【グローバルマクロ ニュース Vol.22】幻の資本主義

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資本主義は信用の上に成り立っています。例えば1万円札の原価はたったの数十円ですが、数十円の紙に「信用」という魔法がかかると、数十円の紙は1万円の価値を持ちます。この信用こそが、資本主義の原点であり、経済を現在の大きさまで拡大させた要因でもあります。
経済学には「信用創造」という言葉があります。1万円を支出すると、その1万円を受け取った人が支出を行い、その支出を受けてまた別の人が支出を行い・・・ このようにして、経済は実態の何倍もの規模で動きます。

 

信用が逆回転したとき、それまで膨らんでいた経済は一気に縮小します。
金融関係者なら忘れることのできない、2008年9月15日のリーマンブラザーズ破綻。この出来事を境に、世界の景色は激変しました。
それまで膨らんでいた信用は一気に収縮し、市場を不安感と不信感が支配しました。好調な時には実態の何倍にも膨らむ経済ですが、ひとたび信用収縮が起これば、それまで実在していると思われたものは幻になり、全てが一斉に崩れ去るのです。
信用をベースとした資本主義にはそうした怖さが内在しています。

 

現在の景気拡大は2009年から続く、歴史上でも長い部類に入るものです。いくつかの市場では、既に綻びが見え始めています。例えば、信用力の低い債券である、米国のハイイールド債の価格は足元で急落しています。
他にも新興国通貨や新興国株式市場では秋に入ってからというもの、大きな下落が続いています。世界の中央銀行は利上げを段階的に行い、次の不況へと備えています。ですが、日本だけが利上げはおろか、引き続き金融緩和を行っています。
もし何かが起これば、日銀にはなす術がないのです。そうしたとき、人々は「これまでの好調な経済は幻だったのだ」と悟るのです。

 

 

円は世界の中でも脆い通貨です。GDPの何倍にも及ぶ借金や増え続ける社会医療費など、円は大きな不安定さを内在しています。ひとたび信用が崩れれば、円の信用は一気に失墜するでしょう。
現在の円相場が安定しているように見えるのは、相場が「きっかけとなる出来事」を待っていからなのです。危機はある時突然訪れます。
ドイツでは第一次世界大戦の後、凄まじい勢いのハイパーインフレが訪れました。パンを1つ買うために、台車一杯の貨幣が必要になるといった有様です。
日本でも同じような出来事が起こらないとは限りません。戦争やテロ、自然災害など、きっかけを挙げるとキリがありません。

 

幻の資本主義が崩壊したとき、命綱となるのは実物資産なのです。貨幣や株式・債券をはじめとした金融資産は、全て信用の上に成り立っており、それ故にとても脆いのです。実物資産は実態があり、信用だけの世界と一線を画しています。
実物資産には金や絵画、ワインなど様々なものがあります。ですが、利便性や安心性を考えた時、真に実物資産と呼べる資産は限られてきます。例えば、絵画やワインは持ち運びには不向きで、加えて管理が難しく破損のリスクが存在します。
金は長きに渡り、実物資産の代名詞的なポジションを担ってきました。ですが、金は持ち運びには不便で、売買は全て監視されており、匿名性という観点からは魅力に欠けてしまいます

 

そうした点を全て考慮したとき、アンティークコインには他の実物資産にはない魅力が詰まっています。
アンティークコインは一枚が高価で、中に数億円に及ぶものも存在します。そして携帯性にも優れ、保管するのも極めて容易です。
さらに、世界中にアンティークコインのコレクターが存在していて、決まった価格で売買を行うことができます。米国内だけでも150万人のコレクターが存在すると言われています。いわば、アンティークコインは「世界共通の通貨」なのです。
現在の世界経済には陰りが見え始めており、その中でも日本の脆さは際立っています。幻の資本主義が崩壊したとき、確実に財産を守ってくれるのは実物資産であり、他ならぬアンティークコインなのです。

 

【グローバル マクロアナリスト サク】

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