【グローバルマクロ ニュース Vol.12】利回り追求の終焉

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09年に始まった米国の中央銀行FRBによる量的緩和で、世界の金融市場の潜在リターンが低下しました。

金余りは流動性相場を引き起こし、資金流入を通じて資産価格を吊り上げました。

 

結果として、資産の潜在的なリターンは低下しました。株式を例にこの現象を見てみましょう。

100円の価値のある株式が50円で売買されていたとします。

この時の潜在リターンは100÷50で2倍、つまり100%となります。

もし世界的なカネ余りで同じ株式が80円の価格で売買されるようになったとします。

 

このときの潜在リターンは100÷80で5/4つまり、25%となります。

これが金余りによる潜在リターンの低下という現象です。

 

日本では日銀、米国ではFRB、欧州ではECBが同時に大規模な緩和政策をとったため、

世界中の金融市場が金余りとなりました。先ほど見たように、株式の潜在リターンや

債券のリターンも低下していきました。

 

結果として、より高いリターンを獲得するためには、より高いリスクを取る必要が出てきたのです。

これは「利回り追求」と呼ばれる現象で、金余りによる過剰流動性相場において見られる一種の

「バブル現象」です。

世界的な金融バブルの際たる例は仮想通貨市場でしょう。

仮想通貨の代表格であるビットコインの価格は2015年には3万円程度でした。

ですが、金余りによるリターンを追求した資金の急速な流入により、

価格は急激に上昇して2018年初には一時200万円を突破しました。

 

その後の仮想通貨市場の展開はいうもでもありません。

仮想通貨をはじめ、リスクの高い資産の価格低下が続いています。

 

これは、世界的なカネ余りを危惧した中央銀行による金融引き締めが一因となっています。

バブルの発端は中央銀行による金融緩和でした。そして、今度は中央銀行が金融緩和を終了し、

引き締めに動いています。つまりこれまでとは真逆の政策をとっているのです。

結果として資金価格もバブル的な値動きとは真逆の様相を呈します。

 

5月相場に波乱をもたらせた「イタリアの国債の金利上昇」も世界的なカネ余り相場の

終焉を暗示しています。債券の金利は債券価格と真逆に動きます。

つまり、債券価格が低下すれば金利は上昇し、債券価格が上昇すれば金利は低下します。

 

イタリアの金利急騰は債券価格の急激な下落によりもたらされました。

これはこれまでイタリア国債を購入していた投資家が売却を始めたことを意味しています。

利回り追求の時代が終焉しつつあることを示す最たる例です。

 

利回り追求の時代が終わったとき、資金はどこへ逃避するのでしょうか?

リスクが最も低く安全である安全資産、中でも実物資産へと資金は逃げていきます。

これからの経済は景気後退を孕んだ厳しい展開となるでしょう。

 

そうした時、安全性の高い実物資産へと資金流入が起こると思われます。

市場規模が小さいものの将来性のあるアンティークコイン市場は資金流入による

値上がりの恩恵を享受できる可能性が高そうです。

 

【グローバル マクロアナリスト サク】

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