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コインパレスのコインコンシェルジュブログ

2020.06.09グローバルマクロニュース

【Vol.60 グローバルマクロニュース】再始動する中国

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再始動する中国

中国が再び動き始めています。

 

2019年末、新型コロナの発生源となり、世界を一変させてから約半年。

 

グラウンドゼロである中国は、他国に先駆けて元の世界を取り戻しつつあります。

北京をはじめとする中国全土において、1月、2月には青い空を見上げることができました。

ですが、その美しい空は、経済活動の再開に歩調を併せ、曇りつつあります。

中国国内から情報が発信されない中、衛星画像では3月時点で既に大気汚染が確認されていました。

3月時点で、経済活動が再開していたことが分かります。

ますます曇りゆく視界不良の景色は、あたかも、今後の中国、そして西側諸国との対立を暗示しているようです。

図1、中国工業地帯の大気汚染 ©Shutterstock.com

 

 


中国の第一手

中国が、国内での感染を収束させた後、まず動かしたコマは、マスク外交に代表される医療物資の提供です。

世界を混乱させた以上、一国家として、他国に支援を行うことは当然とも言えます。

ですが、これまでの歴史が証明しているとおり、支援には対価が伴います。

本来、支援は、何の下心もなく、100%の善意において行われるべきものです。

逆に、中国の医療物資の提供は、支援というよりも、外交政策に近いものだといえます。

それこそが、「マスク外交」と世界から揶揄される理由であり、

実際、細部を見ていけば外交手段の1つに他ならないのです。

中国からの医療物資提供は、5月末時点で、194の国と組織に配布が行われました。

また、同国の統計を見ても、4月には医療関連物資の輸出量が急増しており、

その規模は対前年同月比で10倍以上に及びます。

 

そもそも、人件費の上昇こそあれ、中国は依然、世界の工場です。

 

グローバルな生産体制が中国に集中していたことが、コロナ禍でのサプライチェーン(物流)の混乱を招いたとも言えます。

世界の工場であるため、中国は多様な生産設備を大量に有しています。

こうした設備は、一朝一夕で作りあげられるものではありません。

実際、日本政府も2月には国内でのマスク増産を命じましたが、本格的に市中に流通しはじめたのはごく最近です。

医療資材の90%以上を海外依存していた日本国は、戦略物資として、医療資源が如何に重要であるかを知ることとなりました。

困っている国があれば、逆に得をする国が存在します。世界が混沌とする中、唯一先を行き、覇権を握ろうとしている国家こそ、中国に他なりません。

同国は、既存の生産設備をフル稼働させ、医療資材を大量に生産しました。

そして国内における十分な在庫を確保しました。

そして、過剰生産した余剰在庫を、単に放出するのではなく、「外交のカードの切り札」として使っているのです。

 


アメとムチ外交

中国の外交政策は「アメとムチ外交」と例えることができます。

自国の政策に賛同する国には、笑顔で微笑みます。

しかし、その裏で、少しでも北京の機嫌を損ねようものなら、ムチを用い、経済的・軍事的に追い込んでゆきます。

ムチは、国際社会に対し、中国に逆らうとどうなるかを知らしめる、ある種の見せしめといえます。

そして、恐怖を与えつつ、アメをぶら下げることで、同盟国を募っているのです。

 

ですが、アメも決してタダではありません。

アメを得るには、対価を伴うのです。

 

耳を疑うようですが、過剰在庫となったマスクと引き換えに、自国ファーウェイ社の5G製品を使用するよう各国に迫っています。

その姿勢が西側諸国や世界各国の反感を買っています。

それでも、本当に困っている国々は対価を伴ってでもアメを取るのです。

中国が与えるアメは、マスクだけではありません。

最たる例が、中国による、アフリカ諸国への資金貸出です。

経済的に貧困状態にあるアフリカ諸国には、資金を借り入れる担保さえありません。

どの国家も、アフリカ諸国に資金を貸し出そうとしない状態に目をつけた中国は、貸出しを積極的に行ってきました。

貸し出しである以上、担保が必要です。ですが、貧困国には差し出す担保さえありません。

そうした時、唯一の担保が国土そのものになってしまうのです。

そして広大な国土の下には天然資源が眠っています。

ですが、貧困国には、それを掘り出す設備も技術力もありません。

 

「返済能力が疑わしく、返済の見込みがないものの、国土には魅力がある。」

 

返済されないことも承知の上で、合法的かつ、資金力に物を言わせ、

誰も目をつけなかったアフリカ諸国を、資金力にモノを言わせて植民地化しつつあります。

アフリカに、中国のアメとムチ外交の最たる例を見ることができます。

 


