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コインパレスのコインコンシェルジュブログ

2020.08.04グローバルマクロニュース

【Vol.64 グローバルマクロニュース】感染再拡大のいま、発信したいこと-後編:医学・薬学・疫学的見地から-

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はじめに

主要都市(首都圏・大阪)で広がる感染

日経新聞

 

新型コロナの感染が日本国内で再拡大しています。

その波は5月までの「第一波」を越えるものです。

一部では、「検査数が増加していることが陽性者数増加の主因」だと言われます。

ですが、検査数の増加にも関わらず、陽性率は確実に上昇しており、経路不明感染者の増加、無症候感染者多さを鑑みても、今後は現在より急激かつ、さらに大規模な感染拡大を見ておく必要があります。

本稿では、医学・薬学・疫学的見地から、新型コロナウィルスを知り、今後について考えます。

 

 

年齢依存性

新型コロナウィルスの致死率には年齢依存性が存在し、60歳未満では4.4%、60歳以上では15%近い致死率とされています。

また、呼吸器・心臓・循環器・肥満等の基礎疾患を有する場合は、致死率はさらに跳ね上がります。

米国での死者のうち、76%が1つ以上の基礎疾患を有していました。

高齢者は、何かしらの基礎疾患を患っている可能性が高く、さらに高めの致死率を見積もっておく方が無難だといえます。

年代別の感染分布においては、

4月:20代〜60代までまばらな分布

5月:一時収束

6月:20代、30代が全体の60%

7月:40代、そして50代にまで拡大し、年代別にまばらに

とハイリスク層に感染が広がりつつあります。

 

この先、高齢者にまで感染が拡大するのも時間の問題であり、高齢者施設や医療機関においては、PCRや抗原検査の一層の拡充が必要とされます。

入院患者との面会の全面禁止措置を講じている医療機関もあり、そうした外からの進入リスクを可能な限り低下させる必要があります。

また、一般外来においても、検温などで発生する「疑い例」は、院外において事前にトリアージしておく必要があります。

この件については、医師会においても検討課題となっているようです。

診療拒否は医師法19条1項に違反しますが、「厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部」より3月11日に「各衛生主管部」へ送られたガイドラインにおいては以下の通りとなっています。

同指針にいては、お願いベースでコロナを扱う医院への紹介等を行うことを推奨しています。

これは、「平成17年11月15日東京地方裁判所判決」に一致するもので、法的根拠に基づいています。

PCRや抗原検査は、確定診断となるため、「正当な事由」に該当する可能性が高く、応招義務違反となる可能性は下がります。

何より、この先は高齢者を守ることが、医療におけるトッププライオリティとなります。

既に九州などにおいて、高齢者施設での散発的な集団感染が発生しています。

今回のウィルスは、潜伏期間である(WHO基準では中央値5日)無症状期間が最も感染力が強く、無症候の場合でも感染を広げるリスクは大いにあることを念頭に置く必要があります。

如何なる危機においても、最初にダメージを受けるのは、社会的に弱い立場の人々です。

これまで国家の繁栄に貢献してきたお年寄りは、なんとしても守り切らねばなりません。

 

 

夏収束の幻想(温度・湿度の影響は軽微)

2月には、「夏には気温、湿度面から、感染は一旦収束する」という声が専門家からも聞かれました。

ですが、筆者は夏収束説に対しては、当初より全く懐疑的でありました。

というのも、2月にはハーバード大学から気温・湿度と感染に関する論文が発表されていたからです。

“The role of absolute humidity on transmission rates of the COVID-19 outbreak”

本論文においては、中国本土を「湿度と温度」(緑のグラデーション)、及び「再生産数(Reproductive Number)1人が何人に感染させるかの指標」(黄色から赤の丸)に分類しています。

