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2020.01.09アンティークコイン

【Vol.50グローバルマクロニュース】落としどころを見つけたイランー米イラン対立ー

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落としどころを見つけたイランー米イラン対立ー

緊迫化の引き金――――
中東情勢が緊迫化しています。事の発端は1月3日(金曜日)、米軍がイラン革命防衛隊の司令官を殺害したことに始まります。

殺害されたソレイマニ司令官は、革命防衛隊を指揮し、イランや中東各地で英雄視されている人物でした。

トランプ大統領は当初、同氏の殺害には消極的であったものの、イランの米国大使館前に群がる暴徒を見て、攻撃を決断したと伝えられています。

ロイターの報道によれば、ソレイマニ司令官は19年10月中旬、イラクのシーア派民兵組織の人物と会合を開きました。

この会合において、米軍への攻撃を画策したとされています。最終的には、この会合が3日の同氏殺害を誘発することになったのです。

 

作戦名「殉教者ソレイマニ」――――
その後、中東の緊張が一気に高まります。ソレイマニ司令官の死をイラン中が悲しみ、そしてイラン最高指導者が「報復」を予告したからです。

最高指導者は「彼の血を流した犯罪者たちには厳しい報復が待っている」と警告しました。そして、ソレイマニ司令官死亡の喪が明けた翌日の8日(水曜日)午前8時過ぎに事態は急変します。

イランがイラクの米空軍が駐留しているAin al-Asad基地へ弾道ミサイルを20発近く打ち上げたのです。作戦名「殉教者ソレイマニ」の下、報復は実現されました。

イランの基地から打ち上げられた中距離弾道ミサイル   ©Times Of GAZA from twitter

打ち上げられたミサイルの大半が空軍基地へと着弾しました。これだけの数の中距離弾道ミサイルが撃ち込まれた場合、相当数の死者が出る事が予測されます。

実際、攻撃直後には情報が錯綜し、「米兵20名が死亡」というヘッドラインも流れたほどです。ですが、不自然かつ幸運なことに、米兵は1人たりとも死亡しなかったのです。

軍事的に考えた場合、先制攻撃を空軍基地に対し行うというのは非常に理にかなったものなのです。

なぜならば、近代戦では、巡航ミサイルでの遠隔攻撃にはじまり、地対空基地を叩いた上で、空爆で地上兵力の障害となる拠点を潰し、その後地上侵攻が行われるからです。

つまり、米軍の初動攻撃となる航空戦力を攻撃し、一定程度無効化することは、自身の防衛につながるからです。

ですが、もし、イランが本気で米軍との戦争を望んでいれば、より大量のミサイルを、より正確に人員や兵器を狙い発射することができたはずです。

ですが、イランの攻撃は1名の米軍死者も出さない結果に終わりました。軍事的には、米国を刺激しただけで、成果は無く、大失敗だといえます。

であるとするならば、イラン側の意図は別のところにあると解釈するのが自然でしょう。

 

意図されたメッセージ――――
イランはミサイル発射後、米国との戦争を望んでいない旨を記した書簡を国連に提出しました。

CNNの報道では、ミサイル発射前に米国へ事前警告を行ったと伝えられています。

そもそも、米軍と軍事衝突し、全面戦争となっても、世界最強の軍事力を前に勝てる見込みはありません。米国側も同様です。

「報復には報復」と息巻くトランプ大統領でさえ、中間選挙前の複雑なタイミングでの戦争突入は避けたいのです。ここで両者の目的が一致しました。

トランプ大統領は選挙前に、ソレイマニ司令官を殺害したことで一定の成果を強調することができます。

そして、イラン側も暗闇から米軍へ向け発射される大量のミサイルの映像を世界に流すことで、米軍への報復を行ったという面目を保つことができます。

実際の死者は0名であるにもかかわらず、イラン国営放送では、米軍死者が数百名に及ぶとの報道がなされました。

イランはプロパガンダとして、成果を大規模に強調することで、国内の過激派の熱を冷ますことができます。

また、国民を満足させるのみならず、国家としてのメンツを保つことに成功しました。

 

上手く落としどころを見つけたイラン――――
米国が行った殺害作戦に一応の報復で応じることで、形式的には敵をとった形となったのです。

形式的に上手く落としどころを見つけ、落とし込んだ形となりました。

米軍の死傷者を出さず、一定の攻撃の成果を誇示するメッセージを映像とともに国内に伝えました。

そしてアメリカに対しては意図的にミサイルを外したため、攻撃は建前上のものだというメッセージを送ったのです。

米側は選挙前に成果を強調でき、イラン側もプロパガンダとして国民を満足させ、米国には戦争を望まず、形式的に攻撃したことを、死者0人を通じて伝えました。

イランは上手く落としどころを見つけました。軍事作戦を通じたイランの意図は米側によく伝わったと言えるでしょう。

緊迫化が伝えられる中東情勢ですが、こうしたメッセージを読み解けば、開戦の可能性が限りなく0に近いことが分かります。