古の技術が紡ぐ、現代へのメッセージ。
1818年、ピストルッチとポールが生み出した
不朽の貨幣美術。
1818年のクラウンコインは、英国貨幣史上最も美しいデザインの一つとして広く称賛されています。このデザインの背後には、非凡な技術を持つ彫刻家ベネデット・ピストルッチの才能と、造幣局長ウィリアム・ウェルズリー・ポールの完璧を追求するビジョンが融合していました。
ポールは、ロイヤルミントがクラウンの製造において「完璧」を追求する姿勢を何度も強調し、その結果として1818年のクラウンコインが生まれました。

ピストゥルッチが「聖ジョージの竜退治」の意匠を創造した頃の英国社会は、未だナポレオン戦争後の経済的荒廃から完全に脱却できていなかったものの、ロイヤルミントを中心とする英国貨幣界は金本位制を主軸とする新たな貨幣改革を推進する兆しを見せ始めていました。
そのような社会背景の下に、一連の新たな貨幣の発行が急がれましたが、それらの新貨幣のデザインの一つとして採用されたのがこのピストゥルッチの「聖ジョージの竜退治」でした。
古代ローマ時代の伝説の聖人ゲオルギウスの竜退治の場面を描くこの意匠は、古今東西の傑作コインの主題の中でも驚異的な人気を誇るものであり、同コレクションの第5弾として相応しいものであると言えます。


また、ウィリアム・ワイオンとトマス・サイモンに続いて、ベネデット・ピストゥルッチの作品が選定されたことによって、歴史的コインコレクションとしての意義を強調しています。
槍で悪の象徴であるドラゴンを退治する馬上の聖人の颯爽たる姿を、英国君主の仮の姿と見なすことも可能です。
当復刻版の表面には、2023年5月6日に戴冠式を挙行したチャールズ3世の様式感溢れる「公式第1コイン肖像」が描かれています。
コイン表裏に英国君主の威厳を掲げる当コインは、今日まで途切れることなく脈々と受け継がれてきた英国王室の未来永劫の安泰を象徴する新時代の傑作であると言えます。