その上で、感染傾向や統計的データから帰納的に「温度・湿度といった天候要因単独では、感染拡大の抑制には結びつかない」と結論づけています。

夏という季節要因で効果があるのは、UV光による、ウィルスの弱毒化のみです。

当事象については、欧州をはじめ、世界各地からエビデンスが寄せられています。

UV光により、屋外における接触感染を減らす効果は期待できるのです。

実際、UAE(アラブ首長国連邦)の空港においては、人体に悪影響のない範囲でのUV光を照射するロボットが、定期的に空港内を巡回し、照射を行っています。

後述しますが、引き続きマスクを着用することが感染しないため、させないために必要となります。

 

 

エアロゾルか空気感染か

くしゃみなどの飛沫系の感染は、距離に応じて3つに分類することができます。

飛沫感染<エアロゾル感染<空気感染 の順に距離が長くなります。

それぞれにおいては、微妙な線引きがなされますが、エアロゾル感染は約2−3mの距離、それ以上の距離は空気感染という定義が一般的です。

今回のウィルスがエアロゾル感染することは確定的ですが、それに留まるのか、空気感染の可能性があるのかは、議論が分かれるところです。

中国発の研究レポートでは、2つの実例がこれにヒントを与えてくれます。

第一に、中国武漢の病院では、患者の病床(頭部位置)から半径2−3mのウィルス付着率が一番多かったといいます。

つまり、エアロゾル感染を示唆する内容となっています。

また、2つ目の報告は、特定状況下での空気感染の可能性を示唆しています。

2月の中国の飲食店おいて、締め切った室内でエアコンを作動させていたところ、エアコンの気流上にいた感染者が5―6mの距離があったにも関わらず、エアコン下流の来店客らに感染を起こしたというものです。

他方で、気流外の、感染者のすぐ隣にいた来店客は感染しなかったとされています。

2つ目の事例は感染防止に重要な示唆を与えてくれます。

まず、エアコンという「吸って吐く」ことによる、空気の対流が存在する場合、換気やその他の方法で、空気が対流しない方法を取ることが重要だという点です。

特に、流体力学的には対角の窓をそれぞれ開け、空気の出入り口を作ることが換気には有効で、サーキュレーターのような強風を起こせる機器も役立ちます。

次に、夏冬はエアコンでの乾燥により水分が乾燥するため、「飛沫のサイズ」がより小さくなり、飛沫も軽くなります。

故に、マスクの網目を通り抜けるリスクも十分に存在しているといえます。

よって、屋内での空気感染を防止するには、適切な加湿が必要なのです。

加えて、加湿は粘膜保護にもなり、一定の感染予防効果を有します。

逆に、仮に中国の飲食店のような状況下に置かれたとしても、感染者がマスクをすることは、効果があります。

なぜなら、出たばかりの飛沫は、水分を含んでいるため、サイズの大きな飛沫は、マスクの網の目で留まるからです。

マスクを着用することでの、飛沫拡散距離の違い (1inch=2.54cm)
Wall Street Journal

マスクを着用しない場合(Uncovered)、飛沫の拡散距離は約100インチに及びます。

他方で、オレンジ色で示されている通り、何かしらの形でマスクを着用した場合は、拡散距離は20インチ程度にまで抑えることができます。

さらに、正しくマスクを着用すれば、5インチという距離にまで拡散を抑えることができます。

空気感染が一定条件下において起こりうる以上は、最前線である医療機関においてN95マスクの調達が急がれます。

ただ、中国から米国内に生産を戻したM3社によれば、増産を行っているものの、今冬までの増産量は米国内の需要に見合う範囲に留まるとのことです。

つまり、国外輸出が始まるのは来年以降と考えておくのが無難なようです。

そもそも、日本国が医療資材の約95%を輸入に頼ってきたこと自体が大きな誤りであることが明らかとなりました。

医療物資が戦略物資であるという考えの下、サプライチェーン及び生産設備を再構築せねばなりません。

 

 

