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【収集の手引き】 第6章―なぜ今、実物資産なのか

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コイン投資をおすすめするにあたって、他の投資との比較を行ってみたいと思います。様々な投資それぞれのメリット・デメリットも確認してまいりましょう。まずは、比較に先立って投資に関する動向や基本情報をチェック。

ペーパーアセットと実物資産

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投資対象として、「ペーパーアセット」「実物資産」の二種類がありますが、この二つの違いについてご説明しましょう。

ペーパーアセットとは、株式や投資信託、FXなど。つまり金や美術品などと異なり、手元に実物がない状態の資産です。昔は株券も投資者の手元にありましたが、最近ではデータ上のやりとりが主流となっているように、いわば権利だけを持っているような状態です。国債や社債などの債権もペーパーアセットに含まれます。

ペーパーアセットの特徴は売り買いが簡単なこと。弱点は、権利元が消滅してしまうと、元本を取り戻すのが難しい点です。

ちなみにFXは外貨を買っているので実物資産だと思われるかもしれませんが、実際には外貨を保有しているのは業者であり、投資者の手元には外貨があるわけではありません。
もしも業者が破綻してしまえば、株等と同様に持っていた外貨が戻ってくることはありません。

実物資産へのシフトが始まる?

まずは音楽のお話から。最近は音楽をダウンロードして聴くのが主流です。お店に行かずとも発売日に好みの曲が聴けて便利なようですが、一つ見落としていることがあります。
それは昔は、CDやレコードといった実物資産が手元にあったからこそ、いつでも音楽が聴けていたということ。しかし、最近のやり方では、たとえば災害や音楽の発信元の倒産など、何らかの原因でダウンロード出来なくなってしまった場合、視聴ができなくなってしまいます。じつは、最近のダウンロードという方法は、音楽を買うのではなく、音楽を聴く権利だけを買っていたにすぎないのです。

最近、そのことに気づき始めた人たちが、CDやレコードで音楽を聴くスタイルに回帰しつつあるそうです。
こと音楽の話題ではありますが、実はこれ投資にも同じことが言えます。手元に実物がある場合と、権利だけを持っている場合の違いは意外に大きいのです。

そして、音楽と同様に、最近、富裕層の間で、ペーパーアセットから実物資産へと資産のシフトが始まっていると噂されています。
実物資産とは、金や不動産、美術品などのように手元に物がある資産のことをさします。アンティークコインも実物資産に含まれます。なぜ、富裕層が実物資産に移行しつつあるのか。それは、世界情勢の不安定さが原因です。

まず、この度の新型コロナウィルスの問題は、世界経済を混乱の渦に巻き込んでいます。コロナ禍後の社会がどのように変化するのか、私たちはまだその道筋すら見えていません。
各国から天文額的な補償を求められている中国、この度のことでチャイナリスクを再認識した各国が中国との付き合い方をどう変えてくるのか。北朝鮮問題も当面落ち着きそうにはありません。
そして、コロナの影響で失業者が倍増しているアメリカ経済もまたしかり。"有事の金"という金言が今こそピッタリはまる時代。敏感な富裕層が機先を制するために、動いているのではないかと予想されます。

なぜ今、実物資産なのか

おりしも新型コロナが世界を不安に覆っている今、まさに先行きが不透明な時代です。各国で企業の倒産や失業者の増加といった負の連鎖が起こっています。
そんなときに、ペーパーアセットのみに投資することは非常にリスクが高い行為です。万が一、持ち株企業が倒産してしまったら、その株はただの紙切れになってしまいます。

一方、実物資産のほうは、投資対象を自分で保有していることから、価値がゼロになってしまうことはあり得ません。もし、仮に資産を売りに出すことになったとしても、ゼロ円という値段を付ける人はいないからです。そういう意味では、世界的な恐慌や大戦など、万が一の際には、実物資産の方が、ペーパーアセットよりも安全なのです。

分散投資と金の保有方法

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どの投資先に相談しても、資産は分散投資をしておくよう勧められることでしょう。高リスクですが、リターンも高い株やFX等の投資、安定的ですが値上がりペースがゆっくりであるコインや金と、組み合わせて保有しておくことで、より安心安全なポートフォリオとなります。中でも金は限りある資源かつ宝飾品や工業用にも利便性の高い貴重な金属です。
一定の資産を金で保有することもぜひ視野に入れていただきたいと思います。

分散投資の比率については、お客様一人ひとりの資産状況、今後のお金の使い方、生活スタイルなどにより、大きく異なりますので、詳しくは個別にご相談いただくのが一番いいかと思います。

ここで、金の値上がりについて最新の状況をお伝えしておきたいと思います。金は、ここ最近、コロナの蔓延に呼応するかのように6000円台の高値をキープ。まさに有事の金の強さを見せつけているようです。

なお資産を金で保有する際に、ぜひ覚えておいていただきたいことがございます。それは、500gや1kgといった金塊で保有するのではなく、30gや40gの金貨で数多く持っておくほうが、利便性が高いということです。

人生には必ず想定外のことは起こります。あってはならないことですが、戦争が勃発したときのことを考えてみてください。歴史は必ず繰り返します。戦争は、決してあってはならない。しかし、過去に学ぶことは大切なことです。

第二次世界大戦下では、都会に暮らす人たちが高価な着物や宝飾品を持ち田舎へ出向き、いくばくかの食料と交換したものでした。
今後、もし同じようなことが起こった場合、物々交換の場合は、お釣りなんてもらえません。500gの金塊と大根や人参、米といった食料を交換したとしても、お釣りをもらうことはまず不可能です。

そのような場合に備えて、逆に金額の小さなコインなどをたくさん保持していれば、コイン一枚と食料品の交換が何度でもできるのです。こと金に関しては、小さなコインのほうが、使い勝手がよく持ち運びも便利なのです。

【コインコンシェルジュのつぶやき】
なぜヨーロッパでは、昔から歴代の王族や貴族たちがこぞってコインを収集していたのでしょう。宝石と同じように家宝として保有していたのですが、実は資産として持っているという側面もありました。

歴史的に見ても、ヨーロッパ大陸は、国同士の戦いが頻繁に起こっていました。戦火の中、手軽に持ち出せるコインは、王族や貴族たちにとって、うってつけの実物資産だったのです。
重い金塊や大きな絵画、彫刻などでは運び出すだけでも大変です。このような文化が現代にも受け継がれており、欧州の富裕層は、資産の一部をアンティークコインで保持しているのです。