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【収集の手引き】 第7章―世界と日本の経済(1)

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アンティークコインを皆様のお手元へと届けるところからスタートした私のコインコンシェルジュ人生ですが、最近では、もっと幅広くお客様の資産全般に関しても、ご相談を承るようになりました。

じつは、個人の資産づくりは、日本や世界の経済と密接に関わり合っています。ですから、ぜひ皆様も、広く経済の最新動向を知って、ご自身の資産づくりに活かしていただいきたいのです。

世界を舞台にコイン売買を続けてきたコインコンシェルジュならではの視点から、最近の経済状況をひもといていきたいと思います。

世界経済

新型コロナウィルスの影響を受け、国際通貨基金は「2020年の世界経済全体の成長率は、前年比-3%」という予測を発表しました。世界経済がマイナス成長となるのは、リーマンショック以来のことで、今回のコロナ禍がいかに世界経済に強い打撃を与えているかがわかります。専門家によっては、1929年に始まった世界恐慌に匹敵する影響があるのではないかと指摘する人もいます。

この度のコロナウィルスが難しいのは、その収束が見通せないという点があります。中国は早くも経済活動を再開させていますし、欧州やアメリカも部分的に緩和の方向へと舵を切りつつあります。しかし、その一方では、韓国のクラブでは大規模なクラスターが発生し、このウィルスの抑え込みが困難なことをまざまざと見せつけられています。

この新型コロナウィルスが、かつて世界を恐怖の渦に巻き込んだスペイン風邪のように、今の第一波を抑え込めたとしても、また第二波が襲ってくるのか。あるいは、ウィルスが変遷して凶暴化する恐れはないのか。未知なるウィルスだけに、先行きの見通しは非常に困難です。

今は、ほとんどの国が経済活動の自粛、都市封鎖といった対応でウィルスの抑え込みに尽力しています。しかし、経済の自粛にも限界があります。
懸念されているのは、アメリカでの失業率の増加です。アメリカ経済の不調は、世界経済にとって大きな打撃となるでしょう。

欧州では、以前から経営危機がささやかれていたドイツ銀行が、コロナの影響でさらなる苦境に立たされています。もしもドイツ銀行が破綻したらどのようなことが起こるのでしょうか?

リーマンショックを振り返ってみましょう。リーマンショックの引き金となったのは、アメリカのサブプライムローン問題でした。日本は、サブプライムローンには、あまり手を出していなかったので、リーマン・ブラザーズが破綻した際もほとんど影響がでないと言われていました。しかし、リーマンショックをきっかけにアメリカドルが売られ、その代わりに安全資産と言われる円が買われ円高が進み、輸出産業が大きな打撃を受けます。結果として日本の株価は大きく値下がりしてしまったのです。

このように、グローバル経済の世の中では、何がきっかけで火の粉が降り掛かってくるか予想だにできません。世界経済の動きには常にアンテナを張っておく必要があります。

日本経済について

世界経済は、新型コロナウィルスの影響により落ち込みが懸念されています。では日本はどうでしょうか? 日本のつい最近まで続いていた戦後最長と言われる景気回復は、中国に対する輸出や、アジア圏からの観光客によるインバウンドの恩恵を受けてのゆるやかな景気回復であったと考えられます。

ところが、頼みの綱であった中国はコロナウィルスにより真っ先に国を閉鎖、日本も遅ればせながら観光客の入国制限が行われ、インバウンド事業もかなりの打撃を受けている状況です。2020年3月の海外からの観光客は、昨年の同じ時期と比べて93%も減少したと言われています。

今後、仮に国内の自粛が徐々に解除されたとしても、外国人観光客を今までと同じように受け入れるに至るまでは、まだまだ時間がかかりそうです。

国の借金も気にかかるポイントです。特別給付金として国民一人あたり10万円が交付されました。これらを含み新型コロナウィルス緊急経済対策として25兆円を超える補正予算が成立しましたが、それでも生活が立ち行かない国民や事業継続に困難を訴える企業が増えていることから、追加の経済対策が検討されています。果たして追加の経済対策がどこまで続くのか、ウィルスとの戦いと同時進行で、経済縮小との戦いも行わねばならないのです。

ちなみに、これらの財源といえば、赤字国債の発行に頼るほかはありません。ただでさえ、国の借金が1100兆円もあるとされている日本。また、このような経済状況では、国民からの税収も想定を大きく下まわることでしょう。

さらなる赤字国債の発行で、日本の未来がどうなっていくのか。まったくもって予断を許さない状況です。

【コインコンシェルジュのつぶやき】
日々新聞やテレビで取り上げられるコロナウィルスの話題に辟易しつつある今日このごろです。経済への打撃や国の借金を思うと、心が重くなりますが、ここはあえてこのコロナ禍を逆手にとって、変革への足がかりとなりそうな事柄を探してみたいと思います。

なんと言っても、この度のコロナをきっかけに、非常時の政治家の資質というのが明らかになったのではないでしょうか。平常時であれば見過ごされても、非常時の政治の果たす役割の重要性に多くの人が気づいたことと思います。これをきっかけに国と地方自治体の関係や、国民の政治への関心が高まればよいと個人的には思います。

チャイナリスクの問題もより一層顕著になったのではないでしょうか。国内生産だったトイレットペーパーはすぐに在庫が復活しましたが、主に中国からの輸入に頼っていたマスクや医療現場で使われている防護服などが品薄状態になったことは、今後の課題にする必要があると思います。安いから海外で調達というこれまでのやり方が正しいのかどうか、観光を中心としたチャイナマネー頼みの経済で本当によいのか、今一度考える必要があると思います。