忘れられやすい接触感染

飛沫感染への意識は相当高まっていますが、接触感染については忘れられがちなようです。

今回のウィルスは、体外での生存期間が長く、特に表面が滑らかな貨幣やプラスチック上では、数日間生存するとも言われています。

感染防止には手袋やアルコール消毒が欠かせません。

感染防止の観点から、外出時は、極力不要な接触を避ける必要があります。

ビニール製の手袋は使い捨てが可能で、現在では市中でも安価で流通しています。

また、街中で見られるアルコールは手でのプッシュ型ですが、不特定多数が手で押す部分は不衛生で、接触感染のリスクを有します。

自衛隊においては、足で踏むことでアルコールを出す機器も以前より使用されています。

同様の型は、一部の中規模医療機関でも見られるようになりました。

最も無難なのは、アルコールを100均などで販売さえている、小型の化粧スプレーに移し、持ち運ぶことです。

また、スマートフォンは以前より「便器よりも不潔」と言われてきました。

外出先でも家でも触れる、スマートフォンやタブレット、パソコンのようなタッチ型デバイス類は、市販のアルコール入りの使い捨て「メガネクリーナー」などで拭き取ります。

表面の皮脂はもちろん、ウィルスの弱毒化にもなり、接触感染リスクの低減が期待できます。

 

 

危機的な医療機関

医療機関の状態はコロナ発生以降逼迫しています。

一般外来の来院数は40%減、耳鼻科・小児科に限っては60%減といわれています。

特に固定費の多い診療科は売上の減少が赤字の拡大に直結します。

患者数に関わらず地代家賃やリース料のほか、看護師に人件費を払う必要があるからです。

特に看護師の不足は深刻で、一度解雇すると再雇用しにくいため、各病院とも繋ぎとめに必死になっています。

7月中頃には、関東の大病院で数百人規模での看護師の集団退職が起こりました。

他方で、医院には第1次補正予算の補助金が今になってようやく届き始めた状況であり、資金的な流動性が懸念されます。

街中のクリニックでは、これを機に閉院するケースも見られ、医療提供体制の脆弱さに拍車をかけています。

病床数確保が第一である以上、なんととしても医療供給体制をキープ、そして供給を増やす必要があります。

こうしたプライオリティ(優先度)の高い場所にお金が回ってきていないことも、数ある失策の1つです。

 

 

集団免疫という幻想

集団免疫とは、各個人のみならず、集団を構成する60−70%の人々が免疫を持つことで、個人のみならず、集団として免疫を保有するというものです。

集団免疫の保有に至れば、感染拡大は自然に阻止されます。

一部の専門家や医療従事者の間では、いまだに集団免疫を期待する声が聞かれます。

ですが、集団免疫は幻想であり、期待できません。

というのも、新型コロナウィルスに対する抗体の持続期間が極端に短いからです。

“Longitudinal evaluation and decline of antibody responses in SARS-CoV-2
infection”

図は、各抗体(IgM、IgA、IgG)のコロナウィルスの重要タンパク等(S、RBD、N
)に対する持続期間を表しています。

横軸にPOS(発症)からの日数、縦軸に抗体のレベルをとっています。

重症度(Severity Score)を色分けし、グラフ上にプロットします。

その上で、統計的な回帰分析を行い、全体としての傾向を青線のグラフとグレーのゾーンで示しています。

最も注目すべきはIgG抗体の持続期間であり、POSより50日を天井とし、抗体は低下傾向に入ることが分かります。

つまり、1度や2度の感染では抗体の保有には至らないと研究は結論づけています。

また、日本で行われた大手通信会社や疫学調査においても、国民の抗体保有率は0.5%程度であり、最低限必要とされる60%には遠くおよびません。

韓国においても無作為に抽出した3,000人の抗体を調べたところ、1名のみが抗体を保有しているという結果になりました。

こうしたことからも、集団免疫は全くの幻想だと分かります。

 

 

検査法、検査機器のブレークスルー

何より重要なのは、検査の拡充であり、諸外国と比較した検査数の低迷は国会やメディアでも散々議論されてきました。

1日当たりの検査数の推移(人口千人当たり・7日平均)
グラフにおいて、日本は最下位位となっています
Our World Data

諸外国と比較しても、1日当たりの検査数は低迷したままです。

政策が混迷し、現場が疲弊している中においても、検査法と検査機器においてはブレークスルーが見られます。

検査法においては、ドライブスルーなど様々な検査手法を編み出した韓国発の「プーリング法」がPCR件数の増加に役立ちそうです。

 