国境なき攻撃

図2、可視化されたサイバー攻撃マップ https://cybermap.kaspersky.com/

 

リアルタイムのサイバー攻撃を可視化して分かる通り、極東において不気味な光を放っているのが中国です。

また、攻撃手法も多岐に渡っていることが分かります。

 


次世代通信規格5Gで世界覇権を目指す中国

21世紀の覇権争いにおいて、中国が何より重視しているのが次世代通信規格での覇権に他なりません。

先述した、「マスクとファーウェイ製品の利用義務交換」からも分かる通り、

通信インフラにおいて世界で覇権を握ることが中国にとっての優先課題であり、国益となるのです。

それは、単に産業としてのみならず、他国の情報を根こそぎ自国に取り込めるからでもあります。

新冷戦の時代において、相手国側のインフラシステムを利用することは、絶対にあってはならないのです。

世界における通信インフラは、自動運転やIoTに代表される通り、この先、全ての物事を制御するための基盤となるからです。

通信を遮断すれば、その国は死んだも同然となるのです。

それは、軍事作戦においても、通信が要となることからも分かる通りです。

コロナ禍においても証明された通り、リモートワークやテレビ会議、ネット通販など、通信は我々の日常により溶け込み、そして我々の生活と一体化しつつあります。

通信インフラの重要性に目をつけ、アメとムチを使い分けつつ。

現実世界のみならず、仮想空間においても覇権を握ろうとする中国の姿からも、その本気度を窺い知ることができます。

 


忘れられていた新冷戦の再開

米中対立という重たいテーマは、19年末に一度トーンダウンし、

そしてコロナの世界的流行を契機に、世界の人々の脳裏から一旦は忘れ去られました。

 

ですが、北半球で感染が収束し、南半球へ移動する中で、「米中冷戦」という根の深い問題が再び顔を覗かせています。

その発端となったのが、香港の「国家安全法制定」へ向けた動きです。

英国の植民地であった香港は、1997年に、「一国二制度」を50年間維持することを条件に中国へと返還されました。

一国二制度とは、香港が中国の社会主義下に属しつつも、「高度な自治」が認められる制度です。

つまり、独自の政府や司法制度、金融制度が認められることになっているのです。

ですが、国家安全法は、その約束を反故とするものであり、国際社会からも非難の声が高まっています。

コロナ禍でのどさくさ、そして米国内が人種問題で混乱しているタイミングを見計らい、中国は火事場泥棒的な強硬姿勢をとっているのです。

図3、香港の広場に集まるデモ参加者 ©FLASH

 

 


長期化の様相を呈す新冷戦

図4、全人代での習首席 ©Sankei Biz

-第二波に警戒しつつも、指導者がマスクを着用しないことで、コロナ制圧をアピール狙いか-

 

コロナ禍でのデモとあり、香港市民も、命がけであることが伺えます。

いま真剣に中国と対峙しなければ、子供、そして孫の代にまでツケが及ぶことを理解しているからです。

そして、中国の直接支配が及べば、世界第二の金融センターとしてのポジションも失うことになります。

それは、「資本移動の自由」の喪失と同義であり、雇用や外資参入にも悪影響を及ぼし、香港にとって莫大な経済的ダメージとなります。

自国の強引な行為が、香港の経済的価値を喪失することを、中国もわかっています。

それでも強引な姿勢を示す背景には主に2つの要因が考えられます。

第一が、習近平指導部の統治能力を内外に示すためです。

昨年の全人代において、指導部は台湾の支配を高らかに宣言したものの、台湾の民意が中国に大恥をかかせることとなりました。

今年の全人代において宣言した、香港の直接支配が失策となれば、指導部の統率能力が問われ、信用は失墜、メンツは地に堕ちます。

国外のみならず、コロナ禍で不満の高まった中国国民に対しても示しがつかないのです。

 

第二が、米国内の混乱です。

 

米国内が人種問題で混乱し、トランプ政権の地盤沈下と統治能力が疑問視されるなか、火事場泥棒的に、強引に物事を推し進めています。

米国内の混乱は、中国にとって格好のカモフラージュとなるのです。

図5、平和的に抗議する米国市民 ©Bloomberg

 

米政府も承知している通り、対中強硬姿勢は、輸入物価の上昇という形で、米国民の生活コストの上昇につながります。

ですが、いかなる犠牲を払おうとも、世界一の座に留まることが米国にとって、なにより重要なのです。

この点については、対立する人種間においてさえ、一致する思想だと思われます。

国家間のメンツをかけた新冷戦は、今後ますます激しさを増すでしょう。