icon会員登録 icon資料請求 iconお問合せ iconカート

検索:

cart お問い合わせ 資料請求 新規会員登録 tel

ホーム  > ブログ  >  【Vol.45グローバルマクロニュース】ドイツ銀行は崖っぷちなのか?

BLOG

コインパレスのコインコンシェルジュブログ

2019.10.30アンティークコイン

【Vol.45グローバルマクロニュース】ドイツ銀行は崖っぷちなのか?

Pocket

ドイツ銀行は崖っぷちなのか?

再建途上のドイツ銀行
経営再建中のドイツ銀行の先行きに懸念が持たれています。足元では日本から投資銀行部門を撤退させたことが金融関係者の間で話題となりました。

また、同行は世界各地で人員削減を進めています。

ドイツ銀行の行員は全世界で約9万人に上り、このうちドイツ国内での行員が4万人となっています。

今年10月に全世界で1万8千人の人員削減を行うことを発表しました。これは全行員の20%に当たるため、同行の経営に懸念を持たせるきっかけとなっています。

さらに、ドイツ銀行がマネーロンダリングなどに加担したとして、ドイツ当局から家宅捜索を受けている点も、市場関係者の不安を煽っています。

思い出される2016年のドイツ危機
こうしたニュースから市場の一部では、2016年のドイツ危機を想起する向きもあるようです。

2016年には前年に発生したチャイナショックを発端として、世界的に景気後退懸念が台頭しました。

その中でも世界金融を揺るがしかねなかったのが、同行の破綻懸念でした。

欧州経済の中心的存在であるドイツの主要銀行なだけに、仮に破綻すれば第二のリーマンショックとなっていたに違いありません。

そして、当時の破綻懸念は大量のデリバティブ取引に起因するものでした。

デリバティブとは金融派生商品を意味する言葉で、「複雑な仕組み」と「高いレバレッジ」が特徴です。

仕組みが複雑である故に、リスクをしっかりと把握することが困難です。また、レバレッジにより、少ない元本で多額の資金をリスクにさらすことが出来る点も特徴です。

ちょうど、2008年に巨大投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻に追い込まれたのも、リスク許容度を超える、多額のデリバティブを抱えていたことが発端となっています。

多額のデリバティブを抱えた、2016年時点のドイツ銀行に、市場はリーマン・ブラザーズの姿を重ねたのでしょう。

ドイツ銀行破綻懸念を発端として、世界各地で金融危機に身構える姿勢が見られ、2015年夏に2万1千円をキープしていた日経平均株価は、2016年2月には1万5千円にまで急落しました。

多額のデリバティブ取引を背景とした、2016年のドイツ銀行の経営破綻懸念の背景で糸を引いていたのは原油安でした。

それは、ドイツ銀行が抱えていたとされる多額の金融派生商品がシェールオイル絡みだったからです。

2016年の破綻懸念の根底にあったもの
シェールオイルとは原油の代替エネルギーと目されるもので、多数の企業が商品化に精を出しています。

そうした企業群の中には中小企業も多く含まれ、そうした企業がリスクの高いデリバティブ商品を発行していたのです。

リスクが高ければ当然、リターンも高くなります。そして、デリバティブのリスクは見えにくいのが特徴です。

高いリターンと不透明なリスクがあわさり、低金利下でリターンを追い求めていたドイツ銀行をさらなるリスクテイクへと駆り立てました。

そうして、同行は多額のシェールオイル関係のデリバティブを保有するに至ったのです。

原油安は代替エネルギーとしてのシェールオイルの魅力を低めます。なぜなら、原油価格が低下すれば、わざわざコストをかけてシェールオイルを発掘する必要がなくなるためです。

よって、原油価格の下落はシェールオイルの代替資源としての魅力を低下させ、シェールオイル関連のデリバティブ資産の価値を低めます。

2015年には60ドル(1バレル)だった原油価格は、2016年には30ドル台にまで急落しました。

これが、2016年のドイツ銀行破綻懸念の背景に存在していたものです。

 

WTI原油先物価格 月足チャート(C)Investing.com

過剰反応する市場
一方で、今年になってから一部で囁かれている同行の破綻懸念は、再建に伴うリストラなどが誇張され、やや懸念が先行している状況となっています。

一方で2016年の破綻懸念は大量のリスク資産を抱えていたため、金融市場への影響は甚大なものとなっていたでしょう。

つまり、現在の破綻懸念と、2016年の破綻懸念は根本的に質が異なるものなのです。

ドイツ銀行株価 月足チャート(C)Investing.com

現在も経営不振がささやかれているドイツ銀行の株価は、2019年上期に6ユーロ台で底打ちし、現在は反転しています。

破綻懸念を明確に映すのが株価であるとすれば、株価反転が破綻懸念の一旦の落ち着きを示していると見ることができます。

経営再建の基本を地で行くドイツ銀行
人員削減をはじめとして、同行は現在、経営スリムの化を図っています。投資銀行は売上高以上に人件費を要する場合もあり、非常に労働集約的な業界です。

まず人員削減を行うことで、コストを削減して、収益基盤を固めます。

そして仮に小さくとも安定した利益を生み出すことができるようになれば、利益を原資として人材採用をはじめとした投資を行い、規模を徐々に拡大させればいいのです。

利益の上がらない日本の投資銀行部門から撤退したり、世界的な人員削減を実行したりと、同行の再建計画は経営再建の基本を地で行っているということができます。

資金洗浄に関しては、米国であればどこの投資銀行でも行っていることで真新しくはありません。

ゴールドマンサックス、JPモルガン、Citi bankなどは2000年初頭、テロやマフィアに絡む資金洗浄を行っていました。

再建途中に資金洗浄のニューが出たことは同行のイメージを毀損するものですが、財務基盤に影響を与えるものではありません。

時間が経てば忘れられる類のものだと言えます。

ドイツ銀行は崖っぷちなのか?
ドイツ銀行の株価が2016年の危機時の5~6ユーロ台にまで下落したのは、2016年の記憶が市場関係者の脳裏によぎったからだと考えます。

結果として市場は過剰反応してしまったようです。

現在はデリバティブ商品の整理を進めています。

また、「大きすぎて潰せない問題」もドイツ銀行には追い風に思われます。メルケル独首相は「ドイツ銀行を救済しない」と過去に明言しました。

ですが、いざ世界経済がドイツ銀行をグラウンド0として崩壊するとなれば、放っておけないでしょう。

08年に聞かれた「too big to fail(大きくて潰せない問題)」が、ドイツ銀行には救いとなるのです。

ですが油断は禁物です。2008年のリーマン・ブラザーズ破綻も突然に起こりました。

ドイツ銀行の負債は膨張し、安全性を示す自己資本比率は7%にまで低下しています。経営再建が人員削減では間に合わない可能性も存在しています。

さらに、人員削減はフィンテックといった最新分野への投資が遅れ、世界の潮流に乗り遅れることを意味します。

つまり、現在のドイツ銀行には、経営再建のためのコストカットが一巡した後に収益の柱となるものが無いのです。

欧州の中央銀行にあたるECBの量的緩和により、マイナス金利はさらに深掘りされ、銀行業務の収益環境は悪化の一途を辿っています。

そこで企業買収などを通じて投資銀行業務に進出したのがドイツ銀行。商業銀行が投資銀行を買収するという、無茶ぶりは上手くいきませんでした。

結局、商業銀行に原点回帰しているドイツ銀行ですが、数年前ほどの危機的状態ではないにしろ、この先ジリ貧となることは免れません。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。