・検査手法のブレークスルー

プーリング法とは、各個人に検査を行うのではなく、グループとして検体を採取し、検査を行う方法です。

例えば20人を検査するとします。

この場合、20回のPCR検査が必要とされますが、5人をA、B、C、Dと4つのグループ分けを行います。

そして5名の検体を均等量ずつ注入し、検査を行います。

仮にグループAがプラス(陽性)となった場合、グループAの5名に対し再度、検査を行うのです。

そうすることで、A〜Dグループの4回+グループAの5名=9回の検査に抑えることができます。

本来20回行うべき検査を、9回にまで下げることができるのです。

これは、試薬の大幅削減や人材のボトルネックの解消にもつながります。

実際、韓国においては、同手法で検査費用が70%削減されたと報告されています。

 

・検査機器のブレークスルー

検査機器においては、日本でブレークスルーが起きています。

神奈川県が理化学研究所と共に特区において開発したSmart Amp法が検査に革新を起こす可能性を秘めています。

同手法は、1回30分から1時間で24検体を検査することが可能となります。

株式会社 ダナフォーム

一般的なPCR検査は、前工程も含めれば10時間近く、検体の移動にさらに時間、人員を要します。

ですが、Smart Amp法は、一般的なPCR検査に用いられる、対象型のプライマーではなく、非対称プライマーを用いることで、等温下での加速度的な増幅を可能としています。

特区で開発したため、様々な制約から開放され、既に保険適用されています。

また、確定診断にも用いることができます。

1日の研修で臨床検査技師が検査を行うことが可能となり、医療機関内で全てを完結させることができ、検査速度や件数を飛躍的に高めるポテンシャルを秘めています。

仮に、Smart Amp法にプーリング法を併用することが可能であれば、爆発的に検査を拡大させることが可能になるでしょう。

 

 

Factor Xは存在するのか?

欧米と比較して、日本を含むアジア圏は、一定人口当たりの死者数が圧倒的な低水準となっています。

人口100万人当たりの累計死者数は以下の通り、アジア圏の低さが目立ちます。

人口100万人当たり累計死者数
イタリアが最大となり、欧州圏ではドイツが低位に。アジア各国の低さが目立ちます
Our World in Data

国別の致死率 
致死率においては、日本の高さが目立つものの、アジア圏が低水準となっています
Our World in Data

累計死者数、致死率において、アジア圏の低さが目立ちます。

背景には2つの仮説が存在しており、そのうちの1つ(後者)は今後に希望を持たせるものとなっています。

 

