかというと、国の信頼が無くなった時、そして、国の通貨に信頼がなくなった時です。では、日本円はどうなのでしょう。日本円では、ハイパーインフレが起る可能性はないのでしょうか? 

私は、絶対に起こらないとは言えないと思います。この度のコロナウィルス騒動で、日本は緩やかな自粛を取りながら、なんとか経済とウィルス抑え込みを図ろうとしてきました。医療現場のがんばりもあって、今のところ、海外のような悲惨な状況にはなっていませんが、しかし、いまだ収束の目は見えてきません。
あるいは、爆発的な感染を起こした海外のほうが集団免疫が早くに広まり、収束へと早く向かう可能性も否定できないのです。コロナウィルスの経済や社会への影響から、いかに早く抜け出して、元の社会生活をとりもどすことができるか、日本がハイパーインフレを避けるために、とれる道はどうやらさほど多くはなさそうです。

2021.02.22tebiki3.jpg

【コインコンシェルジュのつぶやき】
これほどまでの借金をかかえていながらも、これまでは日本円に対する世界からの信頼度は高く、ドルが値下がりすると、安全資産の円が買われるという動きがよく見られました。
しかし、ここ最近、とみに日本の国力が下がっているように思えるのは私だけでしょうか。

世界競争力年鑑(IMD)によると1992年に1位だった日本の国際競争力における総合順位が、ここ最近では25位あたりに低迷しています。
 政府が教育や研究機関への出資を出し渋っていることも影響しているのか、日本の大学で、世界大学ランキングで200位以内に入っているのは、東大、京大のわずか二校のみ。

これでは、日本の行く末が心配になってしまいます。世界で影響力が低下している日本の通貨、円に対する信頼まで損なわれないとよいのですが。