・仮説1:変異

最初に考えられるのは、一般的なシナリオである変異です。

米国は2月中旬まで、弱毒性のウィルス株「D614」が蔓延していました。

最新の調査によれば12月時点で、同D種が米国内に持ち込まれていたことがわかっています。

2月中旬までのウィルスの変異状況
Nextstrain

2月中旬までの世界におけるウィルスの変異状況は上の通りとなっています。

武漢を起点とした、アジア型の青色から、赤色に変異しつつ欧米へと広まっています。

また、変異を示す、枝分かれと色の変化も、さほど発生していないことがわかります。

本格的な変異が起きたのは、2月中旬以降で、欧州を中心に感染爆発が起きた時期に重なります。

2月中旬以降のウィルスの変異状況
Nextstrain

そもそも変異は、感染時の転写エラーにより生じます。

故に、感染爆発が起きれば、一気に変異の可能性が高まります。

そして、変異は必ずしも強毒化を意味するとは限りません。

ですが、元々新型コロナウィルスは弱毒性であり、G株に見られる通り変異は強毒化を伴うと考えておくのが無難だと思われます。

変異の全容
bioRxiv

現時点において、200種類以上の変異種が存在しており、それらは主に7種に分類されます。

強毒性のG種や、韓国で広がっている感染力が一般型の6倍であるGH種などが見られます。

問題なのは、海外から強毒性の変異種が流入する危険性です。

仮に、アジア圏の死者が少ないことが単にウィルスが弱毒であったことによるものであるとすれば、強毒型が逆輸入されれば、悲惨な結果が待ち受けています。

そこで重要となるのが検疫です。

既に空港での検疫は逼迫しているといわれています。

「特段の事情」を有する外国人などが、2月中旬から7月中旬までの期間に146の国と地域から、約6万人来日し、そのうちのほとんどが入国しています。

入国は法務省の管轄であり、検査は厚労省の管轄であり、ここでも省庁間の縦割りの弊害が存在しています。

再三再四述べている通り、各省庁を横断的に統括する機関が必要となります。

さらに問題となるのが、沖縄を中心とした「在日米軍内」での感染増です。

日本は地位協定により、在日米軍の検疫を行うことはできません。

一方で、同じ敗戦国のドイツでは在独米軍の検疫については、NATO付属協定により、ドイツの法令及び手続きを適用しています。

STARS AND STRIPES

米軍内の米兵向け新聞である、STARS AND STRIPESにおいては、日々、米軍内での感染拡大が伝えられています。

危機的な沖縄での感染拡大
Go to キャンペーンの悪影響はこれから
琉球新聞

沖縄では、米兵発とした県内での市中感染が発生しており、Go toキャンペーンで沖縄に訪れた観光客が、本土に強毒型を持ち帰る可能性も十分に存在しています。

感染状況は2週間ほど前の状態を反映しますから、仮に本土市中で変異した強毒型が蔓延し、後述するファクターXが強毒型に作用しない場合、8月中旬には致死率の上昇という形で数値に現れるはずです。

ゲノム解析担当である、国立衛生研究所は、ウィルスの分離にさえ手間取っていると聞きますが、ゲノム解析までを行い、症例と併せつつ変異を追いかけることが、今後の感染予防と臨床現場において必要となります。

 

・仮説2:Factor Xの可能性(交差免疫)

Factor Xの存在は、ノーベル賞受賞者である山中教授が、BCGワクチンの存在を背景として挙げていました。

ただ、エビデンスに欠けており、筆者は納得がいかず、ファクターXの存在に対しても懐疑的でありました。

特に、BCGワクチン接種国であるブラジルや中南米において、感染拡大と致死率の上昇が同時に進行しているからです。

ですが、別要因がファクターXとして機能するという説に信憑性を感じるようになりました。

まず、アジア圏、特に日本国内で確認されている、ウィルスに暴露したあとの抗体の推移に理論との乖離があります。

一般的にウィルスに暴露した後は、ウィルスを認識するIgM抗体が5日ほどでピークに達し、その後にウィルス認識が進むと免疫反応を有するIgG抗体が上昇してきます。

ですが、日本人の抗体の推移では、初期の段階からIgG抗体レベルがIgMと歩調を合わせる形で上昇するとの報告が出ています。

この抗体の推移から免疫反応においても違いが存在すると考えることができます。

この疑問が出発点となり、Natureには以下の論文が発表されるに至りました。

また、Cellにおいても同様の論文が発表されています。

Nature

論文は、2003年のSARS(SARS-Cov)の回復患者由来の抗体が、新型コロナウィルス(SARS-Cov2)を阻害することができるというものです。

また、同論文は、これまでアジア圏においては、SARS-Cov Xのように、様々な亜種が知らぬ間に拡大し、アジア人が幾度となくウィルスに暴露されることで、多くが免疫を保有している可能性を示唆しています。(交差免疫)

さらに言えば、各アジア人が免疫を有していれば、集団免疫として作用するため、爆発的な感染拡大の阻止や、低致死率の要因となる可能性さえ秘めています。

仮にファクターXが真実であるとするならば、G株のような強毒型のウィルスにも同様に免疫が作用する可能性も存在します。

ただ、別の研究では、同仮説を否定するものも存在しており、疑問は謎に包まれたままです。

危機管理はワーストケースを想定することからはじまります。

故に、ファクターXに依存した政策立案はあってはなりません。

あくまで保険としての位置づけの留めておくべきだと考えます。

 

 

ワクチン待ちの世界

世界はワクチン待ちの状態となっています。

米国株もワクチンに関するニュースと感染拡大、経済情勢の狭間で一喜一憂しています。

欧州は感染が抑えられているものの、米国では拡大が続いています。

また、冬入りした南米においては、感染が爆発的に拡大している国も見られます。

ワクチン開発においては、協調が叫ばれていましたが、米中分断をはじめとした「競争原理」が有効に作用したと筆者は考えます。

協調よりも競争こそが、市場原理のもとの利益という、最大のインセンティブを生じさせ、それが、早期の開発に結びついているのです。

2月から4月にかけて、専門家はワクチン開発には3年―5年の月日が必要とすると述べてきましたが、その予測はいい意味で裏切られることとなりました。

国内ならず、世界各地で様々なタイプのワクチンのパイプラインが走っています。

種類別のワクチン(日本国内)
厚生労働省

海外のワクチン開発と種類
厚生労働省

中国では、名門大学が開発を続けていますが、高度な生産設備が存在しないため、生産面ではカナダと協業するとしています。

現在、最主力とされている、オックスフォード大とアストラゼネカが共同で開発を進めるベクター型ワクチンは、7月中旬に第二相を追え、最終となる第三相へと進みます。

副作用面からは極めて安全で、作用面からも極めて有効であることが、Lancetにおいても報告されました。

Lancet

ただ、オックスフォード大は、これまでMERSも含め、80近くの呼吸器疾患系ワクチンを主とした臨床を行なってきましたが、1度たりとも承認にこぎつけたことはなく、今回が第一号となることが期待されます。

 

 

安全性が第一

ワクチン開発においては、安全性と有効性の2つが大切です。

医師は副作用と作用をみつつ、両者を比較衡量し、リスクベネフィットを鑑み、投薬を決定します。

前のめりな開発や承認プロセスも一部では見られるため、この点には注意しておく必要があります。

ましてや、緊急承認となれば、作用ばかりに目を奪われ、副作用を軽視してしまいがちです。

各国とも、ワクチン開発や感染抑制が支持率、そして開発企業の利益に直結するため、副作用について、我々は特に慎重に見ておく必要があります。

特にmRNA型ワクチンは先端的ではありますが、これまで一度も承認を受けたことがなく、副作用もはっきりとは分かっていません。

仮に臨床試験ににおいて重篤な副作用が見られずとも、後発的な遺伝性疾患の副作用などの可能性も考えておくべきです。

日本では、「アビガン」が国民の生命を危険にさらす一歩手前の状況となりました。

アビガンに関する意見書

緊急事態宣言発動において、安倍総理は幾度となく「アビガン」を前面に押し出しました。

官邸においても、「アビガンはまだか」と幾度となく口にし、反対意見を述べる雰囲気ではなかったと週刊誌は伝えています。

アビガンは副作用の頻度や種類も多く、新型コロナに有意な効果が確認されていないことは既成事実として存在しています。

さらには、本来の目的である季節性インフルエンザにさえ統計的に有意差が見られないことから、薬害オンブスパースン会議は5月1日、厚生労働大臣宛てに「アビガンに関する意見書」を提出しました。

同意見書においては、様々な副作用と有効性の低さ、加えて過剰な期待を煽ることへ警鐘を鳴らしています。

では、一体なぜ、総理はアビガンに対して前のめりになったのでしょう。

それは、日本が保有する、アビガン錠の戦略備蓄にあります。

新型インフルエンザの際、緊急承認された同ワクチンは、国家の戦略備蓄として約60万錠が眠っていると言われています。

また、感染拡大が支持率低下を招き、国民の不安も高まっていた中です。

「強引に緊急承認させ、市中に放出し、運良く治ればいい」程度にしか考えていなかったのでしょう。

一歩間違えれば、重大な別の危機をもたらす、人災となる可能性さえあったのです。

アビガン錠使用における警告
アビガン錠 説明書

 

 

トンネルの先に

ワクチン開発競争においては、米国やイギリスをはじめとした欧州勢がノウハウと生産設備の両面から先行しています。

米政府は、「来年1月までに3億回分の供給を目指す」としています。

裏を返せば、国内消化分の生産で手いっぱいである様子が伺えます。

各国とも、開発国や資金拠出国から優先的に国としてワクチンを確保していくことになりそうです。

また、国内での配布順序も決めておかねばなりません。

まずは現場の最前線で戦う医療従事者の方々、そして検疫など水際でウィルスを食い止めようとしている人々です。

さらに、日本国内での開発においては、政府の買入れプログラムが欠かせません。

米国立アレルギー感染症所長アンソニー・ファウチ氏は、その正確な発言において、米国民から高い支持を受けています。

同氏は、「有効性の確認を待たずにワクチン生産を開始することになるだろう。」と述べており、承認を待たずに生産を行うことを示唆しています。

つまり、仮に承認されなかった場合は、政府が製造分を製薬会社から買い取ることとなっています。

日本においては、そのような政府の協力は現時点で存在しません。

製薬会社も営利目的の民間企業である以上は、そのようなインセンティブを与えなければ、開発は前に進めど、肝心の生産が遅れてしまうことになります。

ワクチンの価格は、製薬会社によっても異なるようですが、米政府が7月末に示した指針によれば、1人当たりの接種で約40ドル(2回分)、2度の接種が必要となるとのことです。

10月からは季節性インフルエンザの流行がはじまります。

インフルエンザと新型コロナの感染を同時診断できるキットも、「ビオメリュー・ジャパン」より発売され、保険適応されることが決まっています。

検査においては約50分程度の時間が必要とのことです。

医療機関においては、一般外来のみならず、救急外来においても新型コロナウィルスに対する確定診断、除外診断を行い、トリアージせねばなりません。

厚生労働省もガイドラインを策定し、早期に配布する必要があります。

これまでも、そしてこれからも、何より重要なのは検査体制の拡充です。

地域ごとに徹底した検査を行うこと、エピセンター(感染源)の周辺も含めた検査の実施が欠かせません。

また、感染源となっている、あるいは潜在的になり得る業種・業態へ、法的拘束力を有した休業要請を行い、補償もセットで提供する必要があります。

これらを可能にするためには、憲法53条下での国会再召集と抜本的な特措法改正が必要となります。

ですが、時間的な余裕もありません。

10兆円近い補正予算を「全国にウィルスをバラ撒く使い方」をするのではなく、「検査をはじめとした感染症対策」に回せば間に合うことも数多くあります。

もちろん、検査のみならず、検査で陽性が出た後の濃厚接触者の追跡、隔離、それらを各担当が連携しつつ、シームレスに行う必要があることは言うまでもありません。

日本では、この期に及んでも「偽陽性の可能性や隔離における人権」について議論がなされています。

北半球の先進国で、このような寝言を言っているのは日本だけです。

「検査法・検査機器」の項での「検査数のグラフ」が全てを物語っています。

分科会の尾身会長は最初だけは発言にも勢いがありましたが、現在では分科会も政府の追認機関に成り下がっています。

7月31日金曜日の会見では、感染拡大における4つのステージについて述べただけで、何ら数値目標も設けずに、『「これから検討する」ことを発表する』に留まりました。

経路不明感染者が爆発的に増加している以上、市中感染は当然起こっていますし、今後の急増は避けられません。

同会長は解体される前の「専門家委員会」後の会見において、「自分は経済の専門家ではないし、素人である」とはっきり述べられました。

それにも関わらず、「経済と感染症対策の両立」を考えながら分科会を運営している現在の体制は、そもそもの間違いです。

医療や感染症の専門家である以上は、自分自身の専門分野にのみスポットを当て、純粋な感染症対策の観点から政府に助言を行うべきであり、経済について考えるのは別の人々の仕事なのです。

最初から分科会が経済について考えるのであれば、自ら感染症対策にブレーキをかけているに等しく、まさに今の政府と同じ「経済か感染症対策か」の狭間でさまようことになります。

それこそが、分科会が自ら実質的な政府の追認機関に成り下がっている所以なのです。

 

 

まとめ

新型コロナウィルスは年齢依存性を有し、高齢者の致死率が高いため、今後は高齢者を守ることが大切になります。

そのためには、検査を拡大し、高齢者施設の入居者や入院患者との面会の禁止、必要な場合はPCRや抗原検査を行うことが求められます

そのためにも検査体制の拡充が必要不可欠です。

新たな検査法や検査機器のブレークスルーが起きており、その気になれば、一気に検査件数を増加させることが可能な素地は整っています。

日常生活においては、飛沫、エアロゾル感染のみならず、特定の状況下においては空気感染も起こりうるため、対流を作らず、空気をうまく換気する必要があります。

また、忘れられがちな接触感染においては、ビニール手袋の装着や持ち歩き用のアルコールスプレーの携行、外出時に頻繁に触れる、スマートフォンをはじめとしたタッチ型デバイスの消毒も忘れてはなりません。

アジア圏においての人口当たりの感染者数は、欧米のそれと比して圧倒的な低水準にとどまっています。

アジア圏で蔓延したウィルスが弱毒性であった可能性、あるいはファクターXという過去の遺産が影響している可能性の2つが考えられます。

今後、秋にはワクチンの承認と本格生産、そして配布が開始されるでしょう。

それは、主に先進国からはじまり、途上国、そして最後にアフリカなどの貧困層であるBOP(Bottom of Pyramid)といった人々に行き渡ることになります。

先進国の国民が一通りワクチンを接種し終えるのは、来年の夏頃となり、来年の冬にワクチンの効果や持続期間が実際にテストされることとなりそうです。

そして再来年にあたる2022年には、先進国や途上国、BOPに属する人々にまでワクチンが行き渡ることになるでしょう。

全世界から人々を集める、東京五輪の来年夏開催は、南半球の状況を鑑みても絶望的です。

現在の市中の様子からは、緊急事態宣言以降の気の緩みが見られます。

人は、緊張した後には緩みが出るものです。

それは、肉体のみならず、精神においても同様です。

若年層においては、発症後、陰性となった後も、重篤な後遺症が残ることが欧米から報告されています。

慢性的な倦怠感、数メートルの歩行での息切れや、自宅の階段を上るだけで数週間寝込む必要があるといったものです。

これらの症状は、一般的な自律神経失調症と酷似しており、米国のレポートによれば、若年層の約6割が自律神経系統に異常をきたしていると言われています。

このような後遺症の持続理由は不明ですが、いわゆるサイトカインストーム(免疫の過剰暴走)などが有力視されています。

緩みが見られる若年層も、このような症例を知ることが必要です。

そして、国民全体としても、「with コロナの時代」を生き抜くための、新型コロナウィルスの特性や感染対策を知っておく必要があります。

現在の市中における感染リスクは、5月に収束した第一波のそれを圧倒的に上回るものです。

今後は、余程の大規模な措置が取られない限りにおいては、感染の拡大と高齢者を巻き込んだ致死率の上昇は不可避といえます。

政策や対策として行うべきこと、そのためには何が必要か。

そして、医学・薬学・疫学面や日常生活で気を付けるべき点など、新型コロナに関して思いつく事項はほぼ書かせていただきました。

それぞれの機関が行うべきことは、メディアでも散々議論し尽くされている通り、解として導出済みのものばかりです。

次稿におきましては、一旦、新型コロナそのものからは離れ、金融面にスポットを当てつつ、コロナ禍での金融・経済について考えます。